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新刊紹介
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2002年度出版助成
「アフリカ人の覚醒」 川端正久(法学部教授)著
アフリカ人の覚醒 イギリスの植民地時代のタンガニーカ(現在のタンザニア)におけるアフリカ人民族主義の形成についての精密な研究の集大成。従来、黙殺されてきた現地の民衆に焦点をあて、一次史料をふんだんに利用し、鮮やかにかつ客観的にアフリカ現代史の再構成を試みる。内容はタンガニーカを独立に導いた民族主義組織のタンガニーカ・アフリカ人民族同盟(TANU)が成立するまでの初期民族主義組織のアフリカ人協会(AA)に焦点を合わせた、タンガニーカ民族主義形成史に関する研究である。イギリス植民地支配のもとでタンガニーカのアフリカ人が「アフリカ人」としての民族的自覚をどのように認識するようになったか、多様なアフリカ人組織がいかに初期民族主義に接近したのか、総体としてタンガニーカ民族主義の全体像を描写することを目的としている。

2002年12月刊/435頁/法律文化社/9500円
「フロストの『西に流れる川』の世界」 藤本雅樹(経済学部教授)著
「フロストの『西に流れる川』の世界」 芸術家の多くが早晩直面する深刻な問題―つまり、老いとともに訪れてくる詩的想像力の衰え―を感じつつあったアメリカの国民的詩人ロバート・フロストが、第5詩集『西に流れる川』を境に、「知性と直感の合一」を目指しながら、いかにして自己の抒情詩の世界に新たな方向性を付与していくことになったかという点に焦点を絞り、個々の作品を読み解いていった書。また、古い芸術形式の1つである「詩」の今日的な存在意義や、「詩」を読むことの面白さ、さらには言葉が作り出す「意味の磁場」が私たち読者にどのような心的作用を及ぼすものであるかを、詩の愛好家の1人という立場から自由に語った書でもある。

2003年1月刊/270頁/国文社/2700円
「龍谷」出版情報
「社会福祉と仏教」 龍谷大学短期大学部編
「社会福祉と仏教」 仏教科と社会福祉科の両学科に所属する16人の教員が執筆した。若原道昭「H.―J.ガムの批判的教育」、濱上征士「児童虐待対策の展開」、加藤博史「非戦と福祉」、飯田一道「共生福祉への道」、朝枝善照「花岡文学の本質」、楠淳證「貞慶撰『辧財天式』・『辧財天女講式』にみられる利生思想」等の計16点からなる。「福祉」について多角的観点より考証した好著。

2000年11月刊/377頁/百華苑/4500円
『企業経営・変革の新世紀』
夏目啓二(経営学部教授)編
 新しい世紀に入っていま企業経営はどこに向かって進んでいるのか、また進むべきであるのか。本書はこの問題を「経営と社会」の係わりを解明する立場から捉えようと試みた。
2002年8月刊/224頁/同文館出版/3000円
『プライマリー会社法』
古瀬村邦夫・藤田勝利・北村雅史編
小柿徳武(法学部助教授)共著
 平成14年商法大改正の内容を盛り込んだ最新のテキスト。初めて会社法を学ぶ人にもわかりやすいよう、コラムなどをもうけて工夫をこらした。
2002年11月刊/259頁/法律文化社/2700円
『佛教と芸能―親鸞聖人伝・妙好人伝・文楽―』
土井順一(元文学部教授)著
 故土井順一教授の遺稿集。平成15年1月19日大宮学舎本館講堂での3回忌法要と同日に刊行。著者の長年に渡る研究成果14篇を文学部林智康教授と西野由紀非常勤講師が編集。「乙女文楽の研究」については学問的研究と共に実演に尽力していたことが窺える。
2003年1月刊/375頁/永田文昌堂/7500円
『「後漢書」第四冊 列伝二(巻十三〜巻二十)』
吉川忠夫(文学部教授)訓注
 『後漢書』は1世紀初〜3世紀初の後漢時代の歴史を伝える正史。そのすべてについて訓読訳を行ない、注釈を施し、また適宜現代語訳を付す。
2002年11月刊/472頁/岩波書店/11000円
『BRITISH CULTURE IN POPULAR MOVIES』
ドゥーギル・ジョン(文学部教授)著

