1997年に京都で開かれた地球温暖化防止国際会議(COP3)で、京都議定書が採択されてから10年。日本の温暖化防止政策はどのようになっているのでしょうか。
ちょうど今年1月から、京都議定書で決めた約束を達成する期間に入っています。5年間の平均を、1990年の頃より6%減らすというのです。ところが現実は、すでに1990年の頃より7%くらい増えています。トータルで13〜14%のレベルで減らさないといけないというのが日本の現状です。
そのためには、私達は何をおこない、企業は何を努力するべきなのでしょう。
無駄なエネルギーを使わないというのが第一です。また、日本の温室効果ガス排出量の約60%が産業部門とエネルギーを供給するエネルギー転換部門であることから考えても、事業者の役割は重大です。私達がいくらエネルギーを消費しないように努力しても、電化製品や自動車などは産業部門がつくっています。ですから、いかに優れた省エネ製品をつくれるかは、事業者にかかっています。
私達は消費者として、省エネ型の製品を買うようにする。企業活動を厳しく監視する。また、最近は個人投資家も増えていますが、環境にやさしい事業に投資する。そのようにして、がんばっている事業者を支えることが大切です。
低炭素社会のエネルギーとは何でしょうか。
当座の問題として考えられるのは、太陽光発電や風力発電でしょうか。日本には、その技術力があります。ではなぜ普及しないのか。私は、それを広める政策の問題ではないかと思うのです。
一時期、家に太陽光発電パネルを付けると補助金がもらえるということで、太陽光からの電力が伸びました。しかし、補助金を停止してからは伸びどまりの状態です。また、火力発電の石炭を天然ガスにするだけで排出量は確実に減ります。高いと言われる太陽光などの再生可能エネルギーや天然ガスの価格差を補う制度をつくれば、かなり削減できるはずです。行政には、「温暖化対策をするとお得」という仕組みをどんどんつくってほしいものです。
身近なところでは、スーパーにエコバッグを持っていくという運動がおこなわれています。
それだけで排出量の削減にそれほど効果があるとは思えませんが、みんなで環境問題を考えるという動機付けにはなるでしょう。
いずれにしても、問題は石油依存の社会から、いかに低炭素社会に切り替えていくかということ。2050年の目標を達成するために、行政や企業の動きをしっかりと監視し見守りながら、企業人は企業のなかで、学生は学びの場で、あるいは日常生活のなかで、私達一人ひとりが今何をするべきかを本気で考えなければなりません。
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