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共同研究活動
■龍谷大学善本叢書22
「奈良絵本」糸井通浩(文学部教授)責任編集
御伽草子などが、稚拙な絵を伴って絵本仕立てになっている古写本を奈良絵本という。室町時代末期から江戸時代前期にかけて盛んに制作された。本書は、龍谷大学図書館が所蔵している7作品8本の奈良絵本を、影印・翻刻によって広く研究の場に提供したものである。解説では、各伝本について、書誌的な解説にとどまらず、それぞれの系統や本文の特質についても述べている。収録作品は、「竹取物語」(2本)、「長恨歌」、「住吉物語」、「富士の人穴(草子)」、「志賀物語」、「文正草子」、「浦嶋太郎物語」(詞書のみ)である。本学文学部の教員を中心に組織された共同研究グループによって編集の作業がすすめられた成果である。

(2002年3月刊/上610頁・下564頁/思文閣出版/36000円)
■龍谷大学社会科学研究所叢書第46巻
「参加型開発」齋藤文彦(国際文化学部教授)編著
1990年代の発展途上国の経済・社会開発を目指す戦略は、途上国の住民自身の開発過程への参加を重視している。そこでは経済成長自体が目的ではなく、住民が開発活動に主体的に参加することで、経済成長が住民の生活レベルの向上に実際に結びつくことを意図している。他方、途上国では厳しい現実に直面しつつ参加型開発の試行錯誤が繰り返されている。本書はアジアやアフリカの様々な国々の事例をもとに、このような発展途上国の貧困や国際協力のありかたを検討するものである。今日の日本の国際貢献のあり方に一石を投じるものとして、読売新聞の5月12日の書評にも取り上げられた。本の目次など詳しくは出版社のホームページを参照のこと。(http://www.nippyo.co.jp/)。

(2002年3月刊/248頁/日本評論社/3000円)
■龍谷大学社会科学研究所叢書第47巻
「現代社会における医療・生命・環境」平野武(法学部教授)編
龍谷大学社会科学研究所の共同研究「生命・環境の諸問題」をまとめた成果である。また、社研叢書第47巻として出版されたが、同叢書第32巻「生命をめぐる法、倫理、政策」、38巻「生命・環境と現代社会」の後継書でもある。これらの叢書で貫かれた学際的な研究スタイルを受け継いで、本書も哲学・倫理学、宗教学、仏教学、社会学、法学、生物学、工学さらには畜産や医療の分野に及ぶ幅広い執筆者の論稿を収めている。生命、環境をめぐる問題は、21世紀の最も重要で深刻な問題のひとつであり、本学で取り組むべき最重要のテーマであるといえよう。本書は、そのようなテーマについての本学ならではのアプローチに示唆を与える内容となっている。

(2002年3月刊/264頁/晃洋書房/3900円)
■龍谷大学社会科学研究所叢書第48巻
「リスク管理と企業法務」武久征治(法学部教授)・辻本勲男(法学部教授)編
激動期の現代企業が自己を維持・発展していくためには、収益の予見可能性を担保する業務遂行体制とりわけ「リスク管理体制」の確立が不可欠である。本書は、この「リスク管理」が「法を企業活動の現場に活かす」ことによってこそ実現されるとの確信のもとに、リスクの要因やその予防・解決策(コーポレート・ガバナンス、企業法務家・弁護士の役割、企業組織や取引活動への対応など)を検討するものである。
本書は2編構成となっている。第1編「現場から見た企業法務」は、企業法務の現場に身をおいてきたものが多くの事例経験を踏まえて論じ、第2編「企業法務の新たな課題」は、研究に携わってきた者が、激動期にある現代企業の課題を論じている。

