![]() ケリガン寺院跡全景。南北58m、東西47m。 2階建て。東北と西北の角を切り取った不正六角形をしている。 |
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![]() これまで、アフガニスタン中央部のバーミヤンより西に仏教遺跡があることは報告されていない。 つまり、この遺跡は1930年代にフランスが行なった本格的考古調査以後、今日まで発見されていなかった、アフガニスタン最西端の仏教遺跡であるということになる。このことは、バーミヤンより西にもかつては重要な交易路が延びていたことを示すものであり、従来空白だったこの地に新たな光を投げかけるものである。さらには仏教伝播史に新たな展開が予想される。 今回の画期的な発見を受けて、龍谷大学では調査チームを組織。夏以降、現地で本格調査に乗り出す予定である。大学としては1990年代に行なった「仏教初伝南方ルート調査」以来の大がかりなものとなる。 調査では、自分たちの地域の歴史について認識してもらうため、現地の人々の手により遺跡発掘する方法を採用し、今後、土地の人々の誇りと生活の安定に寄与することを目指す。さらに100年前、仏教伝来ルートの検証とイスラムによる仏教寺院の破壊の現状を調べるために組織された「大谷探検隊」が断念したアフガニスタン踏査を受け継ぐ意義も併せ持つ。 古代中央アジアでの仏教伝播史や東西文化史の従来の常識を覆すこの仏教遺跡の発見・調査は、各国関係学者のみならず、多くの分野から注目され、期待が寄せられている。 |
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![]() 中さんは2002年6月、イスラム原理主義勢力タリバンによって破壊されたバーミヤンの仏教石窟群を綿密に調査し、世界で最初にその破壊状況と残存壁画の全般を報告。高い評価を受けた写真家である。 しばしば現地を訪れ、ハザラ族との交流の中で、「アジアで唯一のG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の国として、アフガニスタンの現状を訴えて欲しい」と求められるなど、人々の日本に対する期待は大きいと語る。 「今回、OBの私が発見した遺跡群を母校が調査することになり、誇りに思います。将来的にここは、バーミヤンからバンティアミール湖を経て、世界遺産・ジャムのミナレット(イスラムの尖塔)を巡る観光ルートに組み込まれることになるでしょう。資源を持たず、貧困に苦しむアフガニスタンは、エジプトやネパールのような『観光立国』を目指すしかない。雄大な自然を満喫しつつ数多くの遺跡を結ぶこのルートは、充分に魅力があります」と調査の進展やアフガニスタンの将来に大きな期待を寄せる。 |
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