国際文化学部

留学先から帰国した学生同士が英語でディスカッション

瀬田3号館地下にある「語学・留学サポート室」で 2004年度後期に、半年以上の長期留学をしている国際文化学部生は90名(オーストラリア34名、アメリカ13名、カナダ13名、ニュージーランド8名、イギリス6名、中国6名、アイルランド4名、フランス4名、スウェーデン1名、ドイツ1名)を数え、非常に多くの学生が留学を経験している。ただし、帰国後は現地で修得した語学を活用する機会が減ることにより、せっかく身につけた語学力が低下してしまう場合が少なくない。
 この現状を踏まえ、国際文化学部では帰国した学生を集め、英語によるディスカッションを行なう機会を設けることにした。
 このディスカッションの目的は、英語を話す機会を作ることだけではなく、留学前にどのような事前準備をすればより充実した留学生活が送れるかなどを話し合い、それをレポートとしてまとめる。そうすることで、この先留学を考えている学生に対して有益な情報を提供することも可能となる。
 また、それぞれの学生が留学先で体験した異文化について話し合い、英語でまとめることにより、国際文化学部生として就職活動の際の武器の1つとなることも視野に入れている。
 ディスカッションは隔週木曜日に実施。今年4月に開設した留学についての相談窓口「語学・留学サポート室」のスタッフがオブザーバーとして助言を行なっている。今後はより一層、帰国後の学生に対するサポートに力を入れていく。

短期大学部

「福祉体験活動2」で障害者とともにヨットを楽しむ ひと・人・ヒト・ヨットレース in 蒲郡』に参加

大海終了後、チャレンジャーとサポーターは感想を楽しく語り合った。 「社会福祉援助技術現場実習2B」科目内で「福祉体験活動2」を選択する学生45名は7月18日、愛知県蒲郡市で開催された第8回「ひと・人 ・ヒト・ヨットレース大会」にサポーターとして参加した。
 この大会は、マリンスポーツという新たな世界にむけて自己実現を目指す障害者(ここでは「チャレンジャー」という)がヨットレースの醍醐味を体験するというもの。福祉施設での実習とは違ったかたちの活動を体験することで、福祉に対する広い視野や考える力を養うことを目的に参加を決めた。
 事前準備からかかわった学生は、大会当日にスタッフが着用するTシャツや名札の準備、必要な基本データの入力作業などをこなし、大会が始まるとチャレンジャーと意気投合。お互いに助け合いながらレースに取り組んでいた。
 担当した教員は「チャレンジャーとサポーターが互いに車椅子に乗って水を掛け合いながら遊んだり、談笑している風景は日常生活の中ではあまり見かけられないが、大会中は日常の風景のように時間が過ぎていった。大学や施設では学ぶことのできない本当に求められている福祉の一端に触れることができた」と今大会を振り返る。
 参加した学生からは「楽しかった。こうした取り組みなら、無理なく入っていける」など前向きな意見が数多くあり、短期大学部ではこうした思いをさらに確実なものとしていけるようプログラムを整備していく。

文学部

韓国・東國大學校との交換講義を実施

「韓國禪思想」について講義する崔昌述教授 文学部は韓国を代表する仏教系総合大学の東國大學校(ソウル市)と交換授業を行なうため、相互に教員を派遣し、龍谷大学では夏期集中講義期間中に、東國大學校では9月初旬にそれぞれ講義を実施した。
 文学部からは真宗学科の大田利生教授と仏教学科の淺田正博教授が韓国に出講。約1週間にわたり「大乗仏教の特色」(浄土真宗の教えとその成立背景)について講義を行なった。
 一方、東國大學校からは佛教大學禪學科の崔昌述教授を迎え、文学部3年生以上および大学院生を対象に講義が行なわれた。
 東國大學校は韓国最大の仏教教団である曹渓宗が1906年に設立した私立の総合大学。当大学が海外の大学と交換講義を実施するのはこれが初めてとなる。
 この交換講義期間は、2004年度から3年間行なう計画で、東アジア地域、とりわけ浄土真宗を含む日本仏教と韓国仏教の学術研究・教育活動を一層推進し、両国間の学術交流の進行を図り、日本仏教と韓国仏教との交流のみならず、両校が有する他の学問領域・分野においても交流を拡大することが期待されている。

