龍谷 2005 No.60

BOOKS/新刊紹介
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出版助成
『会話結構分析』
劉 虹(国際文化学部教授)著
 本書は、アメリカの会話分析学派の理論を検討したものであり、主に中国語の日常会話を録音したものをデータとして、さまざまな言語に存在している普遍的な会話規則、会話の全体構造と局部構造、そして中国語会話の特徴等の問題を考察した。その上で、これまでの会話分析理論の欠陥を指摘し、改正した。さらに新しく見出した理論について補充した。

2004年12月刊/211頁/北京大学出版社/25.00元
『会話結構分析』



『生を織りなすポエティクス
  ―インドネシア・フローレス島における詩的語りの人類学
青木恵理子(社会学部教授)著
 東部インドネシア・フローレス島山岳地域の人々にとって、オランベオと呼ばれる「詩に彩られた啓示的知」は、それを身に帯びた者たちの力と繁栄の源である。長年のフィールドワークに基づき、オランベオの間身体的ありようを探求した。それを光として、生活世界を貧困化する近代システムに対抗する、生の可能性を照らした。

2005年2月刊/556頁/世界思想社/4410円
『生を織りなすポエティクス』


共同研究活動
龍谷大学善本叢書25
『三条西公条自筆稿本 源氏物語細流抄』
龍谷大学佛教文化研究所編・安藤徹(文学部助教授)責任編集
 龍谷大学図書館蔵『源氏物語細流抄』は、三条西公条が父実隆による講釈をもとに作成した『源氏物語』注釈書の自筆草稿である。公条はこの本を手元に置いて増補修訂を繰り返しつつ、長らく大切に使用していたと推測され、中世〜近世の『源氏物語』注釈史研究に欠かせない貴重な資料である。本書は、その影印と全文翻刻をはじめて公にする。

2005年3月刊/616頁/思文閣出版/2万9400円
『源氏物語細流抄』



仏教文化研究叢書13
『反省(會)雑誌・』
福嶋寛隆(文学部教授)・藤原正信(文学部助教授)・中川洋子(非常勤講師)編
 『中央公論』の前身誌の翻刻。浄土真宗本願寺派普通教校(現龍谷大学)の学生有志によって1886(明治19)年に組織され、禁酒運動を展開した「反省会」は、翌年に機関誌『反省會雜誌』(後に『反省雜誌』)を発行して以降、飛躍的に会員数を増やした。1896年に出版事業を東京に移して徐々に総合雑誌の色合いを強め、1899年には現在の誌名に改めて、やがて本願寺との関係も解消した。「反省会」や明治仏教だけでなく、広くこの時代を映し出す史料集である。

2005年3月刊/591頁/永田文昌堂/1万7000円
『反省(會)雑誌・』



龍谷大学社会科学研究所叢書第60巻
『中国の環境と環境紛争
―環境法・環境行政・環境政策・環境紛争の日中比較
平野孝(法学部教授)編
 本書は、日本私立学校共済・振興事業団と龍谷大学の助税によるミレニアムプロジェクトの研究成果の報告である。特に、「アジアにおける環境の世紀の想像―西部開発と中国の環境(日本との比較研究)」にかかわる調査・研究の成果報告書である。

2005年3月刊/431頁/日本評論社/6825円
『中国の環境と環境紛争』



龍谷大学社会科学研究所叢書第61巻
『刑事司法と心理学
―法と心理学の新たな地平線を求めて
村井敏邦法科大学院 教授編
 龍谷大学は、法と心理学会第一回創立大会の開催校であり、法と心理学の本格的共同研究の発足の地である。本書は、この学会で中核的活動を担っている刑事法と心理学の研究者・実務家の共同研究の成果を集積したもの。誤判に関する弁護人の意識調査など、刑事司法と心理学とのかかわりについて多方面から分析。

2005年3月刊/279頁/日本評論社/5250円
『刑事司法と心理学』



龍谷大学社会科学研究所叢書第62巻
『環境問題の理論と政策』
寺田宏洲(経済学部教授)編著
 本書の基礎研究は、学際的視点から[数学・理工学]、[経済理論・計量経済学]それに[農学・農経]という3つのグループの有機的関連を伴ってなされた。本書は、きわめて分析レベルの高い論文として改めて執筆されたものである。と同時に、「環境」というような大きなテーマに関する[理論]を論ずる場合の、一つの模範を示しえたと密かに自負している。

2005年3月刊/219頁/晃洋書房/3465円
『環境問題の理論と政策』



龍谷大学社会科学研究所叢書第63巻
『地球温暖化防止の課題と展望』
田中則夫法科大学院 教授・増田啓子(経済学部教授)編
 本書は、2001年より3年間にわたり龍谷大学ミレニアムプロジェクト「21世紀の地球環境とサステイナブル・ディペロップメント」に基づく一部の研究「地球温暖化にかかわる社会経済・国際関係的諸問題」の研究成果を、人文、社会、自然の分野にまたがって地球温暖化防止問題に関する諸問題をとりまとめたものである。

