龍谷 2006 No.62
青春クローズアップ 「英語力の向上は暗唱から」自主的に暗唱大会を主催した龍谷大学学友会学術文化局 E.S.S

文学部真宗学科3年生
池田唯信いけだゆいしんさん(大阪府立寝屋川高校出身)
社会学部社会学科3年生
宮本博明みやもとひろあきさん(大阪府立桜塚高校出身)
国際文化学部国際文化学科1年生
大谷理栄おおたにりえさん(兵庫県立姫路飾西高校出身)

「第3回ドラゴンカップ争奪英語暗唱大会」
「第3回ドラゴンカップ争奪英語暗唱大会」
学生が準備、企画から運営まで自主的に行なった
「第3回ドラゴンカップ争奪英語暗唱大会」で入賞者を中心に記念撮影
(2006年6月4日)


ESS
左から大谷さん、宮本さん、近藤教授、池田さん
メンバーの発案で生まれた『ドラゴンカップ』
 今年6月4日に開催された「第3回ドラゴンカップ争奪英語暗唱大会」。全国規模で行なわれる大学新入生向けの英語暗唱スピーチコンテストである。2年前にESSの学生の発案で初めて開催。今年は、17大学からの応募があり、全国的な認知度も徐々に高まってきたところだ。準備、企画から運営まで学生が自主的に主催している。
 今年は、龍大からは3名、他大学から7名が本選に出場し、見事、大谷理栄さんが2位を獲得した。
 ESS幹事長の池田唯信さんは「『ドラゴンカップ』は僕が入部した年に始まりました。最初は参加大学の数も少なかったのですが、だんだん応募も増えて、それにつれてレベルも上がってきたように思います」と話す。特に今年は、関西地区のほか、関東の有名大学や九州地方の大学からの応募も多かったそうだ。

第3回ドラゴンカップ争奪英語暗唱大会
「第3回ドラゴンカップ争奪英語暗唱大会」で力強くスピーチする大谷さん
「人前で話すことで度胸と英語力がついた」
 今回のコンテストの企画・外務に携わった宮本博明さんは1年生の時、第1回ドラゴンカップの予選を見て、入部した経験を持つ。
 「新入生が短期間でスピーチができるようになるのに驚きました。それで自分もやってみようと入部したんです。ESSに入ると、英語力がびっくりするほどついてきて…。最初は人前で話すことが恥ずかしかったんですが、話してみると度胸がつき、度胸がついたことで自分から積極的に英語を話そうという気持ちになれました」と宮本さん。
 「おかげで英語に意欲的に取り組めるようになりました。ドラゴンカップを作り上げようとする中で、同学年との団結力が高まったのもよかったですね」と部の雰囲気の良さを付け加える。
 そんな先輩たちに囲まれ、もともと英会話に興味があったという大谷さんはドラゴンカップで2位を射止め、将来が有望だ。
 「コンテストのスピーチ原稿はクリントン大統領が行なったスピーチを選びました。内容に興味が持てたので、自然に覚えられました」
 当日は、本選と予選では出場者のレベルが違うのを肌で感じたという。
 「部内ではスピーチ原稿が破れるくらい練習している人もいたし、全部の単語に発音記号をつけていた人もいました。みんながとても努力しているのを知っていたので、中途半端なことはできない、その姿を裏切れないという気持ちが強くなりました。それで頑張れたのだと思います」と大谷さんは振り返る。
 ESSの部員は現在39名。スピーチとディベートの2つのセクションに分かれて活動している。今後はさらなる英語力の向上をめざし、外国人観光客向けのガイド部門を増やす予定だ。
 ESSでは他にも月一回、龍大で学ぶ外国人留学生を招き、身近なテーマを設定し、直接会話をすることで語学力を磨いている。

感動する英語!
E.S.S.のスピーチ教材で使っている
『感動する英語!』
近江誠著/文芸春秋/1470円(税込)
各界著名人の名スピーチを収録・音声CD付。
近藤先生の推薦本だ
質のいい英語を繰り返し音読することが大事
 「今の英語教育は英会話が中心となってきていますが、外国語習得で大事なのは『質のいい英語を書いた人の立場になって繰り返し声を出して読んでみる』ことなんです。中でも自分の心に響くいいスピーチを選んで繰り返し音読し、暗唱するうちに英語のルールが分かってきます。また模倣することによって自分の中に定着させていく作業もできます。質のいい、中身のあるものをしっかり暗記していくやり方は、英語力を身に付けるのに、非常に効果があるんですよ」とコンテストの審査員を務めたESS部長の近藤久雄法学部教授は言う。
 「そういう意味でこのスピーチ大会の開催は非常にいいことをしてくれたと思っています。特に今年は水準が上がっていて、上位5人は甲乙つけ難かったです。私にとってはハッピーサプライズでした(笑)。大事なのは自分たちで自主的にやるということ。僕にやれることは『こういう材料があるよ』と示すことくらい。だから今回のことは学生のお手柄だと思いますよ」
 「ESSの今後の目標は?」と3人に聞くと「英語力の向上と各種スピーチ大会での上位入賞」と明確な答えが返ってきた。3人の将来の夢は、「実家のお寺で子どもや若い人向けの英会話教室を開くこと」(池田さん)、「日本で、英語圏にかかわらずいろいろな外国の人とのコネクト的な仕事をすること」(宮本さん)、「他大学主催のスピーチ大会、9月の龍谷大学学長杯での上位入賞。将来的には海外に出て仕事をすること」(大谷さん)と頼もしい。
 夢は違っても、英語という学問に対しての情熱は同じ。今後も、ESSのメンバーの他方面にわたっての活躍が期待できそうだ。




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