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新刊紹介
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 仏教系六大学(駒澤大・大正大・立正大・大谷大・高野山大・龍谷大)で組織している大蔵経学術用語研究会の共同研究プロジェクトが編纂した事典。中でも本部事務局が本学に置かれている関係上、本学の果たした役割は大きいものがある。内容は「大正新修大蔵経」全100巻の中より400点余りの重要経典に解説を加えた、まさに仏典に関する入門書で、仏教学研究を始める学生の必需事典だ。初学者に対する様々な配慮がなされる一方で最新の研究情報も盛り込まれるという工夫もされている。加えて『大蔵経』全体に関する総括的解説や掲載経典の著訳者の説明もなされている。
 本学からは、理事で3名、編集委員で2名、執筆で34名が関わっている。
【編集委員 浅田正博(文学部教授)】

(2001年6月刊/588頁/永田文昌堂
/6300円)
 
         
『企業国際化の理論』
 
亀井正義(経営学部教授)著
 企業の国際化は貿易(輸出)、技術供与、対外直接投資と発展を深めて行くが、本書では対外直接投資の史的過程、その理論的アプローチを探求し、併せて、直接投資の結果、出現した多国籍企業の経営管理、統御の実態を論じている。各章の冒頭に、その目的を掲げ、本文には重要用語をゴチック体で表し、章末には問題を設定した。
2001年7月刊/150頁/中央経済社/2000円
『発達の土割』
 田中昌人(文学部教授)著
 著者の戦時中の小学校入学から、国民学校を経て、中学校2年生までの生い立ちと教育体験をまとめたもの。
2001年10月刊/77頁/萌文社/800円
ビデオ『発達診断の実際(7)―5歳児―』
 田中昌人(文学部教授)監修・共著
 生後第3の新しい発達の力の発生前後の変化を、構成、配列、描画等の課題場面で撮影・解説した。同一児に対する縦断発達学術記録である。
2001年9月刊/45分・解説書35頁/大月書店/28000円
ビデオ『あそびの中にみる5歳児』
 田中昌人(文学部教授)監修・共著
 『ビデオ 発達診断の実際・5歳児』の姉妹編で、同一児の課題場面でみた特徴が遊び場面でどのように自由度高く現れるかを撮影・解説した。
2001年9月刊/30分・解説書24頁/大月書店/18000円
『フェリックス・ガタリの思想圏 ―横断性からカオスモーズへ』
 杉村昌昭(経営学部教授)編・訳
 フランスの思想家フェリックス・ガタリのインタビューならびにガタリと親交のあった人々の「ガタリ論」などで構成した「ガタリ哲学」への入門書
2001年8月刊/189頁/大村書店/2200円
『開発主義神戸の思想と経営 ―都市計画とテクノクラシー―』
 広原盛明(法学部教授)編
 日本の開発主義自治体の典型である神戸市を対象として、都市計画の歴史及び計画官僚・テクノクラートの思想と行動様式を解明。
2001年10月刊/320頁/日本経済評論社/2800円
『幻の住宅営団―戦時・戦後復興期住宅政策資料目録・解題集』
 広原盛明(法学部教授)編
 日本最初の住宅国策機関である「住宅営団」の原資料復刻にともなう目録と解題を採集したもの。本書一冊で1万5千頁の原資料の全容を解明。
2001年7月刊/302頁/日本経済評論社/3600円
      
ビデオ『中国の古刹・名刹 ―念仏の源流をたずねて―』
 嵩 満也(国際文化学部助教授)脚本
 竹山(李)相哲(社会学部助教授)制作
 念仏の故郷中国寺院の史跡や現在の姿を映像化したもの。浄土教に関連のある11の寺院とそれにまつわる逸話の資料や史跡、現代中国の僧侶達の生活をはじめ、初公開の貴重な映像も数多く収録されている。
2001年10月発行/全6巻、1巻約52分/丸善/21800円
 
『死別の悲しみと生きる ―ビハーラの心を求めて―』
 鍋島直樹(法学部助教授)著
 「亡き人は過去の思い出の中にだけ生きているのではありません。現在と未来にも生きつづけます。」親鸞の言葉に依り、悲しみとともに生きる道を探る。
 誰にも避けることのできない死。そして遺された人々を覆う別離の悲しみ。そんな悲しみを受けいれ、さらに仏の慈悲にめざめる道を親鸞に求める。
2001年7月刊/31頁/本願寺出版社/100円
      
『理工系学生のためのMATLABビギナーズガイド』
 中西重康(理工学部教授)
 塩見洋一(理工学部講師)訳
 数値計算ソフトのMATLABの使い方をやさしく説明した"Introduction to MATLAB"の翻訳で、MATLABの超入門書。
2001年11月刊/176頁/山海堂/2000円
     
