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新刊紹介
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共同研究活動
「京都の地域金融理論・歴史・実証」湯野勉(経済学部教授)編著
 社会科学研究所の共同研究「地域金融の課題 京都における事例研究」の成果をまとめたもの。
 第1章・地域金融をめぐる諸概念・京都の金融構造(湯野勉)、第2章・信用の地域化は地域を活性化するか?(谷直樹)、第3章・戦前期の京都における本店銀行(佐々木淳)、第4章・なぜ京都は「信金王国」なのか?(佐竹光彦、大阪大学・筒井義郎)、第5章・京都のメインバンク関係1980―2000年(摂南大学・加納正二)、第6章・業種別実効貸出金利にみる「京都金利」の実態(摂南大学・加納正二)、第7章・ベンチャー金融の地域性と京都(湯野勉)からなる。
 
2003年3月刊/190頁/日本評論社/4500円
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「社会科学リテラシーの確立に向けて」西堀文隆(経済学部教授)編著
 「社会科学リテラシー」という聞きなれない言葉は編著者(西堀)の造語である。イラク戦争時に、「フセイン国際空港はすでにアメリカ軍の制圧下にある」という報道があった時、「今なおイラク軍の手にある」という報道もあった。この時、真実に近づけるのはメディアリテラシーによってである。
国際問題や日本の長期経済低迷に対しては、単に経済学だけでアプローチしては充分でなく、政治学・国際関係論など、総合的にアプローチする必要がある。社会科学リテラシーの提起によって社会科学の構造改革をねらったものである。
内容は、I 21世紀の社会科学へ、II 新しい問題提起、III 情報化と社会科学、である。
 
2003年3月刊/193頁/日本評論社/4500円
写真2
「注維摩詰経一字索引」 龍谷大学仏教文化研究所西域研究室編
 鳩摩羅什(くまらじゅう)訳『維摩詰経』(ゆいまきつきょう)の最古の注釈書である『注維摩詰経』(ちゅうゆいまきつきょう)は、翻訳者の鳩摩羅什とその弟子釈僧肇(しゃくそうじょう)と竺道生(ぢくどうしょう)との合注本で伝わっている。『維摩詰経』自体の一字索引は既に存するので、注釈文のみの索引とした。本文編は、この索引のために新しく編集したもので、横書きに組替えている。底本(ていほん)は大正新脩(しんしゅう)大蔵経所収の『注維摩詰経』で、校訂のためには1990年刊の上海古籍出版社本を用いた。これは中華民国時期の刊行本の影印である。索引編は、『注維摩詰経』のなかの漢字を50音順に検索でき、目当ての漢字を含む短文を記しているので、助字の使用例を一覧できるという利点もある。注釈者の名を 什 肇 生 というようにまず挙げているので索引を見るだけでどの師の注釈であるかが判る。
 
2003年3月刊/511頁+「注維摩詰経」200頁/法蔵館/1万7000円
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「大谷文書集成 第三巻」 龍谷大学佛教文化研究所編 小田義久(文学部教授)責任編集
 大谷探検隊将来漢文文書断片類の内、大谷四五〇一号から五八四〇号及び八〇〇一号から八一四七号(『西域考古図譜』所収文書)までの写真図録と釈文を掲載した。『大谷文書集成』『壱』・『貳』に続く本書の完成により、大谷文書中の漢語資料の全容に接することが可能となった。さらに、本書により大谷文書中に、中国の『吐魯番(トルファン)出土文書』や英国スタイン第三次探検における吐峪溝出土文書と綴合する断片の存在も明らかとなった。また、唐代西州(吐魯番)における均田制度の施行を実証した一連の土地制度文書(給田文書・退田文書・欠田文書等)は、全て墓に埋納された四神の一つである「青龍」の作製に利用された二次利用廃紙であることも判明した。本書は、内陸アジア古代文化と歴史研究者、特に東洋史学関係者待望の書である。
 