経済学部

経済学の面白さを伝えたい 高校生のための経済学講座とクイズ大会を開催

経験談を交え高校生にアドバイスを送る山本浩之・関西テレビアナウンサー 昨年12月18日、高校生に広く経済学の面白さ、楽しさを伝えようと「2004 Youth RYUKOKU Economics! 高校生のための経済学講座とクイズ大会」を深草学舎で開催した。第2回となる今回は、福井県などから14校が参加、1・2年生を中心に約80名の高校生が講座とクイズで経済学に親しんだ。
 講座では、本学法学部出身で「2時ワクッ!」など多数の番組に出演している関西テレビアナウンサー・山本浩之氏を招き「無駄ムダ経済学のすすめ〜日々新たな出会い、発見?」をテーマに講演を行なった。大学時代の話をはじめ、マスコミ業界の現状から見た高校生へのアドバイスなど、高校生は大学生活のみならず卒業後の進路のイメージをも膨らませていた。
 また、英語担当のドールトン・フランク助教授は、「アメリカの高校生と日本の高校生」と題し、両者を比較、世界的視野を持つエコノミストを目指すためのヒントを提供した。
 一方、クイズ大会は、経済学の基本的知識をはじめさまざまな問題が出され大いに盛り上がり、団体賞は京都府立嵯峨野高校、個人賞に滋賀県立草津東高校の宇野諭君が選ばれ、それぞれにトロフィーが授与された。
 続いて行なわれた質問コーナーでは、大学生活に関することや経済学と経営学の違いなど、高校生たちが日頃から抱いている素朴な疑問から、イラク戦争にかかるブッシュ政権の政策についてなどの質問も出され、本学部教員がパネル・ディスカッション形式でこれに答えた。
 講座を体験した高校生たちは、「昨年参加した先輩から勧められ参加したが、後輩にもぜひ勧めたい」「経済学への興味と親近感がわいた」「教員の話を聞き、ぜひ龍谷大学の経済学部に入学したいと思った」などと語り、大満足の一日を振り返った。

法学部

司法試験に2名が最終合格!

司法試験に合格した辻内さん(右)、中地さん(中央)と司法書士合格の稲継さん(左) 昨年度に続き、法学部出身者2名が最難関の司法試験に合格した。2年連続して2名の合格者が出たのは初めてのこと。また、司法書士試験にも本学出身者8名が合格した。
 司法試験に合格したのは、辻内誠人さん(95卒)と中地太一郎さん(00卒)。辻内さんは仕事をやめてのチャレンジ。中地さんは卒業後すぐ司法書士試験に合格し、さらに司法試験に挑んでの快挙だ。
 司法書士試験も合格率2%台の難関だが、本学からは最近ほぼ毎年のように10名前後の合格者を輩出している。
 龍谷大学法学会と法職課程は共催で昨年12月14日、司法試験と司法書士試験の合格者を招き祝賀会を開催。これに先立って行なった合格者講演会では、辻内さん、中地さん、そして司法書士試験合格者を代表して稲継美枝子さん(03卒)が合格体験を語った。
 今年4月の法科大学院設置にあたり「市民のために働く法律家の養成」をうたう本学にとって、「普通の人に対して敷居の低い法律家でありたい」と語る3人の言葉が力強い。今後の活躍を期待したい。

理工学部

MOT(技術経営)教育が始まる

集中講義で行なわれた講義に学部生2、3年生200名余りの学生が熱心に受講した 理工学部は今年度から、技術と経営の両面に精通し、社会の中核として活躍するために必要な知識やベンチャーマインドを持つ人材の育成を目指し、Management of Technology (MOT)教育を実施した。
 MOT教育とは、主に将来、経営者・管理者となることを期待される技術者に対して行なわれる技術経営教育のこと。近年、経済産業省などの強い推進もあり、多くの理工系の大学院でMOT教育が始まっている。
 全学科の学生が受講できるこのカリキュラムでは、(1)マーケティング・戦略論、(2)財務・会計、(3)労務・組織、(4)生産管理・情報管理・流通管理、(5)法務・知的財産(特許)・標準化(品質管理他)を、バランス良く総合的に学べる。また、技術者として現場で生かせる知識や技術を重視し、実践的な構成となるよう工夫がなされている。
 講義は、理工学部教員のみならず、経営学部の佐藤研司教授(マーケティング論)や加藤正浩教授(会計学)などのほか、学外から技術士・中小企業診断士等の実務者による多彩で広範囲な講師陣が担当。
 情報メディア学科の長谷智弘教授は「これからの技術者は単に技術報告書が書けるだけではダメ。経営的センスや起業マインドを持ち、ビジネスプラン(企画書)の書ける人間が期待されている。その育成がこの講義の狙い」と大きな期待を寄せた。

