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新刊紹介
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■龍谷大学仏教文化研究叢書11
 江戸時代中期の真宗の僧侶で宗史家でもある先啓が編纂した私撰和歌集である。それを現代の人に読みやすいように翻刻し、いささかの研究を付して出版した。
 翻刻した底本には、龍谷大学大宮図書館に所蔵する西本願寺の前門主、大谷光照師の手沢本を使っている。
 その内容は法然・親鸞・蓮如等、真宗にまつわる僧侶の詠んだとされる歌を中心に、九百三十余首の釈教歌(仏教に関する歌)を集めたもので、真宗の教えを含め、広く仏教の心を詠みあげたアンソロジーである。本書が信仰を広める一助となり、仏教や文学の分野でも広く読まれ、研究されることを望む。

(2001年12月刊/242頁/臨川書店/5000円)
 子どもの行動が世の中を騒がすようになって既に久しいものがある。この書では、そうした彼らの行動を「悪」という観点に限定して論じている。悪には、制度や生命を犯す悪と、破壊を通して行為者に再生をもたらす悪の二つがある。前者が〈定着の悪〉、後者が〈生成の悪〉と呼ばれる。ところで、彼らはなぜ悪の行動をとるのか。それは彼らが置かれた状況に関連している。近代社会における彼らの地位には構造的な矛盾が課せられ、それに対応するために悪に走らざるをえないのだ。具体的には、前者にあたるものとして、うそ行為、性行動、学校内の暴力などが、また、後者としては秘密をめぐる行動あるいは神経症の治癒プロセスなどがとりあげられている。

(2001年11月刊/284頁/以文社/3400円)
 平成10年度より12年度までの3カ年、日本私立学校振興・共済事業団より学術研究振興資金の交付を受けて行なった仏教文化研究所共同研究「サンスクリット仏教写本の文献学的研究」の成果の一部である。本学図書館所蔵の大谷探検隊収集品の中にサンスクリット(梵語:インドの古典語)写本32点(ネパール写本24点、西域出土の断簡8点)が含まれている。「無量寿経」、「八千頌般若経」、「大乗荘厳経論」など仏典が主だが、医学書(いわゆるアーユル・ヴェーダ)も含まれる。これらを再整理し高品位のカラーマイクロフィルムに撮影した上で、デジタルデータ化した。Windows、Macintosh いずれにも対応。本学所蔵の貴重な写本資料を広く学界に公開するために、内外の研究機関及び研究者に無償で送付する予定である。(CD-ROM14枚組)
 
『タゴールとガンディ再発見』
長崎暢子(国際文化学部教授)共著
 現代文明の危機をいち早く警告した2人の思想の核心に光を当て、21世紀の危機を乗り越える道を探る。
2001年10月刊/89頁/法蔵館/952円
『反グローバリゼーション民衆運動―アタックの挑戦』
杉村昌昭(経営学部教授)訳
 1998年、フランスで結成された反グローバリゼーションをかかげる市民団体アタックの成立過程、国際運動としての展開、基本的主張と活動を紹介した本。
2001年11月刊/188頁/つげ書房新社/1800円
『Understanding movies』
Dougill, John E(文学部教授)著
 英語を学ぶ学生向けに、映画を題材にした教科書です。
2002年1月刊/105頁/マクミランランゲージハウス/1800円
『江戸の陰陽師―天海のランドスケープデザイン』
宮元健次(国際文化学部講師)著
 江戸の都市計画について幕府の宗教ブレーン・天海が陰陽道を駆使して行なった寺院、神社、城郭、城下町、街道塚などの配置を建築の視点から論じた。
2001年11月刊/205頁/人文書院/1900円
『加賀百万石と江戸芸術―前田家の国際交流―』
宮元健次(国際文化学部講師)著
 当時最大の120万石を領した加賀前田家がその財力のほとんどを注いだ芸術活動について、茶道、庭園、陶芸、漆芸への西欧文化の影響を明らかにした。
2002年1月刊/229頁/人文書院/1900円
『鉄合金状態図集』
江南和幸(理工学部教授)共編著
 循環型社会の金属材料として再び熱い視線が集まる鉄鋼材料の基本となる日本で最初の本格的鉄基合金状態図集。二元―多元系合計443系を収録。
2001年11月刊/607頁/アグネ技術センター/7000円
『知的創造の経営学』
井上宏(経営学部教授)著
 本書は、人間社会の本源をなす労働の自然法則に立って企業経営と経済の発展過程を分析しつつ、現代企業経営の課題と将来を展望している。
2001年9月刊/170頁/八千代出版/1800円
『企業分析入門(第2版)』
村瀬(亀坂)安紀子(経済学部助教授)共訳
 豊富な事例をもとに、財務・会計情報からいかに企業を分析・評価するかを解説するハーバード・ビジネス・スクールの定番テキストの日本語版です。
2001年12月刊/624頁/東京大学出版会/4800円
 今年2月に、4コマ物語「起承転落」(文芸社/1000円)を出版しました。
 4コマ物語とは、起承転結ならぬ起承転落の四小節からなる小説で、私が新たに開発した文学のジャンルです。ただ、本当にそうなのかは、読者の皆様で議論してほしい。また、4コマ物語にはいろいろな題材があり、日常の出来事、道端に転がっているような話、スポーツ、社会風刺、おとぎ話、パロディーなど様々です。読んだ後、皆様も作ってみませんか?
(藤川誠一・89年文学部卒・機能訓練指導員・神奈川県三浦市)
 「龍谷」読者の皆さんに問いたい。あなたはジャック・ウェルチが、どのような人物かご存知であろうか。もし「知らない」とすれば、ぜひ本書に目を通して欲しい。彼は今世界でもっとも賞賛される経営者である。ゼネラル・エレクトリック社のトップとして官僚的な体質に染まり、瀕死の状態になりかけたGE社の体質改善・構造改革を断行し、世界ナンバーワン企業に再生させた立て役者である。本書には彼の経営者としての歩みが克明に記されているわけだが、よく読むとそれは彼の生き方(トップとしての人生哲学)と行き方(トップとして明確なビジョンをもち、組織をその方向へと向かわせる経営実践哲学)が満載の“哲学書”といえるものだ。龍大関係者を含む、変わり行く日本社会を担うすべての方にとって必読の書である。本書との出会いをとおして、多くの有能なトップリーダーが育っていくことを祈念したい。