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 龍谷大学図書館と中国の大連図書館が、姉妹友好関係を締結した。これは、西本願寺第22代門主大谷光瑞が、約60年前に、旧南満州鉄道(通称・満鉄)図書館に寄贈した膨大な書籍「大谷文庫」が縁。龍谷大学が所蔵する歴代門主の蔵書「写字台文庫」と、大連図書館所蔵の「大谷文庫」は、門主の蔵書で姉妹関係にあることから、上山大峻(仏教学)、小田義久(東洋史学)、木田知生(東洋史学)の3教授が、平成9年12月に、初めて大連図書館を訪問し、中国研究者との交流が始まり、その成果が今回実った。

 今後、仏教学や歴史学などの日中学術交流や新たな研究の展開が期待される。

昨年改修なった大連図書館本館。閲覧者は、年間100万人を越す。

調印を終えた、張本義大連図書館長と上山大峻学長。(龍大深草キャンパスの学長室で)

日中文化典籍の宝庫「大谷文庫」




明末の小説「鼓掌絶塵」。この版本を用いた活字本が出版されている。



写字台文庫の蔵書印が見える明・清小説。
「大谷文庫」にある清朝政府の辞令書。説明するのは、王若副館長(大連図書館で) サイズに合わせて新調した楠のは個に保管されている「大谷文庫」。
 大谷探検隊を組織してシルクロード探検を行なったことで知られる大谷光瑞は、太平洋戦争が始まる1941(昭和16)年頃までに、漢籍や和洋書など約6千点を大連にあった旧満鉄図書館に寄贈している。

 終戦後の1951年、旧満鉄図書館の蔵書45万冊を受け継ぎ、その基礎の上に大連図書館が設立された。蔵書の中で、大谷光瑞が寄贈した書籍は「大谷文庫」と名付けられ、木箱に入れられ大切に保管されていて、仏教書、中国正史や地方誌、明・清時代の通俗小説や「大日本史」のような日本の古籍も含み、いずれも資料的価値の高い"日中文化典籍の宝庫"となっている。とくに、「水滸伝」「金瓶梅」といった明・清小説は、刊行年が早いだけでなく、ここにしかないものなどが多く、かねてより貴重視されており、近年、この大谷文庫をもとに「明清通俗小説」叢書の復刻が、中国側で進められており、すでに、3分の1くらい完成している。

近世史研究に欠かせない資料の山

大連人民政府の費用で、旧満鉄図書館の建物を修復し、中日友好の役割を果たすようにと、「大連図書館日本文献資料館」がつくられている。1914年竣工のバロック建築で、大連市街の旧満鉄本社近くにある。内部の2階手摺も当時のもの。
 また、大連図書館に引き継がれた日本の旧満鉄図書館の蔵書は、近世史研究者にとっては、興味深く、重要な内容を含むものばかりだ。というのは、かつてのこの図書館は、日本が中国大陸に設置した最大の図書、情報の中心地で、中国各地及び海外で、政治、経済、文化などの図書資料だけでなく、貴重な典籍を収集することも重視していた。

 例えば、ソビエト駐長春領事館領事パブロフの所蔵する中国辺境問題の図書500冊や、宋・元時代の古籍を購入している。

旧満鉄図書館が集めた洋書は、30数種の言語がある。ドイツ語が多い。
 それらは、専門の書架などに分類されていて、ユダヤ問題資料を中心とする「ユダヤ文庫」、東北問題や遠東地区の文献を中心とする「満蒙文庫」「遠東文庫」などがあり「大谷文庫」もその中のひとつである。

 姉妹友好関係締結の調印は、2000年11月30日、深草学舎で、大連図書館の張本義館長と王若副館長、龍谷大からは、上山大峻学長と杉村棟図書館長らが出席。今後、蔵書の相互閲覧や調査、研究などで協力しあうことを決めた。
 本学は、かねてより、学生の自主学習や交流、研究支援、大学院拡充など、教育研究環境の整備のための新たな場所確保の必要性に迫られていたが、近隣地に、規模的にも距離的にも相応しい物件を取得することができ、4月から、本学施設として使用することになった。

