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新刊紹介
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■龍谷大学善本叢書20
「類聚古集」 (全3冊)
秋本 守英(名誉教授) 責任編集
 影印・翻刻篇(上・下)、索引篇(研究篇を含む)からなる。龍谷大学図書館蔵「類聚古集」(孤本・国宝)の影印・翻刻・索引(及び研究)による公開図書である。

 影印・翻刻篇では、上段に影印複製本文を、下段にその翻刻を示し、上下対照して読めるようにした。影印複製は過去に刊行されたものに比して格段に鮮明な本文を提供することができた。翻刻では、書き入れの朱・墨の別など、複製によるだけでは識別不可能な情報まで、細大漏らさず示すようにした。この作業の中で新たに解読したものもいくつかある。すべては、つねに原本と照合しながらの作業であったからこそなし得たものである。

 索引篇には、各句索引と逆引き索引と番号対照表と研究二編とを収めた。逆引き索引は、和歌と散文とを問わず作品の索引として最初のものである。これらによって、『類聚古集』研究のための基礎資料は提供し得たものと自負している。

(2000年3月刊/上707貢・下650貢・索引636貢/思文閣出版/57000円)
■龍谷大学社会科学研究所叢書第37巻
「フィールドワークの新技法」
中村 尚司(経済学部教授)
広岡 博之(経済学部助教授) 編
 学問は、キャンパスや教室の中だけに閉じこもるべきではない。私たちが学ぶ場は、学外のいたるところにある。そのようなフィールドワークを行うための方法をさまざまな視点から検討したのが本書である。1997年から99年にかけて、龍谷大学社会科学研究所が組織した共同研究「フィールド調査方法論確立に関する研究会」の成果でもある。

 執筆者の多くが龍谷大学で講義経験を持ち、学生諸君とともにフィールドワークの進め方に苦労してきた。学問研究の重要な方法として、フィールドワークをより身近なものにしようと、工夫を重ねてきた。今からフィールドワークを始める若い人びとが活用してくれることを期待したい。

(2000年3月刊/164貢/日本評論社/2000円)
■龍谷大学社会科学研究所叢書第38巻
「生命・環境と現代社会」
平野 武(法学部教授) 編
 本学社会科学研究所での生命・環境倫理をめぐる研究会の成果をまとめたものである。経済学、法律学、社会学以外にも、哲学・倫理学の分野、医学などの自然科学の分野に及ぶ学際的研究のスタイルをとっている。内容は、第1章社会哲学の方法(加茂直樹)、第2章末期医療における看護活動の法的検討(星和美)、第3章医療情報の公開と開示(平野武)、第4章「介護保険」と社会保障(宮永昌男)、第5章生と死と宗教ー「水子供養」と「脳死問題」(新田光子)、第6章ピルから見える自己決定権の問題ー性関係の倫理学をもとめて(田村公江)、第7章生き物としてのエルニーニョ現象(増田啓子)、第8章生命と環境ー自然環境をめぐる問題(谷本光男)からなる。第3章以降は本学教員による執筆である。

(2000年3月刊/196貢/晃洋書房/2000円)
■龍谷大学地域総合研究所叢書6
「宗教・地域・家族イメージの検証」
古賀 和則(社会学部教授) 編著
 本書は、龍谷大学地域総合研究所の「地域社会、家族及び宗教の関係に関する比較研究」プロジェクト(研究代表者:古賀和則)の報告であり、地域社会における宗教、家族、あるいは両者の関連に関する五つの事例研究報告を収載している。古賀和則は、かくし念仏の実体を家族と村落のなかに探っている。森岡清美は、妙智會教団の地方都市への定着過程における信者の宗教性の変化を実証的にたどる。舟橋和夫(社会学部教授)は、浄土真宗本願寺派の宗勢基本調査データにより同派寺院の立地と宗教活動の関連性を演繹的に追求している。中別府温和は、カトリック村落民の奇跡経験の様態と奇跡を包含する世界観に接近している。松下敬一郎は、近代化のなかで急激に変動しているマレーシアのイスラム村落の人口と家族の動態を取り出している。

(1999年12月刊/193貢/行路社/2500円)
■龍谷大学地域総合研究所叢書7
「野性の教育をめざして」
亀山 佳明(社会学部教授)
麻生 武
矢野 智司 編
 教育には「市民になるための教育」と「人間になるための教育」がある。

 世俗化した近代社会が要請する教育は前者の教育であり、社会学では社会化とよんできたが、この意味の教育は既に過剰ともいえる。後者をわれわれは「超社会化」とよぶが、それをルソーは「野性」とも言い換える。人間になるためには社会-構造の外部と接触する必要がある。例えば死は外部性を表示しているが、死と接触する経験は子供の教育に大きな意味をもたらす。死があるから人間は人間となる。逆にわれわれの社会は子供を死から隔離してしまう。社会化過剰の社会では子供は犯罪を介して社会の外部=死に触れようとするであろう。この書は野性をキータームにして持田良和(社会学部講師)ら11人の論文を集めている。

(2000年3月刊/266貢/新曜社/非売品)
 
