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平山画伯の“新作”と シルクロードコレクションに出会う 高原の美術館
ここでは日本画壇を代表する平山郁夫画伯の作品のみならず、画伯がシルクロードで蒐集(しゅうしゅう)した美術品を観覧できるとあって、平山ファン、シルクロードファンには憧れの美術館。八ヶ岳の南麓に位置し、南アルプスや富士山をも望むことができる高原の地に、遠方のナンバーを付けた車が駐車場に並ぶ。 シルクロード、そして仏教をテーマに多くの作品をもつ平山画伯は、約35年間、130回以上もスケッチ取材にシルクロードの国々を訪れている。仏教東漸の道、玄奘三蔵(げんじょうさんぞう)が歩いた苦難の足跡をたどりながら……。 シルクロードをこよなく愛した画伯の集大成がこの美術館だと言えよう。夫人の美知子さんが館長を務めていることでも、画伯の深い思いが込められていることが分かる。 入場者を出迎えるのは、どこかとぼけた大きなラクダの像。そう、交易に重要な役割を果たしたシルクロードのシンボルである。 平山郁夫作品室にも、ラクダを描いた絵が展示されている。今年3月に完成したばかりのシルクロードを行くキャラバン3部作だ。全国に平山作品をメインにした美術館は数多いが、いち早く新作を見ることができるのもここならでは。新しい作品が展示されたら電話をしてください、とスタッフに頼んで帰るファンもいるとか。 「この展示室にはラクダの絵ばかりを掲げたいね」と、平山画伯はこの美術館のために精力的に制作を続けておられるという。
平山画伯と龍谷大学は少なからずご縁がある。深草キャンパスの顕真館に掲げられている陶板画は、画伯の描いた釈尊説法図「祇園精舎」を原画に製作されたもの。過去2回、この広報誌にもインタビューや学長対談でご登場いただいた。 龍大とシルクロードの関係も深い。大谷探検隊が蒐集したシルクロード資料を数多く保有し、龍大の最先端プロジェクト・古典籍デジタルアーカイブ研究センターでは、NHKスペシャル『新シルクロード』において仏教壁画のデジタル復元に協力するなど、シルクロード研究の分野でも高い評価を得ている。
アフガニスタンの流出文化財99点を一堂に 「平山郁夫の絵画とアフガニスタンの至宝〜流出文化財を守れ〜」 現在、美術館では企画展「平山郁夫の絵画とアフガニスタンの至宝〜流出文化財を守れ〜」が開催されている(※)。 タリバン政権下、バーミヤンの大仏をはじめ大量の文化財の破壊や、遺跡・博物館の略奪が行なわれ、アフガニスタンの貴重な遺物が日本にも流出した。平山画伯はこれらの文化遺産を「文化財難民」として保護することをユネスコに提案。本格的な救済活動を開始し、一昨年から展示会や返還キャンペーンを全国各地で行なってきた。 今回の企画展では、回収された137点のうち99点を展示。東西文化の十字路と呼ばれるアフガニスタンの素晴らしい文化遺産に触れる絶好の機会である。なお、カブール国立博物館再建の後は、これらの多くは返還されることになっている。 ※企画展は12月11日(日)まで。 10月5日(水)からは「平山郁夫欧州写生絵巻〜イタリア・ローマ編〜」をコーナー展示している。
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