2005年3月刊/312頁/法律文化社/5460円
『地球温暖化防止の課題と展望』



龍谷大学社会科学研究所叢書第64巻
『戦時期日本の企業経営』
龍谷大学社会科学研究所編
 本書は、戦前・戦時期における日本企業の経営実態を分析し、企業経営の意思決定プロセスと産業政策とのかかわりに着目して、この問題の解明を図ろうという野心的な展望を持って、主要産業における経営史の実証的な研究に取り組んできた研究成果の一端である。

2003年3月刊/177頁/文眞堂/5150円
『戦時期日本の企業経営』


龍谷出版情報
『ウエッブ夫妻の生涯と時代』
大前眞(経済学部教授)翻訳
イギリス社会主義の思想的指導者、ウエッブ夫妻の若き日々を描いた、公式の伝記。英国で永年出版が待望されていた書物。

2005年2月刊/444頁/ミネルヴァ書房/6825円



『近世仏書版本の研究』
日下幸男(文学部教授)編
 【資料編】日下幸男解題、『親鸞聖人御伝記(影印)』『御絵伝指示記(影印)』、【研究編】西山智史「真宗談義本の研究」、河上一平「五世川柳の研究」。

2005年2月刊/龍谷大学日下研究室/非売品



『記録と表象―史料が語るイスラーム世界(イスラーム地域研究叢書8)』
ヤマンラール水野美奈子(国際文化学部教授)共著
 イスラーム世界の歴史・文化を(・)記憶・知識人・著作(・)国家・宗教的権威・文書(・)史料としての造形芸術から考察。著者は怺G画が伝える情報揩担当。
2005年2月刊/332頁/東京大学出版会/5040円



『社会的コントロールの現在 ―新たな社会的世界の構築をめざして』
田中滋・黒田浩一郎(共に社会学部教授)・吉田竜司(社会学部助教授)
 現代社会の様々な領域に見出されるソーシャル・コントロールの諸相に着目し、そのメカニズムを分析することによって不透明・不確実な時代を摘出。

2005年3月刊/496頁/世界思想社/5880円



『みんなの日本語初級・
  ―聴解タスク25』
北川逸子(経営学部教授)共著
 03年に出版した『みんなの日本語初級・ ―聴解タスク25』の続編であり、同様に初級レベルのタスクを解決することで聴解力向上を目指し、作成した。

2005年3月刊/128頁(CD3枚付き)/スリーエーネットワーク/2520円



『国際開発論―ミレニアム開発目標による貧困削除』
斎藤文彦(国際文化学部助教授)著
 本書は21世紀の開発研究を、生計アプローチの視点から統一的に把握し、「ミレニアム開発目標」の実現による貧困削減の可能性と限界を考察する。

2005年4月刊/320頁/日本評論社/3045円



『浄土真宗の教え―蓮如上人を中心に』
林智康(文学部教授)著
 NCC(日本キリスト教協議会)宗教研究所ゼミナールにおける講演。浄土真宗と蓮如上人について、15項目にわたってわかりやすく解説する。

2005年4月刊/71頁/探究社/735円



『京都の地名検証』
糸井通浩(文学部教授)編
 京都府・市の地名から120項目の、歴史的に由緒のある地名を取り上げて地名の由来、まつわる伝承・歴史などを記述した、本格的な地名の書である。

2005年4月刊/440頁/勉誠出版/3150円



『源氏文化の時空』
安藤徹(文学部助教授)共編
 さまざまに加工されて流通する『源氏物語』の持つ文化作用を、通事と共時の両面から記述し、「源氏文化」の社会的・歴史的・政治的な布置を問う。

2005年4月刊/305頁/森話社/2520円



『上海びより』
金子眞也(法学部教授)共著
 上海留学を題材にした中国語会話教科書。中国に持って行き、書いてある通り正確に言えば通じる所がミソ。上海で現地採集した生の表現を収録。

2005年4月刊/86頁(CD付き)/好文出版/2100円



『ジャーナリズムの可能性(ジャーナリズムの条件4)』
小黒純(社会学部助教授)共著
 マスメディアは今日の危機的な状況をどう克服できるのか。ジャーナリズム再生のための手がかりがどこにあるのか。その中で筆者は、大学の場でのジャーナリスト教育はどうあるべきかを論じた。

2005年5月刊/250頁/岩波書店/2625円



『「後漢書」第九冊 列伝七(巻六十六〜七十四)』
吉川忠夫(文学部教授)訓注
 「後漢書」の全てについて訓読を行ない、注釈を施し、適宜現代語訳を付す。本冊には循吏伝から列女伝までの雑伝九巻を収める。

2005年5月刊/648頁/岩波書店/1万4700円



『特別支援教育のための発達障害入門(LD、ADHD、高機能自閉症)』
友久久雄(文学部教授)編著
 障害児教育が特別支援教育へとシフトした。学習障害を中心に医学・心理学・教育の各専門家が、それぞれの立場から発達障害児について考えた本である。
2005年5月刊/248頁/ミネルヴァ書房/2625円



『身体障がいとジェンダーにスポーツを読む』
渡部憲一(文学部教授)著
 身体障がい者のスポーツを新たな文化として考えると同時に、ジェンダーを切り口として成果主義とは異なるスポーツを読み解こうとするものである。