 90年代の有名なイギリス映画を通してイギリス文化を学ぶのに有効なテキストとなっている。12章に渡って描かれたイギリス文化が興味深いだろう。
2003年1月刊/58頁/英潮社/1500円
『ロンドン塔は残った―震災を超えた歴史的校舎保存の記録―』
押田榮一(社会学部教授)編・発行人
 昭和初期に建てられた旧制中学校(現・神戸高校)の校舎の改築をめぐり、保存運動に取り組んだ市民活動の記録書。その事例として本学大宮学舎保存運動の紹介もある。
2003年1月刊/225頁/六甲出版/1800円
『非営利組織研究―その本質と管理―』
島田 恒(経営学部教授)著
 非営利組織の存在意義を学際的に論考し、それが成果を実現するための管理論を展開している。「ミッション」を持って全体を貫き体系づけている。
2003年1月刊/202頁/文眞堂/2800円
『現代南アジア1 地域研究への招待』
長崎暢子(国際文化学部教授)編著
 本学が事務局となって行なった特定領域研究「南アジアの構造変動とネットワーク」の成果である。全6巻。現代南アジアに関しての体系的叢書は日本初の試みである。
2002年9月刊/400頁/東京大学出版会/4800円
『日本社会福祉の歴史 付・史料』
清水教惠(社会学部教授)編著
 日本の近現代の社会福祉の歩みを本文と100点の史料、年表の3本柱で構成説明し、日本社会福祉史を深く理解できるように企画されている。
2003年1月刊/335頁/ミネルヴァ書房/3200円
『中国人物列伝』
木田知生(文学部教授)共編
 春秋戦国時代の動乱期を駆け抜けた男たちと秦から明の王朝を潰した逆臣達を描写し、その時代相と王朝内部崩壊の諸相を探る。シリーズ第1作。
2002年10月刊/341頁/恒星出版/1500円
『障害児教育の最前線』
友久久雄(文学部教授)共著
 一人一人のニーズに応じた特別な支援のあり方を、重症心身障害児、L.D.児、発達障害児、自閉症、A.D.H.D.児などについてまとめたもの。
2002年11月刊/247頁/大阪養護教育振興会/1800円
『ENGLISH COMPOSITION WORKBOOK』
村田和代(法学部講師)共著
 初級学習者対象の発信型英作文テキスト。文法の基本知識を確認させ、その用例を使ってe-mail, letter, レシピ等実生活で使えるwritingの練習をする。
(巻末に提出可能なタスクシート付)
2003年1月刊/103頁/マクミランランゲージハウス/1800円
●読者のひろば
「楽しいくす玉づくり暮らしに彩りをそえる手の知恵」を出版しました
「楽しいくす玉づくり暮らしに彩りをそえる手の知恵」 古くから日本に伝わる伝承のくす玉・創作のくす玉・平面のユニットを組み合わせて作る多面体のくす玉・ユニットの組み合わせ方次第で作ることの出来る暮らしに役立つ小物などを紹介しています。くす玉はたくさんの単体を作る必要があり時間はかかりますが、創りあげたときの喜びはとても大きなものになります。長く続けられる楽しみの一つとして是非挑戦してみてください。
パッチワーク通信社/1300円
(田坂節子・2000年大学院経済学研究科修士課程修了・大阪市)
おススメの一冊 岡田実花子 マイケル・J・フォックス 「ラッキーマン」
ラッキーマン マイケル・J・フォックスという俳優をご存知でしょうか。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の主人公と言えば、思い出す人も多いでしょう。
 この本は、30歳の若さで若年性パーキンソン病に侵された彼が、自らの人生、家族、仕事、そしてパーキンソン病との戦いを綴った自伝です。
 1998年、自分がパーキンソン病であることを公表。その7年も前から、彼はこの病気のことを家族や肉親以外の人にひた隠しにしてきました。この発表による世間の反響は大きいものでしたが、やがて彼は、自分の病気を受け入れ、自分と同じ病気で戦う同士との出会いを通し、今、治療法を探すために様々な活動を行なっています。
 彼は、長い病気との戦いを経て、自分にとって大切なもの、つまり、病気と闘う彼を支えた妻・家族・友人を見つけ出します。
 この本に描かれている彼は、華やかなショービジネスの世界で活躍する彼ではなく、一人の人間として難病に立ち向かい生きる、ありのままの彼です。
 誰でも、いつどんな病気や障害と出会うか分かりません。もし、自分が彼と同じ立場となったら何ができるのか。そして、この本を読み終えた時、自分には一体何ができるのか。生きることの本質を考えさせられる一冊です。