 
「エネルギー経済・政策論」
松井 賢一(国際文化学部教授) 著
 本書はエネルギー問題を経済的に分析する基礎的枠組みを整理するとともに、エネルギー問題をめぐる議論の中で特に論点となったエネルギー・GNP弾性値を決定する要因、エネルギー需要と経済活動の関係におけるエネルギー価格の役割、石油の埋蔵量とそれに関連する原油価格の問題、エネルギー技術の進歩に対する考え方をめぐる議論を取り上げ、これらの論点を中心に通説に対する批判的分析を行っている。また戦後の我が国のエネルギー政策の変遷を体系的、批判的に整理している。エネルギーをめぐる情勢は激しく劇的に変化してきた。これからも、地球環境問題、アジアの経済成長、エネルギー技術の進歩、核軍縮の動き等を背景に大きく変貌すると予想される。本書は、エネルギー情勢の変化を理論的かつ歴史的な視点から考察する一つのよりどころになるであろう。

(2000年1月刊/193貢/嵯峨野書院/2500円)
 
 
『満州における日本人経営新聞の歴史』
 李相哲(社会学部助教授)著
 同書は、満州における日本人のジャーナリズム活動(1905年〜1945年)の全容を明らかにした。日本及び中国の近代新聞の成立史を明らかにする上で重要な意味をもつ。
(2000年5月刊/370頁/凱風社/4400円)
『政治から記号まで
     
思想の発生現場から』

 杉村昌昭(経営学部教授)共著
 フランスの思想家フェリックス・ガタリへのインタビューと、粉川哲夫と杉村昌昭によるガタリの思想をめぐっての対談をまとめたもの。
(2000年5月刊/198貢/インパクト出版会/1800円)
『四庫提要北宋五十家研究』
 野村鮎子(経済学部助教授)共著
 清朝が国家事業として編纂した「四庫全書」には、それまでに中国で出版された書物についての解説「四庫提要」が付されている。本書は、そのうち北宋文集部分の訳注である。
(2000年2月刊/514貢/汲古書院/10000円)
ヤーコプ・ベーメ
『アウローラ 明け初める東天の紅』

 薗田坦(文学部教授)翻訳
 ドイツ神秘主義叢書8。ドイツ神秘主義の最後を飾る大思想家ヤーコプ・ベーメの処女作にして代表作の全訳。ドイツ神秘主義の真髄と精華を著す。
(2000年2月刊/435貢/創文社/7000円)
『中国経済関係法令集』
 李相哲(社会学部助教授)監修
 この法令集には、約250本の中国経済関連の法令(1956年〜2000年3月まで)が掲載されている。日本語の法文に解説論文も掲載している。
(2000年5月刊/1483貢/日本国際貿易促進協会/38000円)
『競争と戦略のグローバル化』
 大貝威芳(経営学部教授)著
 日本企業多国籍化戦略を輸出マーケティング、提携、海外進出、経営現地化、人材育成など具体的ケースで取り上げ、21世紀の在り方を展望する。
(2000年5月刊/207貢/中央経済社/3200円)
『テクストへの性愛術
    ━物語分析の理論と実践』

 安藤徹(文学部講師)共編
 現行の文学理論の限界と可能性を明らかにしつつ、日本の物語文学を対象にしたテクスト分析を実践する。座談会と8本の論文で構成。
(2000年4月刊/347貢/森話社/3300円)
『教育の原理と課題』
 若原道昭(短期大学部教授)
 筧田知義
 尾崎ムゲン 監修
 本書は、京都造形芸術大学通信教育部の「教育原理」並びにその関連科目の教科書として執筆されたものを市販用に書き改めたものである。
(2000年4月刊/350貢/昭和堂/2400円)
『往生論註講読』
 相馬一意(理工学部教授)著
 曇鸞の著作『往生論註』を漢文に即して読み下し、内容を解説したもの。人物や典籍の内容紹介、本文漢文、書き下し、解説という構成でまとめている。
(2000年5月刊/319貢/百華苑/4000円)
『プリメール民法1 
      民法入門・総則』

 中田邦博(法学部助教授)共著
 初学者が民法を学ぶために必要な教育的配慮とは何かを意識して執筆された新しいタイプの教科書。図やレイアウトにも工夫がある。
(2000年5月刊/291貢/法律文化社/2800円)
『罪と罰のクロスロード』
 村井敏邦(法学部教授)著
 罪と罰をめぐって、さまざまな交錯した場面があることを、具体的な事件や歴史的出来事などを素材にしてわかりやすく随筆風に記したもの。
(2000年3月刊/376貢/大蔵省印刷局/1800円)
『日本社会学史への誘い』
 小笠原眞(社会学部教授)著
 日本で初めて社会学を講じたフェノロサと日本の社会学を構築した碩学、高田保馬・鈴木栄太郎等を取り上げ、その研究業績の現代的意義を考察する。
(2000年3月刊/294貢/世界思想社/2500円)
『精神の管理社会をどう越えるか?』
 杉村昌昭(経営学部教授)編
 ガタリ、ウリ、トスケルを中心とするフランスの「制度論的精神療法」の実践的紹介と、この「療法」をめぐる日仏の精神医学の交錯領域を探求したもの。
(2000年4月刊/290貢/松籟社/2800円)
『栄養・健康科学シリーズ 
    公衆衛生学(改訂第3版)』

