龍谷 2006 No.61

青春クローズアップ 「環境」と「町づくり」をキーワードに、龍大から元気を発信

ベロタクシーの試乗会
「伏見リサイくるっとフリマ」でベロタクシーの試乗会を行なう溝邉さんと平林さん。
運転席は井口富夫経済学部教授(2004年10月23日、京都市伏見区の伏見桃山城駐車場)

溝邉佳美さんと平林薫さん
溝邉佳美さん(右)と平林薫さん。出会いの場となった京都市伏見区の月桂冠大蔵記念館前で

伏見の町にベロタクシーを走らせたい

 共に経済学部の4年生。溝邉さんは「環境」、平林さんは「町づくり」と研究テーマも所属ゼミも異なるが、得意分野をうまく融合させて多くのことにチャレンジ。学外からの注目を集めた龍大発の元気2人組だ。
 3年生の時、一緒に参加した伏見区役所でのインターンシップがそもそもの発端。町の活性化を目的に、古い酒蔵を借りて絵はがきコンテストを主催したのが“勢い”になったそうだ。 
 まず、2004年秋の「伏見リサイくるっとフリマ」で行なったのが、ベロタクシーの試乗会。ベロタクシーのベロ(Velo)とは、ラテン語で自転車の意味で、自転車によるまさに環境にやさしい乗り物。京都の中心部だけで運行されていたが、観光地が点在する伏見区にぴったり、と溝邉さんが目を付けた。
 「環境を学ぶ私にとって、ベロタクシーこそ理想的な乗り物。出身地の岡山で走らせたいと惚れ込んでいました。伏見では観光用だけでなく、高齢者や障がい者の移動手段としても活用できたら」と提案。試乗会での評判は上々。新聞や地元テレビにも取り上げられ話題を集めたが、「実現には道が狭くてちょっと無理、と却下されました……」と残念そう。

産学連携、地域連携で大学を超えて活動

 “自転車”の活用は、やがて「京都南部自転車ビジネス研究会」へと発展していく。自転車を活用した地域活性化やレンタサイクル事業の可能性、放置自転車の解決策などを話し合うという研究会で、立ち上げにあたっては、商店街の店主、NPO、企業、観光協会などにメンバーとして加わってもらうために奔走した。
 龍谷エクステンションセンター(REC)の協力を受け、京都産学公連携機構が主催する「文理融合・文系産学連携促進事業」として認められ、めでたく助成金を得て2004年12月に活動を開始。着実に運動の輪は広がり、昨年11月には元大蔵大臣で本学客員教授の武村正義氏らをパネリストに招いてシンポジウムを開催するまでに至った。
 さらに2005年度には、京都市の「大学地域連携モデル創造支援事業」に2人がかかわる2プロジェクトが認定された。その一つがやはり自転車を活用した「高大連携☆Fushimiサイクリングツアープロジェクト」。近くの京都市立伏見工業高校の生徒、観光協会と連携し、自転車マップを作成して観光ネットワークを構築しようというもの。
 そしてもう一つの「GARE門前町活性化プロジェクト」は、西本願寺門前町ににぎわいを取り戻すための取り組みで、伏見での経験を生かした新しいチャレンジだ。

お互いがなくてはならないパートナー

 もともと、平林さんが所属するゼミと伏見区の商店街とは活性化を目的に、地元の人たちと学生が手を携えてきたという経緯がある。竜馬通り商店街に学生たちがオープンした「小箱ショップたまり場」も、地元の人たちに支えられ3年目を迎えた。
 「先輩たちが頑張ってこられたので、私たちもと思う気持ちが強かった。ゼミは違うけど、やる気のある溝邉を巻き込んだのが大正解!彼女は行動が早くて交友関係を広げるのが本当にうまい。いつの間にか伏見工業高校の先生と仲良くなっていたし」(笑)と平林さんは振り返る。
 一方、溝邉さんも「薫ちゃんは努力家でコツコツまじめ」と平林さんに絶大な信頼を寄せる。お互いがなくてはならないパートナーとして、充実した大学生活を送ってきた。
 「経済学部で環境が学べるなんて、入学してから知ったんです。すごくうれしかったですね。これをやりたい!と思ったことすべてを龍大がバックアップしてくれた。課外活動奨学金をいただいたり、同窓会の奨学金で海外研修にも行かせてもらいました」(溝邉さん)
 「私もマクロ経済志望だったのに、偶然、町づくりのゼミに入ったのが、本当に良かった。町づくりを通して、世代を超えたいろいろな人たちと知り合え、仲良くなれました。就職活動にも役立ったし」(平林さん)
 「やり残したことは何にもな〜い!」と口をそろえる2人。いろいろなことに頑張ってすごいね、と感心すると、「大学行って、バイトして、クラブもしてと普通の大学生ですよ」と至って謙虚。「でも、その時々で優先順位をつけるのが大事かな」と後輩たちにアドバイスを送る。
 もうすぐ卒業。溝邉さんはリクルートHRマーケティングに、平林さんは京都中央信用金庫に就職が決まり、それぞれの道を歩むことになったが、大親友を得て、共に経験した達成感や充実感が、きっとこれからの宝物となるだろう。

シンポジウム「自転車でつながる伏見のまち〜伏見再発見!!〜」で発言する溝邉さん
滋賀県八日市市長時代に「自転車都市」を宣言した武村正義氏(右から3人目)を招いてのシンポジウム「自転車でつながる伏見のまち〜伏見再発見!!〜」で発言する溝邉さん(2005年11月22日、京都市伏見区の御幸宮神社参集館)

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