●経済学部●

教職員や日本人学生との交流を深める
─留学生招待パーティーを開催─

 経済学は、母国へ帰っても実用性が高い学問としてアジアの国々の留学生に人気が高い。本学の経済学部でも国際文化学部を除けばやはり圧倒的に多く、51人の留学生が学んでいる。

 その遠く祖国を離れて暮らす留学生が、より大学になじんで、勉学の成果を上げられるようにと、教職員や、同窓会、親和会からの援助で懇親会を開催している。

 今年は6月15日に深草学舎紫英館で、留学生23名、松岡利道学部長、中村尚司研究科長、経済学部同窓会の赤堀和雄副会長、経済学部教職員、国際課職員など多数が出席し、また、今回は日本人の学生も加わって、お国自慢の話などで盛り上がった。中国からの留学生、レイ メイさん(経済学部2年生)が司会をつとめてのゲームでは、この日のために参加者等が持ち寄った賞品も渡された。

 留学生にとって、何よりの収穫は、日頃、留学生同士だけで偏りがちな人間関係が、これを機会に大きく広がることである。
 
●経営学部●

ICAAP プログラムスタート
─派遣第1号の野田由紀子さん東洋大学白山キャンパスで学ぶ─

 ICAAP(アイカープ:Inter College Academic Alliance Program)とは、本学経営学部と東洋大学経営学部との単位互換のための相互学生交流プログラムの略称である。

 このプログラムの派遣第1号として4月から、3年生の野田由紀子さんが東洋大学白山キャンパス(文京区)で学んでいる。

 本学では経営情報コースに所属していたが、東洋大学では“環境マネジメント”に興味を持ち、石井 薫東洋大教授のもとで、他のゼミ生にも助けられながら、環境をテーマに意見交換を行っている。

 「龍大で学んでいたこととは別のテーマのゼミに入ることに不安があったのですが、もし、あの時に環境のゼミをあきらめていたら絶対後悔していたと思います。自分がやりたいと思ったこと、少しでも興味を持ったことはどんどんやるべきだと思います。これからも初心を忘れずがんばります」と熱く語ってくれた。

 プログラムの目的である、“東京と京都という文化的、地理的風土を全く異にする他地域・他大学で学ぶことにより、同一地域・同一圏内の大学のみで学ぶ以上の幅広い視点からの学修を行い、多様で新鮮な経験を積む機会を得ること”がいま動き出した。

 今後は、この制度を経営学研究科にも拡大し、大学間交流とともに、教員の交流をも深めるため、協定締結に向けて折衝を重ねている。

(写真・石井ゼミで。前列右から2人目が野田さん)
 
●法学部●

合同ゼミ説明会と懇談会
─法学部ゼミナール連合会主催─

 学生が自主的に組織する法学部ゼミナール連合会が主催する「合同ゼミ説明会」と「学生と法学部教員との懇談会」 が、5月10日(水)、深草学舎で開催された。

 この説明会と懇談会は、2年次後期より始まるゼミ選択の際の参考にしてもらうため、毎年、応募期間の直前に開催している。

 今回は、約130人の学生が参加、これから自分が学ぼうとするゼミを選ぶ参考にと興味津々で説明を聞いていた。立食形式でおこなわれた懇談会は、太田宗志(法律学科3年生)ゼミナール連合会会長、川端正久学部長の挨拶で始まり、教授会終了後に約20名の教員がかけつけ、例年にない盛り上がりを見せた。

 最初のうちは、日頃教壇に立つ教授陣を遠くから眺めているばかりで、遠慮がちでおずおずと問いかけていた学生達も、教員からの積極的な話しかけ、教員全員によるユーモラスな自己紹介などにより、会が進むにつれてうちとけた歓談風景が繰り広げられた。

(写真・懇談会場でも熱心に聞き入る学生達。)
 
●理工学部●

リメディアル教育の導入
─大学での勉強を有意義にするために─

 高校の教科を補習授業する「リメディアル教育」が4月から始まっている。これは、50大学が加盟する大学コンソーシアム京都(京都市上京区)が加盟大学の要望を受けて「高校の教科の指導のプロ」を派遣するもので、未履修あるいは学力不足の学生への手当の教育として位置づけられる。

 昨今の入試の多様化により、学力試験にない科目、特に理工学部では、学科によって必須な「物理」を履修しないままに入学してくる学生も少なくない。99年度から理工学部の一部の学科では、独自に補習授業を行っていたが、この度、大学コンソーシアム京都がリメディアル教育プログラムとして補習授業を大学共同で取り組むことになり、立命館大学など7大学がこのプログラムを導入している。

 理工学部では「物理」「数学」「英語」「日本語表現」の科目を提供していて、どの科目も学生は積極的に受講し大学での学習のために努力している。なかでも「日本語表現」は、多くの学生が必要を感じている人気の科目。理工学部であっても学外実習の内容をレポートにまとめたり、研究の集大成として卒業論文を作成・発表することがある。また、就職活動中の学生にも好評で反響がある。

 「大学生の学力低下」が指摘されるが、多様な入試形態によって入学してくる学生は様々であり、「リメディアル教育」は、その多様な学生が有意義な大学生活を送れるようにサポートする重要な科目と位置づけられている。

(写真・「日本語表現」の授業風景。)
 