 田中平三編
 安西将也(社会学部教授)共同執筆
 老人保健及び老人福祉について、法律制定の目的・基本理念から、講じられている対策の経緯、現状、制度の問題点についてまでを述べている。
(2000年4月刊/317貢/南江堂/2500円)
『Koreans in Japan: Critical
  Voices from the Margin』 

 青木恵理子(社会学部助教授)共著
 在日朝鮮人の現在の等身大の生のありようをそれぞれ異なる観点から記述分析した10の論文からなる。編者はアメリカで教鞭をとる若手人類学者。全編英文からなる。
(2000年2月刊/229貢/Routledge/55ポンド)
『イギリス詩を学ぶ人のために』
東中稜代(文学部教授)編著
 イギリスの詩人をチョーサーからヒーニーまで30人を選び、それぞれについての詩人論を各々2篇の詩を付して解説したもの。通読すれば英詩の伝統がよく分かる。執筆者には一線級の人を集めた。
(2000年4月刊/334貢/世界思想社/2300円)
『モダン・ビジネス
 ━生成・展開の国際比較━』

 M.G.ブラックフォード 著
 西川浩司(経営学部講師)
 藤田誠久(経営学部教授)共訳
 英米日独におけるモダン・ビジネスの発展過程を解明した比較経営史研究。大規模製造企業だけでなく中小企業やサービス企業も視野に入れた点が特徴。
(2000年5月刊/275貢/同文舘/3000円)
『隨筆集「宿縁を慶ぶ」』
淺田正博(文学部教授)著
 龍谷大學の短期大学部に所属していた頃の「飛翔」に執筆したエッセーを主として、仏教との出遇いや、日頃の思いなどをつづった。
(2000年2月刊/129貢/百華苑/1000円)
『増訂無量寿経の研究━思想と展開━』
 大田利生(文学部教授)著 
 〈無量寿経〉がどのような背景で成立し、現存する諸異本を通してみられる思想展開を跡づけ、従来の研究で課題として残されてきた問題に検討を加えた。
(2000年5月刊/554貢/永田文昌堂/8000円)
『偶然性の精神病理』
 木村 敏(国際文化学部教授)著
 自己の存在の必然性と偶然性の間の関係を精神病理学的に考察した。
(2000年2月刊/243貢/岩波書店(岩波現代文庫)/1000円)
『道歌 心のうつし画』
 淺田正博(文学部教授)共著
 江戸時代に三五園月麻呂が著した「心のうつし画」を復刻し、これに解説を加えて、一般に読みやすくした。道歌の中でも、主に仏教的道歌集。大倉精神文化研究所研究員の共同執筆。
(2000年3月刊/211貢/芙蓉書房/2000円)
『修驗道教義入門
   「仏教からみた修験の世界」』

 淺田正博(文学部教授)著
 修驗道教義の根本書といわれる「修験三十三通記」を入門的に解説した最初の書。しかも第二編には「基礎としての仏教学」を掲載して仏教の入門書的要素も加味した。
(2000年5月刊/283貢/国書刊行会/4300円)
『病いと人-医学的人間学入門』
 ヴァイツゼッカー 著
 木村 敏(国際文化学部教授)訳
 ヴァイツゼッカーのハイデンベルグ大学での臨床講義と医学的人間学の体系的学説を前後二編にまとめたもの
(2000年4月刊/392貢/新曜社/4800円)
『憲法20条』
 平野 武(法学部教授)
 大石 眞
 桐ケ谷章 共著
 憲法20条が規定する信教の自由、政教分離の今日的意味を検討している。国家神道体制の歴史的経験を踏まえた上で新しい問題に対応する必要性を説く。
(2000年5月刊/231貢/第三文明社/1500円)
『法話集「他力への道」』
 淺田正博(文学部教授)著
 龍谷大學のお逮夜法要・ご命日法要などで行われた「法話」を6編収録。
(2000年2月刊/225貢/百科苑/1700円)
『真宗人名辞典』
 赤松徹眞(文学部教授)共編
 本書は真宗に関係する人物、2300人を収載し、簡潔明瞭に解説している。詳細な索引や各派の勧学・講師・鑑学一覧などが満載されている。
(1999年7月刊/430貢/法蔵館/20000円)
『講座・生命2000vol.4』
 木村 敏(国際文化学部教授)
 中村雄二郎 監修
 生命の観点からの学際的論文集。今回は「共通感覚」について特集した。
(2000年5月刊/298貢/河合文化教育研究会/3600円)
『多文化共生社会への展望』
 徐 龍達
 遠山 淳
 橋内 武 編著
 第3章を福田 菊(国際文化学部教授)執筆。マイノリティの権利と国連:国内人権機関設立に向けて。
(2000年5月刊/294貢/日本評論社/3800円)