2002年は、西本願寺ののちの22代門主、大谷光瑞が率いる「大谷探検隊」が、中央アジア・シルクロード踏査の旅に出発して、100年。龍谷大学では、2001年より、2003年の3年間にわたって、シンポジウムや講演会などの大谷探検隊100周年記念事業を企画し、すでに実施したものもある(前49号で既報)が、このほど「百年目の大谷探検隊―阿弥陀が来た道―」と題した新たな企画を加えた。

 これは、本学と(財)仏教伝道協会とで「大谷探検隊100周年記念事業の会」を設置し、上山大峻本学学長を総隊長として、大谷探検隊の当時の踏査地域を再踏査するもの。毎日新聞編集委員の佐藤健さんと毎日新聞出版写真部編集委員の滝雄一さんが同行取材し、毎日新聞紙上に、文と写真での紹介が予定されている。

 100年前の大谷探検隊の調査地は、現在の中国・新疆ウイグル自治区や甘粛省、チベット、そしてインドなどアジア全域にまたがる広大な地域で、今回の再踏査の旅は、数回にわけて行なわれ、第一次隊は、この11月の3週間、新疆ウイグル自治区に出かけた。今回の隊員は、100年前の中央アジア隊にならって若者3人とし、東洋史学が専門の本学非常勤講師、市川良文さん、同じく東洋史の文学研究科博士後期課程の橘堂晃一さん、3次元コンピュータ・グラフィックスによる文化財復元をテーマにしている理工学研究科博士後期課程正司哲朗さんを派遣した。

 一行は、空路で区都・ウルムチに到着し、専用バスで天山北路のジムサール、天山南路のハミ、トルファン、コルラ、クチャ、ニヤ、ホータン、ヤルカンド、カシュガルなど、オアシス都市の仏教遺跡を中心に訪れた。

 この第一次隊の踏査の記録は、「毎日新聞」全国版元旦特集号「冒険の世紀へ」(仮題)で華々しく紹介される予定。

 この後、さらに、インド、西域、中国、日本の踏査を行ない、同行記者の佐藤編集委員の執筆で、本学研究者らの協力のもと、4月から半年間、「毎日新聞」日曜版で「阿弥陀が来た道」が連載される。アジアの文化人類学の視点から、(1)日本の精神文化の原点ともいうべき阿弥陀如来が来た道、(2)大谷探検隊の足跡、(3)玄奘三蔵の旅、(4)現代の中央アジアと中国の民衆の生活、(5)日本の阿弥陀信仰の歴史など、複合的、重層的なルポルタージュとして掲載されることになっている。

 年初より、マスメディアによる、大谷探検隊関係の龍大の取り組みや研究者の紹介が相次ぐ。毎日新聞の他にも、NHK教育テレビ番組「こころの時代」では、上山大峻学長が出演した「仏教の源流を求めて」〜大谷探検隊から100年〜(仮題)が、1月13日(日)に放映される。
 また朝日新聞の元旦特集号でも、大谷探検隊の意義と、本学100周年記念学術企画の紹介がある予定。

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