(2002年3月刊/209頁/法律文化社/5000円)
2001年度出版助成
「アルザス文化史」市村卓彦(文学部教授)著
フランスのアルザス地方についての先史時代から現代までの通史である。アルザスはドイツ、スイスと国境を接する。この地理的要因によって、ヨーロッパの主要な事件を共通体験しながら、ラテンとゲルマンの異質な文化の間で、アルザス固有の言語とその優れた文化を形成してきた。しかし、アルザスは絶えず独仏両国の領土的野心の犠牲になり、国籍、国家語の度重なる変更によってアイデンティティ危機を経験しなければならなかった。「各国が国民国家を越えようと模索している現在、重い経験を重ねてきた国境の地を対象とする本書は、未来のヨーロッパ像を考える見取り図としても役立とう」(池上俊一氏『朝日新聞』4月21日号)。

(2002年2月刊/488頁/人文書院/4800円)
経営概念を社会的・組織的概念および社会合理性において捉え返し、経済合理性を限定づける。これを「社会経営」とし、企業、学校、地域、病院、福祉、家庭、NPOなどを包括する。また、社会合理性は、これら諸経営体の独自性(質の相異)を承認しつつ、その相互緊張関係をふまえた上で成立する合理性である。それは「市民社会」としての合理性でもある。つまり、社会は市民の諸経営体への自発的・自主的参加によって組織され管理されることによって成立しているという視点である。ここから諸経営体のあり様を構想し、さらに諸経営体が互いの質を異にしつつ社会的に共生するという視点が本書での社会経営学・市民経営学の方法である。

(2002年2月刊/236頁/晃洋書房/2900円)
元本学留学生にしゃんたさんが出版「留学生が愛した国・日本」
J・A・T・D・にしゃんた著
(山口県立大学専任講師 2001年3月経済学研究科
 博士後期課程単位取得満期退学)

『スリランカの少年が夢見た憧れの国、日本への留学。学問、差別、生活の様々な場面で日本に生きる決意を固めた著者が大学教師になるまでの日々を明るく美しい日本文で綴る。日本の美を求めた感動の手記』
──現代書館 公式サイトより

(2002年5月刊/216頁/現代書館/1900円)
 
