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新刊紹介
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■龍谷大学社会科学研究所叢書第40巻
 21世紀の世界にとって東アジアの中でも無視しえない存在である中国の経済発展と日本との関係を考察することを目的に、1996年から3年間、龍谷大学社会科学研究所指定プロジェクト「東アジアの経済発展と日本の役割」が、中国社会科学院との共同研究として実施された。

 この成果として纏められたのが、2部構成の本書である。第1部「経済改革と産業構造の変化」では、グローバル―マクロ―ミクロの各視点から中国経済改革の分析・評価を行ない、東アジアの国際分業構造から見た中国、日本の対中ODAと日中関係、中国の経済発展と対中直接投資の役割、中国の対外開放度と地域間格差の関係、中国の産業構造変化と支柱産業、中国経済改革と企業経営の課題を明らかにしている。第2部「中国自動車産業の現状」では、中国の自動車産業に焦点を当てた実態調査に基づいて、技術移転と企業間分業、部品メーカーの経営実態について分析が行なわれている。

(2001年1月刊/260頁/昭和堂/4500円)
■龍谷大学社会科学研究所叢書第41巻
 声高な" 規制緩和 "の論調は労働や雇用の分野でも例外ではない。政府は名を「規制改革」と改めつつ、さらに規制緩和を継続・拡大しようとしている。それは、労働のあり方や、労働者とその家族の生活、労働組合の運動にも重大な問題を提起している。

 本書は、大学と専門を超えてグループ研究を行ない、労働・雇用分野で規制緩和をリードする理念・理論、規制緩和の内容とその効果・影響を総合的に分析し、立法論的な課題の提起を試みたものである。問題の総括的把握に始まり、国際的動向と国内の動き、労働者の現状・実態、規制緩和推進論の批判的分析の後、労働契約、派遣、解雇、労働時間、女性について具体的に分析を行なっている。

(2001年2月刊/331頁/旬報社/3800円)
 
『グローバリゼーションと市民社会 ―国民国家は超えられるか』 
 石田 徹(法学部教授)共著
 国民国家とグローバリゼーションに係わる諸問題を多角的に検討。第1部では国民国家の歴史的側面を、第2部ではその将来をグローバリゼーションと係わらせて分析している。
2000年11月刊/267頁/文理閣/3200円
『民事裁判と証明』
 藤原弘道(法学部教授)著
 長年民事裁判の実務に携わってきた著者が実務上当面した諸問題について思索した結果をまとめた論文集。
2001年1月刊/242頁/有信堂高文社/3800円
『日本文化のかなめ ―つがやま市民教養文化講座20年の記録―』
 舟橋和夫(社会学部教授)編著
 肥沃な土地と水に恵まれた野洲川流域での営みにスポット。日本文化の核心が息づく。地方からの情報発信の新しい試み。21世紀へのメッセージ。
2001年1月刊/296頁/サンライズ出版/2200円
『物のまなざし ―ファン・ゴッホ論』
 杉村昌昭(経営学部教授)翻訳
 フランスの気鋭の哲学者ジャン=クレ・マルタンによるルソーからニーチェ、ハイデガーまでを包摂した究極のゴッホ論の邦訳。
2000年12月刊/210頁/大村書店/3400円
『日本企業の戦争犯罪 ―強制連行の企業責任3』 
 田中 宏(経済学部教授)共著
 朝鮮人、中国人の強制連行の歴史的背景、日本企業に対する裁判の現況を整理。加えてドイツにおける補償財団の設立、アメリカにおける日本企業裁判をも紹介。
2000年12月刊/238頁/創史社/1800円
『建築家 秀吉 ―遺構から推理する戦術と建築・都市プラン―』 
 宮元健次(国際文化学部講師)著
 空前絶後の数の建築を通して天下人に成り上がった普請狂・豊臣秀吉の足跡について、数多くの遺構を手がかりに新たな視点から解明を試みたもの。
2000年11月刊/242頁/人文書院/2200円
●エッセイ「幸せに生きてみないか」を出版しました
 昨秋、エッセイ「幸せに生きてみないか」
―本当の幸せを掴むための熱いメッセージの花束―
(文芸社/1000円)を出版しました。

 私は哲人・中村天風先生(故人)、経営コンサルタントで人間研究家?の(株)船井総合研究所会長・船井幸雄氏など、先哲たちの教えに触れ、深い感動と感銘を受けて生きています。

 私が考えていることや多くの人々から学んだことの中で、絶対普遍的なもの、あるいは人々の幸福のために役立ちそうなものを、一つひとつ大切に綴り上げていきました。

 今回プロの物書きでない私が大それたことをやってしまったと思っているのですが、人々に熱い想いを伝え、勇気づけたい、世の役に立ちたいということだけでも理解いただけたらなと思っています。

(小辻一巳・1987年経営学部卒業・病院勤務・京都市)
●「アイヌ民族の歴史と文化」を出版しました
 昨夏、教育指導の手引きとして『アイヌ民族の歴史と文化』(山川出版社/1300円)を出版しました。卒業後、北海道の公立高校で社会科教諭として勤め、現在定年退職後、高校講師として勤務しています。

 高校に勤務してから、アイヌ民族の歴史と文化の研究調査に専念し、「アイヌ学校の実証的研究」を主テーマに研究を続け、『日高国新冠御料牧場史』、『コタンを訪ねて』(図書館へ寄贈)を出版してきました。少数民族の苦難の歴史と高い文化を人権擁護の立場からも若き学徒に知ってもらいたいものです。

(山本融定・1961年文学部卒業・高校講師・苫小牧市)

 この本は初版発行から2ヵ月後には4版を重ねている、ちょっとしたベストセラーものだから、もう既に読まれた方も多いかもしれない。著者小森氏には、数年前、東京大学で開催された日本英文学会のシンポジウム席でその謦咳に接したことがある。その論客ぶりに日本文学研究界もサマガワリしているんだな、との印象を強く受けたものだった。氏が、小学校時代をプラハの旧ソ連大使館附属学校で過ごしたいわゆる帰国子女のハシリだったことは、今回この書で初めて知った。この背景が日本語を客観的に対象化してとらえる視点を氏に与えたようだ。私自身も学生の日本語のオカシサを見聞するにつけ、外国語教育の日本語に及ぼす功罪を考えさせられている身。
 この書は示唆に富んでいる。『第3部日本語を教える』│「道場破り」と題して、氏が小学校・中学校・高校で実践した授業のライブ記録から読み始めてみるのもいいかもしれない。オモシロクてタメニナル書。

2000年4月刊/218頁/大修館書店/1600円