人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センターは6月7日から8月1日まで、第3期となる特別展示「南方熊楠の森」を研究展示館パドマ(至心館2階)で開いた。
南方熊楠(1867〜1941)は、生まれ故郷の和歌山で生態系調査に基づき森林伐採に対する反対運動を行なった人物で、エコロジー(生態学)という言葉を日本に初めて持ち込んだことでも知られている。また、生態系の多様性・複雑性を解釈するため、独自の仏教論を展開した人物でもある。
今回の展示は、和歌山県田辺市と国立科学博物館の協力も得て、真言僧・土宜法竜あてに送った長文の書簡に描かれた「南方マンダラ」や、紀伊半島での生態系調査の際の菌類、藻類、粘菌類、シダなどの標本やスケッチ、採集用具、さらに当時の日記や抜書など一般初公開を含む貴重な資料群を公開。また、菌類図譜データベース、粘菌観察コーナー、環境ビデオなどのデジタルワークショップによって熊楠の森を再現し、足跡をたどった。 |
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「南方マンダラ」
大日如来の作り出す力の作用がこの世界の中でどのようにして多様な現象を生み出すのかについて説明している

「熊楠の研究室」
山々を歩き続けた熊楠は後年、足に疾患を抱えたため、傾斜をつけた専用机を作らせ愛用していた |
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