『アメリカ女子高等教育史―その成立と発展―』
 村田鈴子(国際文化学部教授)著
 アメリカ女子高等教育制度成立の歴史的事実とその過程、そこに登場する先駆的女子教育者達の果たした役割について記した点に特色ある書。
2001年10月刊/206頁/春風社/2500円
              
『日朝条約への市民提言』
 田中 宏(経済学部教授)共著
 日本と北朝鮮との間には未だに国交正常化が実現していない。日朝条約締結に向けて検討すべきいくつかの問題について分担して提言したもの。
2001年6月刊/98頁/明石書店/1000円
      
『龍安寺石庭を推理する』
 宮元健次(国際文化学部講師)著
 従来定説のなかった龍安寺石庭を、いつ、誰が、何を意図して造ったのかという3つの謎について主に西欧文化の影響といった視点から解明を試みた。
2001年8月刊/188頁/集英社新書/640円
『歎異抄講讃』
 林智康(文学部教授)著
 蓮如上人書写本「歎異抄」の原文と校異、歎異抄の本文・脚注・現代語訳・語句説明を述べ、歎異抄の著者・蓮如上人と歎異抄等を解説し、資料を付す。
2001年7月刊/335頁/永田文昌堂/7500円
          
『知的創造の経営学』
 井上 宏(経営学部教授)著
 経済のグローバル化、情報化と、大競争時代にふさわしい現代企業経営のあり方を、ポスト・フォーディズムの視点から、理論的、実証的に解明。
2001年9月刊/170頁/八千代出版/1800円
            
『イオンビーム技術の開発』
 上條栄治(理工学部教授)編著・監修
 物質を原子・分子のオーダーで操作(アトミックピンセット)する技術として注目されるイオンビームの基礎から薄膜機能材料の開発に関する専門書。
2001年6月刊/437頁/株式会社CMC/4700円
       
『なぜボランティアか?―「思い」を生かすNPOの人づくり戦略』
 筒井のり子(社会学部助教授)共訳
 ボランティアを受け入れる組織がボランティアとどのように協働していけばよいのか、その基本的な考え方と実践方法を示したもの。原題"FROM THE TOP DOWN"(by Suzan J.Ellis)
2001年9月刊/296頁/海象社/1700円
 
 母国ドイツのみならず、世界的に大きな影響を与えた、法哲学および刑法学の硯学アルトゥール・カウフマン教授が、長年にわたり収集してきた貴重な学術文献3595点と4043冊が、平成10年に本学蔵書となった。11年よりその整理をすすめていたが、このほど、「龍谷大学図書館所蔵・カウフマン文庫目録」として刊行され、広く研究者・学生・一般の方の本文庫活用への便を供することになった。希望者には目録を配布している。また、より検索しやすいようCD-ROM化し、こちらは本学図書館でのみ利用できる。

 問い合わせは、龍谷大学学術情報センター深草図書館課まで。
 TEL:075-645-7885
    
 真宗関係の専門書として、平成元年に出版した私の著書「真宗安心要文1」を紹介させていただきます。

 私は、昭和35年に入学、大学院修了まで10年間龍大で学び、現在神戸の高校で30年目の教鞭をとっております。現在、私が危惧しておりますことは、ややもすると、日本人の宗教意識が自己の利益(欲)と結びついて、病気が治るとか、金が儲かるとか等々、人間の自己満足の対象化にされつつあるということです。

 多くの方が、真宗の安心、すなわち、阿弥陀仏の本願によって必ず往生することができると信じ、己の心を仏のはたらきの中に安んじて、他のことに動乱されないようにとの願いから拙著をご案内させていただく次第です。

(法蔵館/2900円)
(瀬川豊・1964年文学部卒業・高校教諭・神戸市)
    
 小説が読めなくなった人におすすめの一冊。ストーリーがうそ臭く感じる人、話の展開に疲れる人、感情の起伏や人間関係のもつれにうんざりする人、理由のいかんを問わず小説が嫌いになった人にぴったり。

 有史以来の奇行愚行が400ページにぎっしり詰まっている。

 例を5つだけあげよう。頭部全体に毛髪の刺青を入れた男、ベッドから決して離れようとせず、死後はベッドごと埋葬された判事、飢饉に際して、わが身を食糧として提供するボランティア部隊を提案した政治家、サルタンの息子に存在しない言語を何年も教えた家庭教師、恋人に700通の恋文を送った青年(娘は郵便配達夫と結婚した)。理由にも原因にもふれず、常識を逸脱した人々を必要最小限の描写でひたすら紹介する。

 どの話からも長編小説がつくれるだろう。しかしそんなものを読む必要があるだろうか。200字の記述にこそ物語の本質があるのだから。