「龍谷」出版情報
『輝くいのちをみつめて』
友久久雄(文学部教授)著
 仏教と医療の接点を求めて、臓器移植、尊厳死、カウンセリング、生活習慣病、ビハーラなどについて述べ、人の生き方を考える時に参考となる本。
2002年6月刊/267頁/本願寺出版/1000円
『サービス産業経営論―21世紀の産業・経営』
羽田昇史(元経済学部教授)編
 各分野の専門家(8氏)の参加を得て、21世紀の産業の展望と経営体(企業・非営利組織・NPO・行政)について究明した著作である。
2002年5月刊/288頁/税務経理協会/3100円
『ソーシャルワーカーにおけるバーンアウト』
清水隆則(社会学部教授)共編
 社会福祉士の燃え尽き症調査を中心に社会福祉専門従事者のストレスを総合的に説明したものであり、ストレスの対策とその予防策も述べてある。
2002年4月刊/219頁/中央法規出版/2300円
『聖戦』
坂井定雄(法学部教授)翻訳
 世界的ベストセラーになった「タリバン」の著者アハメド・ラシッドの最新作。米英日同時発売。中央アジアを焦点にイスラム過激派の新聖戦を予想。
2002年4月刊/402頁/講談社/2800円
『WTO徹底批判!』
杉村昌昭(経営学部教授)翻訳
 ベストセラー『なぜ世界の半分が飢えるのか』で世界的に著名な経済アナリスト、スーザン・ジョージが、グローバリゼーションを先導するWTOを批判した書。
2002年4月刊/126頁/作品社/1300円
『プラズマ・イオンビーム応用とナノテクノロジー』
上條栄治(理工学部教授)監修
 プラズマ・イオンビームの基礎から機能材料への応用まで最先端を詳細に解説したもので、原子・分子を操るナノテクノロジーへの展開が期待される。
2002年3月刊/316頁/シーエムシー出版/6万5000円
『Byron and Italy: A Study of Childe Harold's Pilgrimage, IV』
東中稜代(文学部教授)著【英文】
 イタリアが舞台のバイロン作『チャイルド・ハロルドの巡礼』第4巻の主題として歴史、芸術、自然を論じ、また作者の自己投影の軌跡を跡づけた研究。
2002年3月刊/200頁/龍谷学会/非売品
『基礎コース憲法』
平野 武(法学部教授)共著
 日本国憲法の基本的な原理と規範構造を人権保障の問題に比重を置き、解説するもの。最新の判例等を取り上げ、具体的事例に即して問題を検討する。
2002年5月刊/186頁/晃洋書房/2200円
『派遣・契約社員 働き方のルール これだけは知っておきたい労働法』
脇田 滋(法学部教授)著
 派遣社員や契約社員として働くときの法律や契約をめぐる問題を判りやすく解説する。Q&Aの形式で実際によくある相談例を集めている。
2002年4月刊/163頁/旬報社/1600円
『文化社会学への招待』
亀山佳明(社会学部教授)編
 文化を構成する要素としてのさまざまな芸術(文学・マンガ・映画など)を、社会学に導入することによって、その知をより豊かにする試みの一冊。
2002年4月刊/334頁/世界思想社/2000円
『建築の配置計画―環境へのレスポンス―』
宮元健次(国際文化学部助教授)著
 建築の配置計画の実例を自然、都市、精神社会という3つの環境対応形式に分類し、その計画意図と特徴を平易に解説。配置計画に関する初めての書。
2002年4月刊/128頁/学芸出版社/2800円
『これでいいのか日本の食料』
シンプソン・ジェイムズ(国際文化学部教授)著
 国際農業研究者からの日本の消費者へ発せられた警告書である。WTOでの決定が日本に与える影響、また、食料安全保障は譲れない権利であることを説いている。
2002年5月刊/210頁/家の光/1575円
『楽しく学べる大学英語』
角岡賢一(経営学部教授)著
 大学英語の入門的内容。基本的な文法項目の説明を中心にまとめてある。..CD―ROM付き。
2002年4月刊/92頁/松柏社/1700円
『PARASITES』
カルドネル シルヴァン(国際文化学部講師)翻訳
 村上龍の『共生虫』という小説の仏語訳。
2002年2月刊/288頁/Philippe PICQUIERS (FRANCE)/20ユーロ
『テロル機械』
村澤真保呂(社会学部講師)共訳
ローラン・ディスポ著
 フランス革命の大恐怖政治に起源をもつテロリズムについて、歴史と変容のプロセスを追うとともに、国家との関係について考察する。
2002年4月刊/354頁/現代思潮新社/3800円
『家族中心の看取りと葬送』
龍谷大学短期大学部社会福祉科編
 家族中心に終末期のケア、看取り、葬送を行なう上で必要とされる基本的知識を、生活者に合致した形で提供することを目的に編集された。
2002年4月刊/204頁/晃洋書房/1500円
こんな教育があるのかと驚いた。例えば世界史。アメリカのプレップスクール(4年制寄宿制私立学校)2年に留学中の著者は世界史の授業でパリ講和会議のシミュレーションで日本代表を演じることになる。講和会議以前の史実は曲げないで、自分たちが新たに講和会議を行ない、それが試験となる。2年生全員がそれぞれの代表国のメンバーとなり、史実を頭に入れた上で、専門会議に臨むのだが、それまでに各国メンバーは他国とeメール討論、図書室で本やインターネットを駆使しての提案文作成、さらに「賠償金」、「軍縮」、「国際連盟」、「戦争責任」等の分野に分かれて作戦を練っている。本会議では1919年とは異なる、2001年版のベルサイユ条約が調印される運びになるが、現在の世界状況から事件を捉えており、歴史を学ぶおもしろさがにじみ出ている。世界の政治や経済の場でのアメリカの交渉上手は、すでにプレップスクールで培われているのだろうか? 著者は16歳!
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