「住吉物語」は10世紀後半に書かれた物語である。その内容は典型的な継子物語で、継母が姫君の結婚を妨害するが、最後は長谷寺観音の霊験により幸福な結婚生活をするというものである。この絵の場面は悪だくみから逃れた姫君と住吉で再会した男君が姫君をつれて船で淀川をのぼり京へ帰っていく所で、船の屋形の中に居るのが姫君である。
挿絵は、上冊に5図、中冊に5図、下冊に5図ある。表紙は鳥の子紙に金泥で草花などが描かれ左端しに「住よし物語(上・中・下)」と墨書されてある題箋が貼ってある。
絵柄は、天地の雲霞に金箔をちらし、稚拙な表現の人物には愛らしさが感じられる。