4階の多目的ホール。会議、シンポジウム、展示・講義、映画上映などに使える。
2階の事務部門予定スペースと、3階まで吹き抜けの1階ホール。1階カウンターは、対外窓口として利用する。
 この新校舎は、1985年に建てられ、京都みやこ信用金庫本店ビルとして使われていたもので、鉄筋コンクリート5階建てで、延べ床面積が約1万600平方1、土地が約8千800平方1。建物に大きな改修工事は施さず、1階ホールや会議室等は、そのまま事務室や講義室として活用する。

 昨年11月末に取得以来、深草キャンパス機能の再配置などの検討を重ねて来たが、それに合わせ、新校舎は「紫光館」と名づけられた。上山大峻学長の命名で「紫」は、スクールカラーを、「光」は無明の闇を破る智慧の光を意味する。広く社会に光を放ち、「地域と共に、地球と共に」歩む龍谷大学の拠点にしたいという願いを込めている。

 「紫光館」には、事務部門の一部が移るほか、新たに龍谷エクステンションセンター京都(REC京都)を設置し、生涯学習や産官学連携、ベンチャービジネス支援など地域や社会との連携の拠点とする。

「紫光館」北側

西側から見た「紫光館」。手前は、国道24号・竹田街道。向かって左奥にこれまでの深草学舎の建築群が見えている。
2001年2月の「就職支援セミナー」。時折、笑いが起こるが真剣な眼差しで聞いている参加者。
企業数250社で約300名の採用担当者が出席した大阪会場(写真右下)。東京会場は企業数122社で約140名の採用担当者が出席した(写真右上)。
 本学では、就職活動を行なう学生を支援するために様々な取り組みを行なっている。なかでも「企業・大学懇談会」は、企業の採用担当者に本学をより一層理解してもらうための重要な場となっている。

 現在大阪と東京の2会場で開催しており、昨年10月に大阪のリーガロイヤルホテルで、今年2月には赤坂プリンスホテルで開いた。

 大学からは学長はじめ大学執行部、就職委員の教員、就職部事務職員らが出席し、大学や学生をアピールしたり懇親を深める努力をした。

 また、2002年3月卒業生対象の業界研究会や就職支援セミナーは、すでに昨年11月から始まっている。2月には深草学舎で吉本興業プロデューサーの大谷由里子さんを講師として「自己PRのヒントが見つかる」就職支援セミナーが開かれた。出席した学生達は、メモを取りながら真剣に聞き入っていた。
熱心に聞き入る参加者を前に講演する西口泰夫京セラ社長。
 1月18日(木)琵琶湖ホテルで、龍谷大学科学技術共同研究センターと龍谷エクステンションセンターの主催による新春技術講演会を開催した。同講演会は、瀬田キャンパスの開設と共に始まり、今年で12回目。最新の科学技術政策の動向や産業予測などについて、各界の見識者の話を聞くことを目的に、企業のトップや、研究部門に携わる人たちが毎年多数参加している。今年は200名を越える参加者があった。

会場は熱気に包まれた。
 基調講演は、京セラ株式会社代表取締役社長の西口泰夫氏による「世界的な大変革を乗り越えるための企業経営」。続いて、招待講演として近畿通商産業省産業企画部長の細谷祐二氏が「地域活性化と経済産業政策」と題して話した。その後、本学理工学部の岡田至弘教授が「温故知新デジタル技術による文化資産継承」、斉藤光徳教授が「音波が変える動植物の生活」の技術講演を行ない、最新の話題を提供した。