社会学部

学生がラジオ番組をプロデュース

取材した成果を台本に進行するパーソナリティー 担当の学生 学生たちがキャンパスを飛び出し、取材や編集を手掛けたラジオ番組 Universtation が昨年12月5日と12日の両日、エフエム滋賀のe-radioで放送された。
 番組を制作したのは昨年4月に新設されたコミュニティマネジメント学科で「ジャーナリズム系」の講義を学ぶ1年生35人。現場で学ぶ「フィールド実習」の一環としてラジオ番組作りを体験した。
 実はラジオ番組に携わったのはこれが2度目。昨年7月に深夜1時から「学生の学生による学生のための」と銘打ち、大学生、高校生、受験生向けに情報番組を放送したが、今回は午後7時からというプライムタイムに昇格。エフエム滋賀の番組制作者たちが、技術を学び始めたばかりの学生のなかに、プロにはない感性を見出したのだろう。
 学生たちは約5週間にわたり、番組制作のほか、学内・外への宣伝やスポンサーの獲得まで総合的にラジオ局の仕事にかかわった。受講生は「ラジオ番組制作にあたり取材拒否や冷たくあしらわれるなど苦労はあったが、実際のメディアとじかに向き合うことで、学内の講義だけでは学べない達成感があった」と大きな収穫を得たようだった。


新学部長が決まりました。 任期は2005年4月1日から2年間です。

文学部と大学の発展に寄与したい
文学部長 中川法城(なかがわほうじょう)教授

文学部長 中川法城 教授 文学部長に再選された中川教授の専門分野は、アメリカ文学。特にアメリカ自然主義小説を研究し、自然主義作家の個別的な特徴を分析しつつ、この悲観主義的な文学全体に流れるロマンティシズムの精神の解明に携わる。その成果は、著書『アメリカの自然主義小説クレイン、ノリス、ロンドン、ドライサーを読む』(英宝社)として出版されている。
 専門分野の教育・研究に加え、学生生活主任、教務主任、研究主任、学生部長、学内評議員などの役職を歴任し、2003年4月から文学部長として文学部と大学の発展に大きく寄与してきた。
 また長年、ゴルフ部の部長を務め、3人のプロ選手を輩出するなど、正課はもちろん課外活動においても熱心に学生指導にあたっている。
 中川教授は、「21世紀初頭の我が国の高等教育の将来像は、誰もがいつでも学べる高等教育、誰もが信頼して学べる高等教育、世界最高水準の高等教育、学習需要に応える質の高い高等教育、競争的環境の中で国公私立大学の特色ある発展として示されています。本学はいろいろ頑張っていると評価できますが、課題も山積しています。大学構成員の方々のお知恵を借りながら、少しでも文学部と大学の発展に寄与できれば」と、2期目に意欲を見せる。

地道に、着実な対策と進歩を
経済学部長 油井浩(ゆいひろし)教授

経済学部長 油井浩 教授 1991年に経営学部助教授として着任。学内では研究主任と評議員、大学評価委員などを歴任した。
 専門分野は生産管理・品質管理で、TQM、生産戦略、顧客満足がテーマ領域である。学会は、日本品質管理学会(元・理事)、日本経営工学会(評議員)、アメリカ品質学会(上席会員)等に所属している。
 由井教授は、「90年代初頭、多くの大学では初期教育が焦眉の問題になり、龍大経営学部の実践が注目を集めていた。本学部に赴任時の第一印象は『予想を超えた教育熱心』さだった。教員同士がお互いの授業内容をかなりよく知っている。数名集まると中心は授業談義で学生の名前もぽんぽん飛び交い、思わず身が引き締まったことを鮮明に覚えている。
 この1991年は『88カリキュラム改革』第1サイクルの最終年であった。その後も93年と97年に改訂が加えられた。さらに、2001〜2002年には5つの教育目標をはじめ、4つの出口=進路方向とそれに適合した系統的履修モデルを提示するとともに、1〜3セメスターの基礎科目を充実させた。これらの教学改革を検討するための委員会は、90年代後半以降だけでも6次に及んだ。
 理にかなったことを、手間隙はかかるかもしれないが、きっちりやっていくのが教育であろう。そのような方針でこれまで練り上げ、実行してきた本学部の基調を継承しつつ、多くの方々の助力をいただき、いささかなりとも前進をと念じている」と力強く語った。