2003年3月刊/248頁/法蔵館/3万8000円
写真4
「The Sutra of Contemplationon the Buddha of Immeasurable Life」 山田明爾(名誉教授)監修
 『観無量寿経』の、解説と詳細な註釈を伴った、可能な限り漢文に忠実な英訳である。浄土教で最も重要とされる「浄土三部経」の一つ『観無量寿経』は、善業に無縁だった在俗の凡夫でも「南無阿弥陀仏」を称えることによって救われると明快に説いた経で、七世紀以後、漢字文化圏の人々の死生観に決定的な影響を与え、平安浄土教の原動力となった経典である。同時に阿弥陀堂や浄土曼陀羅、来迎芸術などを生み出した、仏教美術史上の大きな存在でもあった。5世紀ごろ、インドや中央アジアの要素を吸収した上で中国に成立した東アジア仏教の典型がこの経典と言える。インド、中央アジア、中国の出会いをできるだけ翻訳に反映させることに重点を置いた。
 
2003年3月刊/212頁/龍谷大学仏教文化研究所・仏典翻訳研究会/3000円
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2002年度出版助成
「日本のアジア報道とアジア論」 卓南生(国際文化学部教授)著
 シンガポールの主要紙「星洲日報」の東京特派員などを経て、現在、同学部で「アジアのマスメディア」を教えている著者が、最近の十年間を中心にした日本のアジア報道に鋭いメスを入れるとともに、その背景にある日本のアジア観を浮き彫りにしている。
とりわけアジアからの留学生や外国人労働者の受け入れ問題、江沢民主席の訪日をめぐる問題、中国・瀋陽の日本総領事館事件などで、大方の日本のジャーナリストとは違った視点から日本とアジアとの認識のギャップや少なからず誤解があることを興味深い論調で実証してみせる。第I部「日本のアジア観と報道」、第II部「日本のアジア報道を読む」の二部構成、計12章から成っている。
 
2003年2月刊/319頁/日本評論社/4000円
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「人間とスポーツの歴史」渡部憲一(文学部教授)著
 近代スポーツは、「成果の競争」、「激しい肉体活動」を伴う営みとして定義されてきた。しかし、この規定にこだわると古代やルネサンスのスポーツが見えてこない。それどころか、女性や障害者のスポーツさえもこぼれ落ちてしまう。反対に「成果の競争」という近代の呪縛から自由になると、スポーツは人間に不可欠の営みとなって浮かびあがる。例えば、魂を手懸かりに「徳」を目指した古代ギリシアのスポーツや、魂にもまして生きた身体への確信に基づくペトラルカの、つまり、ルネサンスのスポーツは「人間的生の表現」という点で共通している。本来スポーツは、人間の水先案内として受け継がれてきたはずである。『人間とスポーツの歴史』は、人間の側に立つスポーツを歴史的に叙述しようと試みたものである。
 