 また、講演会終了後の懇親会の場で、各参加者は相互の交流を深めた。

講演する芳賀徹さん。国際文化学のテーマに関する示唆に富んだ講演だった。


「その土地その場所が私の檜舞台です」と、坂本長利さん。
 国際文化学部は、学部完成と大学院(修士課程)開設を記念して、1月に瀬田学舎で、講演会と一人芝居を開催した。当日は、国際文化学部の学生や、一般の参加者約450名が4号館大教室の会場を埋めた。

 講演は、芳賀徹京都造形芸術大学学長が、「東西文化の往還」と題し、絵画のスライドを多数用いて、絵画を見る楽しさ、また、近代日本がどのように西欧文化に影響を受けてきたかなどをわかりやすく解説した。

 一人芝居では、俳優の坂本長利さんが、ロウソクの灯りだけという独特の雰囲気の中で「土佐源氏」を上演した。「土佐源氏」は、民俗学者宮本常一が、土佐山中、梼原村の橋の下で生活していた盲目の老人からの聞き書きをもとにしたもので、老人がたどってきた壮絶な人生を綴った物語。

 芳賀さんの講演が、押し寄せてくる西欧化の波を、当時の日本の知識人たちがどのように受けとめ消化していったか、という問題に迫っているのに対して、坂本さんは、日本固有の文化を運命的に背負ってきた一人の老人をみごとに演じた。
高橋尚子選手 左から小出監督、キダ・タローさん、高橋選手。(深草学舎顕真館で)
 昨年12月18日、20世紀最後のオリンピック、シドニー大会(開催:2000・9・15〜10・1)のマラソン競技女子で日本人初の金メダルを獲得した高橋尚子選手と高橋を育てた小出義雄監督(いずれも積水化学工業所属)が龍大深草学舎にやってきた。

 「ビッグトークショー」と題されたこの催しは、龍谷大学と経済学部同窓会の主催。タレントで音楽家のキダ・タローさんの司会で、高橋選手と小出監督が出会った時から、金メダル獲得までの日々を楽しいエピソードを交えて語った。

 当日は、本会場の顕真館に約800名、大型スクリーンに会場の模様を映し出した3号館教室には約300名が来場した。いずれも事前申し込みしていた人たちで、会場に入りきれなかった学生たちもひと目、高橋選手を見ようと顕真館周りに集まった。また、多くの報道陣も取材に訪れ、高橋選手の人気ぶりを改めて感じた。

 高橋選手は最後に「私は4年前、アトランタオリンピックで有森選手が銅メダルを獲得した瞬間をテレビで見ていました。そんな私でしたが、4年間がんばって金メダルを獲ることができました。ですから皆さんも4年間、目標に向かってがんばれば、きっと夢がかなうと思います」と龍大生にエールを贈った。
右が亀井さん。左が木澤さん。授賞式の行なわれた京都ホテルで。
 京都市が、スポーツ活動で全国レベルの顕著な活躍をした個人、団体に贈る「京都市スポーツ賞」の大賞に端艇部が本学として初受賞した。

 この賞は二年連続で優秀な成績を収めると「特別大賞」、単年度の活躍は「大賞」となり、昨年8月に行われた全日本大学選手権競漕大会(インカレ)で、女子舵手付フォア、女子ダブルスカルの2種目で優勝した功績が認められ、受賞に至った。2月9日に京都ホテルで授賞式が行なわれ、「特別大賞」の16人、6団体、「大賞」の29人、6団体が、桝本頼兼京都市長から表彰され、祝辞を受けた。

昨年8月のインカレで優勝した舵手付フォア。呼吸を合わせてボートを漕ぐ。
 出席した木澤由佳子さん(社会学部3年)、亀井乙乃さん(経済学部2年)は、「表彰はいろいろ受けたけど、こんなに大きな受賞式にはビックリ。是非、今年も頑張って連覇を狙い、次は特別大賞を受賞したい」と口を揃えた。

 なお、3月16日には「京都府スポーツ賞」の優秀賞も授与される。