しっかりした専門知識を持つ心豊かな人を育てたい
理工学部長 四ツ谷晶ニ(よつたにしょうじ)教授

理工学部長 四ツ谷晶ニ 教授 1989年の理工学部開設と同時に着任。学生生活主任、キャリア開発主任、学内評議員などの役職を歴任してきた。
 専門分野は数学、特に大域解析。幾何学、天体物理学、物性物理学、界面化学反応等にあらわれる非線形偏微分方程式の解の大域構造(解の全体の様子)の解明を行なっている。
 座右の書は、千葉乗隆訳注『新版 歎異抄 現代語訳付き』(角川書店)。「本学名誉教授の千葉先生は、孤軍奮闘し最後には学内をまとめあげ、理工学部を創設された偉大な学長であった。この本の現代語訳の「要旨」は秀逸で千葉先生の法話のようである。「摂取不捨」(※)は、龍谷大学でお話された法話そのものである。理工学部の勉学のみならず「摂取不捨」を感じ、自分なりの言葉で語れるようになって卒業してほしい。最後は“心”である。心豊かな人を育てたい」と意気込みを見せる。

※摂取不捨とは、単に仏がおさめとって見捨てないということではない。親鸞は『浄土和讃』の中で、仏に背をむけて逃げるものを、どこまでも追いかけて、ひとたびとらえると、決してはなさないことであるといっている。

教育内容を充実させ、学生の満足度向上を目指す
社会学部長 亀山佳明(かめやまよしあき)教授

社会学部長 亀山佳明 教授 1990年に社会学部助教授として着任以来、学生生活主任や研究主任を歴任し、2003年度からは社会学研究科長を務めるなど社会学部と大学の発展に大きく貢献してきた。
 専門分野は文化社会学。芸術・宗教・スポーツ・教育・自然など研究対象は多岐にわたり、最近は夏目漱石の著書を読み返し論文にまとめている。また、学生からは、「カメちゃん」との愛称で親しまれ、亀山ゼミは人気の高いゼミのひとつである。
 社会学部は2004年4月にコミュニティマネジメント学科を開設し、社会学科、地域福祉学科、臨床福祉学科を含め4学科構成となり、新学科が完成年度を迎える2007年度には学生数が文学部に次ぐ規模となる。
 新学部長に課せられた課題は、大規模になった学部の運営はもちろんのこと、4学科の特色を生かしながら、社会学部のキーワードである「現場主義」を踏襲しつつ、「学生が主体的な学びを作り出す」ことができる教育プログラム、カリキュラムの実現にむけての改革を促進することである。
 学部長就任にあたり亀山教授は「学部の内外を問わず問題は山積しているが、基本的には学部内部の内容充実を図っていきたい。例えば、教育内容・環境の充実、学生の満足度を高めること、さらに教職員の働きやすい環境の整備などを目指していきたい」と、その抱負を語る。

根源的問いとムーラブ世界
短期大学部長 加藤博史(かとうひろし)教授

短期大学部長 加藤博史 教授 1998年月に龍谷大学短期大学部社会福祉科教授に着任。専門分野は社会福祉学。
 「鶴亀算ができたとき自転車で走る街が光って見えた。歎異抄の『はからい』という語に全身の血液が軽くなった。椎名麟三を立ち読みして家族に逢った気がした。教育の本質は、自分が変わる喜びであり、志の薫化であろう。世界の幸福に尽くす志は、本当の幸福とは何かを問い続ける。学問方法の習得は、その手段であり目的ではない。
  教員は羊飼いになってはいけない。便利社会を作る便利人間製造工場に大学がなってはいけない。自己存在の不安や責罪的苦悩と対話してこそ、信頼関係が育ちあう。世界の幸福という志を抱き、民衆の苦悩とともに歩む人を龍という。龍谷大学は深山龍生の深山でありたい。
 短期大学部は、(1)全身で共同生活を営む現場ケア実習を重視する。ただし施設中心福祉を変革する志向性を培う。(2)身近からの実践、大学のノーマライズを進めるため地域交流・障碍者交流を常態化する。(3)エイブリズム(能力差別)を止揚するため、知能にハンディのある人の学習支援に挑戦する。以上を教育に生かしていく。
 『老後の初心』という。私は親鸞の説く月愛に魅かれつつ、学生に負けずウブでありたい。」と加藤教授は誓う。