2003年2月刊/559頁/高菅出版/8571円
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「龍谷」出版情報
『Globalization in Southeast Asia』
青木恵理子(社会学部教授)共著
 東インドネシア・フローレス島の人々は、様々な語りによって自分たちを世界の中心とする。彼らにとってのグローバリゼーションの意味を考察した。
2003年3月刊/262頁/Berghahn Books出版/US$69.95
『国際人権法入門』
戸塚悦朗(法学部教授)著
 国際人権法に実務家の視点で関わった活動の成果と道程。それをもとにした改革の提言。参議院憲法調査会への提言など。初学者に入門書として提供。
2003年5月刊/320頁/明石書店/2400円
『ネグリ生政治的自伝』
杉村昌昭(経営学部教授)翻訳
 アメリカの思想家マイケル・ハートとの共著『帝国』が世界的ベストセラーになり、一躍有名になったイタリアの哲学者アントニオ・ネグリの自伝。
2003年3月刊/241頁/作品社/2200円
『化学教科書シリーズ 錯体・有機金属の化学』
松下隆之(理工学部教授)共著
 金属イオンが関与する化学反応は多岐に渡っている。本書は、金属錯体・有機金属の基礎事項から最先端の応用まで、わかりやすく解説している。
2003年2月刊/204頁/丸善/2800円
『「個人」の欲求―日本文化の中で』
ポーリン ケント(国際文化学部助教授)共著
 河合隼雄氏の編著。日本文化の中で個人を新たな視点からとらえる論文集。武士道や貴賎群集の中の「個」や日米、日中の比較から個人を探求している。
2003年2月刊/334頁/NHK出版/2400円
『現代政治学(新版)』
石田徹(法学部教授)共著
 政治とは、政治学とは何か。現実政治を科学的分析し、21世紀の新しい政治のあり方を描く。構成・説明のよりスムーズな展開を目指して新版化した。
2003年2月刊/267頁/有斐閣/1800円
『公共政策学』
石田徹(法学部教授)共著
 政治学の一領域としての公共政策研究の意義を提起。公共政策の課題を包括的に検討。政策デザイン論、政策過程論、政策アクター論、政策規範論の4部からなる。
2003年5月刊/389頁/ミネルヴァ書房/3200円
『ECSTASY』
カルドネル シルヴァン(国際文化学部講師)翻訳
 村上龍の小説『エクスタシー』の仏語訳。
2003年3月刊/303頁/Philippe PICQUIERS出版社/18.50ユーロ
『アフリカ・ルネサンス 21世紀の針路』
川端正久(法学部教授)共編
 21世紀の現在、アフリカは変動している。転換期にあるアフリカ政治経済の全体像を解剖する。ペシミズムからルネサンスへ、最前線の記録。
2003年5月刊/212頁/法律文化社/2300円
『周氏冥通記研究 (訳注篇)』
川端正久(法学部教授)著
 『周氏冥通記』は陶弘景の弟子、周子良の神仙との交感の記録。『眞誥』とともに芽山道教に関する基本資料。本書は京大人文科学研究所の研究報告。
2003年3月刊/249頁/道気社/非売品
『「後漢書」第五冊 列伝三(巻二十一〜巻三十一)』
吉川忠夫(文学部教授)訓注
 『後漢書』のすべてについて訓読訳を行ない、注釈を施し、また適宜現代語訳を付す。全体で10冊計画の半ばまで到達した。
2003年5月刊/550頁/岩波書店/1万3000円
『医療保障論』
松溪憲雄(社会学部教授)共著
 医療保障や、これに密接に関係する介護保障などについて、その現状・課題・展望を多面的に考察したもの。
2003年5月刊/218頁/光生館/2600円
『バイト・フリーター110番』
萬井隆令(法学部教授)監修
 バイト学生やフリーターが働いていて直面する法律問題について、易しく学べるように会話の形で解説したもの。用語や紛争処理機関の説明もある。
2003年3月刊/63頁/かもがわ出版/571円
『現代イタリアの極右勢力―第2次世界大戦後のイタリアにおける急進右翼』
高橋進(法学部教授)翻訳
 戦後イタリアの急進右翼の政治社会学的な分析。その歴史、政治戦略、思想内容と共に、国家諸機関、特に軍や官僚、政治家との関係を詳細に解明。
2003年2月刊/318頁/大阪経済法科大学出版部/5200円
『在外子弟教育の研究』
小島勝(文学部教授)編
 第二次世界大戦前・戦中における「在外子弟」、すなわち親の移民や海外駐在のために外国で生育した日本の子どもの教育の実態について、ハワイ、アメリカ、ブラジル、満州、シンガポール各地を射程に論じるとともに、沖縄県の移民の子どもの教育や派遣教員の実際を論じている。
2003年2月刊/360頁/玉川大学出版部/8500円
『現代世界経済をとらえる』