●社会学部●

新しい国家資格
─「精神保健福祉士」試験に11名が合格─

 今年4月に第2回精神保健福祉士国家試験の合格者が公告され、今春卒業の11名が見事合格を果たした。いずれも、すでにその職に就いている。

 精神保健福祉士は平成9年に「精神保健福祉法」によって法制化された精神科ソーシャルワーカーの国家資格であり、平成10年度に第1回の国家試験が実施されている。

 本学部は平成11年度に社会福祉学科に精神保健福祉士受験資格取得課程を設け、この度の第1期生の合格者誕生となった。国家資格として制定されて間もないことから合格者の活躍が期待されている。

 精神保健福祉士は、精神障害者の保健及び福祉に関する専門的知識及び技術をもって、精神病院その他の医療施設や社会復帰に関する施設等で、助言、指導、日常生活への適応のために必要な援助その他の支援を行う者をいう。

現在、地域福祉学科と臨床福祉学科にも課程が設けられている。

(写真・同課程の見学実習で滋賀県立精神保健総合センターを訪れた。)
 
●国際文化学部●

ジョナ・サルズ助教授がコーディネイト
─日本の伝統芸能を教える異色の夏期集中講座─

 海外の俳優や演劇研究者に日本の伝統芸能を教える夏期集中講座「トラディショナル・シアター・トレーニング(T・T・T・)」が6月24日から15日間、京都芸術センター(京都市中京区)で開かれ、無事終了した。この講座を主宰するのはジョナ・サルズ助教授。1984年から始め、16回目を迎えた。

 今年はアメリカ、カナダなど7カ国からの舞台俳優やプロダンサー、教師、学生が参加、国内参加者を含め計23人になった。喜多流能楽師の高林呻二さん、大蔵流狂言師の茂山あきらさん、西川流の西川千麗さんらから手取り足取りの指導を受けた。とりわけ外国の作法にはない正座、構え、摺り足などの稽古には何度もやり直すなど熱が入った。サルズ助教授も連日、稽古に立ち会い、電子辞書を手に受講生と講師の橋渡しをしたり、細かい説明を加えたりするのに懸命だった。

 サルズ助教授が日本の伝統芸能に興味を抱いたのは、ニューヨークで歌舞伎を見たのが始まり。「日本の伝統芸能は、直接肌に触れなければ、真の理解ができない」と、この芸能体験の企画を始めた。今や京の芸能界ではすっかり有名人。しかし、「まだまだこれから。いくら勉強しても日本の芸は奥が深いです」と、サルズ助教授。

 国際文化学部では「比較演劇論」等を担当。世界各国の演劇をビデオで紹介しながら、自らパフォーマンスを演じるなど異色の講義で人気を集めている。

(写真・座っている右から2人目がサルズ助教授)
 
●短期大学部●

学生の福祉体験活動支援のために
─「ボランティア・コーディネートセンター」開設─

 社会福祉科では「社会福祉援助技術現場実習II」(2週間の施設実習、いわゆる卒業実習)や「社会福祉援助技術現場実習 III」(社会福祉士受験基礎資格のための2週間の施設実習)や「保育実習」(10日間の保育所実習)「保育実習II」(12日間の保育所実習)など、各種資格取得のため様々な実習が行われている。こうした実習の事前研修の意味合いで開講されている「社会福祉援助技術現場実習I」の内容を今年度より一新することで強化充実をはかった。

 具体的には、施設現場職員による実務講座、施設見学、基本的な介護技術の習得、福祉体験活動(ボランティア活動)などから構成されているのだが、これらのうち福祉体験活動は、1年生全員が年3回以上の各種ボランティア活動を行うことになる。この活動を支援するために、情報を収集、提供し、必要に応じてボランティア先との調整を行う機関として、今年4月から深草学舎21号館地下の実習資料室内に「ボランティア・コーディネートセンター」を開設した。

 センターは月・水・木、12時15分〜13時15分と16時45分〜17時、火・金は12時15分〜13時15分。教員やティーチングアシスタントによるアドバイスが得られる。

 また、同時に、短期大学部教務課掲示板と実習資料室掲示板に「ボランティア情報コーナー」を設け、学生への情報提供を行っている。
 
●文学部●

全国的に数少ない教育学専攻の博士後期課程を開設

 今年度、大学院文学研究科教育学専攻に大学院博士(後期)課程を新設した。

 「生涯学習・国際化社会に対応した研究指導」、また「心の教育のあり方を人間存在の深奥から研究する研究者の養成」、更には「学校教育や社会教育の高度化・多様化に応じて、生涯学習関係機関で活躍できる専門的職業人の養成」などを目的とし、研究指導体制は、教育学演習(教育学・教育方法学・生涯教育学・異文化間教育学)と教育心理学演習(生涯発達心理学・教育臨床心理学)の各演習で構成する。

 初年度は、いままで“待機”していた学生も含めて8名が進学した。そのひとりの出羽孝行さんは「龍谷大学で学部・修士課程をおえた後も、そのまま研究を継続したいと考えていたので開設は嬉しい限り。研究をさらに進展させて研究職につきたい」と目標を語る。

 異文化間教育学を専門にしている小島勝教授は「学部・修士課程からの一貫した体系的カリキュラムによって、教育学専攻の学風である総合的人間学の志向性を身につけた真摯な研究者と専門的職業人が育っていくことを願う」と話す。

 教育学系で大学院博士(後期)課程まで設置している大学は全国でもまだ少ないだけに、今後の研究・指導の発展・充実に期待がかかる。

(写真・小島勝教授の教育学演習の風景。)