関西六大学野球3季連続優勝を支えた
山本コーチのメンタル指導
0.83(2009年)、関西六大学野球春季リーグにおいて、硬式野球部が3季連続24回目の優勝を果たした時の、平均失点の数字だ。大会で最優秀選手に選ばれた上羽選手を始め、打撃陣の活躍もさることながら、先の数字が示す通り、松岡選手、姫野選手、永川選手といった投手陣の充実ぶりも見逃せない。
この「点を取られにくい、安定感のある投手陣」を育てているのが、2009年1月より硬式野球部のコーチに就任した山本樹さんだ。龍谷大学硬式野球部を経て1993年にヤクルトスワローズに入団。クローザー、高津臣吾につなぐ必勝リレーの中継ぎエースとして活躍し、2001年の日本一に大いに貢献した。2005年、選手引退後は、スカウトなど球団に残る選択肢もあったが、「野球を指導する立場に」とオファーを辞退して、舞台を大学野球界へと移し、現在に至っている。
「技術面、メンタル面から、選手に足りない部分をそれぞれ補うようにしています。特に、メンタルが弱点なのは厄介。プロの世界でも同じで、技術は1軍より上なのに、1軍の舞台になると実力を発揮できない2軍選手をごろごろ見てきましたね。ヒットを打たれる、ランナーが出る、ピンチを切り抜けるなど、絶えず変化する状況のなかで気持ちの波をいかに均等にするか。平常心を保てるかが勝負なんです」。
メンタルの弱い選手には登板数を多く投げさせたり、ピシャリと抑えた場面で気持ちよく交代させたり…選手の成長を見越した試合運びをするか、チームの勝利を第一に考えるか。それらは必ずしも合致するわけでないため、山本コーチにとって常に葛藤の連続だという。
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