夏目啓二(経営学部教授)共著
 グローバル化が進展する世界経済に関する基礎知識・基礎理論を、わかりやすく正確に解説した世界経済論、国際経営論。
2003年3月刊/284頁/東洋経済新報社/2000円
『近江の無墓制と「ぼんなり」考』
志水宏行(元社会学部教授)著
 故志水宏行教授の遺稿集。2003年3月24日の一周忌法要と同日に刊行。近江には真宗寺院が多いだけでなく、村々に独自の宗教慣行が根づいている。本書は、その近江をフィールドにした教授の研究成果である。墓を持たない村や剃髪式を受け余生を仏道一筋に生きる「ぼんなり」の論考など10編を集録。
2003年3月刊/240頁/法蔵館/3200円
『宗教と科学のあいだ』
武田龍精(文学部教授)著
 生命科学や宇宙論など現代科学の状況を総覧し、西田幾多郎・ホワイトヘッドの哲学をベースに、仏教の視座から〈宗教と科学〉のあるべき関係を探る話題の書。
2003年4月刊/260頁/法蔵館/2000円
『関係性理論の新展開:認知とコミュニケーション』
東森勲(文学部教授)共著
 ことばによるコミュニケーションで聞き手が頭の中の情報をどのように用いて推論し、計算しているかを、ジョークや広告までデータとして分析したもの。
2003年2月刊/216頁/研究社/2800円
『日本の金融問題―検証から解決へ―』
亀坂安紀子(経済学部助教授)共著
 本書は、日本の金融問題について考える研究会である郵政研究所ファイナンス・フォーラムの研究成果を公刊するものである。
2003年3月刊/435頁/日本評論社/4800円
『Exploring Japaneseness On Japanese Enactments of Culture and Consciousness』
李洙任(経営学部教授)共著
 Addresses Japanese national and cultural identity through the lenses of communication, linguistics, anthropology, and psychology.
2002年1月刊/480頁/Ablex Publishing出版社/US$34.95
『日韓小売業の新展開』
川端基夫(経営学部教授)共著
 日韓の流通研究者による比較研究書。韓国でもハングルで同時出版された。これまでベールに包まれていた日本と韓国の小売業の関係性が解明された。
2003年3月刊/330頁/千倉書房/3800円
『現代 東南アジア入門』
川端基夫(経営学部教授)共著
 変貌著しい東南アジアの地域像を浮き彫りにする入門書。都市、工業、商業、チャイナタウン、村落、焼き畑など多様な角度から東南アジア像を捉える。
2003年4月刊/239頁/古今書院/2600円
●読者のひろば
「お寺の経理と税務」(新訂版)
 住職で税理士の著者が、住職と同じ視点に立って、住職に役立つ本をと著した寺院経理と税務の解説書。
お寺の会計処理と税務を初歩からわかりやすく説明するとともに、Q&A形式により具体例をあげて解説。住職はもとより寺務にかかわる方の力強い味方になるだろう。
昭和62年の初版本を税法改正などにあわせて書き改めた新訂版。昨年8月、日本税理士連合会より推薦図書として指定を受けた。
2002年11月刊/238頁/六法出版社/2000円
(永守善円・1952年文学部真宗学科卒業・住職・京都市伏見区)
写真8
「辞世の風景」
  辞世が生まれる背景を取材した一冊。第一級の資料と写真によって人物と時代が立ち上がってくる。百人百話の形式であるから神話の時代の弟橘比売命を訪問するのも現代の江國滋を訪問するのも任意である。また武蔵坊弁慶や石川五衛門・鼠小僧次郎吉といった日本人の心象風景に棲みついた人物も登場する。座右の書として、旅のガイド本として、読まれ方も多彩である。
2003年2月刊/213頁/和泉書院/1800円
(吉岡生夫・1974年文学部仏教学科卒業・歌人・大阪市)
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「Paradise in Blue」−西田 茂 写真集−
 地球は表面積の70%が海であり、水の惑星と呼ばれています。みなさんは、その海の中を知っていますか?この写真集は、その水中の色彩あふれる生物たち、特に造形美豊かな魚たちがページいっぱいに載っていて、ダイバーばかりでなく、ノンダイバーの読者でも、見ているだけで楽しくなる必見の写真集!
2003年6月刊/93頁/東方出版/1600円
(西田茂・1973年経営学部卒業・写真家・大阪市)
写真10
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