2005年5月刊/273頁/高菅出版/2800円



『市民参加型社会とは―愛知万博計画過程と公共圏の再創造』
松浦さと子(経済学部教授)共著
 愛知万博開催に至る歴史的経過に多様な角度から光を当て、異なる立場の対話的実践から読み解く、市民参加型社会の扉を開くための知恵とは何か。行政と専門家と市民の間の新しい関係を模索する。

2005年7月刊/402頁/有斐閣/3570円



『分裂共生論―グローバル社会を越えて』
杉村昌昭(経営学部教授)著
 新自由主義グローバリゼーションによる“統合強制”が加速するなかで、“分裂”と“共生”を建設的に接続し、21世紀の思想と運動のゆくえを展望する。

2005年7月刊/242頁/人文書院/2310円



『究竟一乗宝性論講読』
相馬一意(文学部教授)著
 平成17年度安居の講本である。『究竟一乗宝性論』の漢文書き下し文テキストを中心に、全体的解説と本文の内容解説、語註等を加えている。

2005年7月刊/231頁/自照社出版/4200円



◆みんなの本棚◆
『旧街道の通過する町』
 学生時代を2つの都会で過ごした著者が、故郷に帰って家業を継ぎ、ルーティンワークをこなしているうちに、果たして自身の帰るべき所はここだったのかと自問し、自身とその身辺を凝視する作品群を収録している。

井口幻太郎(1970年文学部文学科英文学専攻卒業・学習塾経営・兵庫県三木市)
2004年11月刊/123頁/摩耶出版社/1575円
『旧街道の通過する町』



『草食獣【隠棲篇】』
 一頁一首組。二一〇首。フランス装。歌集に対する思い、和歌史に対する思い、そして歌に対する思いを「ニュートラル」として後記に併録。大きな結節点であると同時に新たな展望を示す第六歌集。

吉岡生夫(1974年文学部仏教学科卒業・歌人・兵庫県川西市)
2005年1月刊/236頁/青磁社/2000円
『草食獣―隠棲篇』



『インターネット持仏堂1 ―いきなりはじめる浄土真宗』
『インターネット持仏堂2 ―はじめたばかりの浄土真宗』
 1年余にわたってWeb上で続けられた往復書簡形式の対話…。好評の「インターネット持仏堂」が二冊の書籍にまとめられました。これまで漠然と持っていた宗教や倫理や社会通念への枠組みを揺さぶる言説が満載。

釈徹宗(1989年大学院文学研究科真宗学専攻博士課程修了・龍谷大学非常勤講師・大阪府池田市)
2005年3月刊/本願寺出版社/各777円
『インターネット持仏堂1・2』



『生きなおしたいあなたに』
 実話の持つ迫力が心にしみる感動の一冊である。参学寺は死者への供養も大切にするが、釈迦本来の教えにのっとり、いかに生きるかにウエイトを置き、そのニーズに応える仏教本来の寺院である。傷ついた若者たちが心を癒し、人生を再生(生きなおし)していく真実の姿がここに綴られている!

橋本法明(1982年文学部仏教学科卒業・参学寺住職、家族相談士・大阪市)
2005年3月刊/187頁/晃洋書房/1365円
『生きなおしたいあなたに』



『おうちでアジアンTea café』
 2冊目のお茶の本を出版した。日本の珍しいお茶や産地茶、アジアの不思議なお茶などを紹介し、手作りの雑貨やキッチングッズもたくさん掲載している。亀山ゼミ同期の細川香世(旧姓/千知岩)さんが今回もレイアウトを手伝ってくれた。前回よりも内容の濃い、読み応えのある本に仕上がっている。

おおまちまき(旧姓/新谷真喜 1995年社会学部社会学科卒業・お茶インストラクター、雑貨プランナー・東京都世田谷区)
2005年6月刊/137頁/主婦の友社/1500円
『おうちでアジアンTea cafe』



『図解雑学 浄土真宗』
 仏教と真宗、親鸞聖人の生涯と他力念仏の教え、真宗の本尊、真宗門徒と大名、本願寺の東西分派から現代まで、写真や図解を多用した総合的な解説書。

千葉乗隆(龍谷大学元学長)
2005年2月刊/256頁/ナツメ社/1470円
『図解雑学 浄土真宗』



『オーブの河』
 昨年、龍谷奨励賞を受賞した著者の第3詩集。前著『バース』で生きる意味を鋭く追及した詩人は、長男と父の死という事実を超え、新たな詩的世界を構築していく。現代詩にシュールドキュメンタリーという新概念を持ち込んだ記念碑的作品群。

苗村吉昭(1990年経済学部卒業・詩人・滋賀県栗東市)
2005年7月刊/133頁/編集工房ノア/1890円
『オーブの河』


おめでとうございます!
本誌59号で紹介した浅田宗一郎著『さるすべりランナーズ』(岩崎書店)が、第34回児童文芸新人賞を受賞しました!なお、著者は、日本児童文芸家協会創作コンクール幼年部門、中学年部門、高学年部門に入賞してデビュー。本作品は第11回創作コンクール高学年部門優秀賞に選ばれています。


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