インドの仏教遺跡に魅せられて…
こんな多忙な江里さんだが、どんなに忙しくても、年一回は海外に出かける。
「目をつぶって、えいっと入院したつもりで行くんです(笑)。昔はエジプトやギリシャ、ルネッサンス期の彫刻に魅力を感じ、自分の作品に反映できたらという思いで出かけていましたが、ここ10年はインドに行くことが多くなりました」
仏像を誕生させた古代インドの人々の心の背景を探るためインドの仏教遺跡を訪ねて回るのだ。
「インドの仏跡に立つとブッダに対する敬虔な心情が感じとれるんです。ガンダーラの仏像は、ギリシャやローマの彫刻の影響を受けています。日本でも平安時代には、創意にあふれた仏像が多く造られていました。私は古典作品を守っていくことだけが伝統ではなく、そこには常に時代を映した創造的なものが加わっていかないといけないと思っています。これからも、移り変わる時代を表現した、現代の仏像を造っていきたいですね」 |
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仏伝図「降魔成道」のレリーフを製作している江里さん。
降魔成道とは、魔物が現れて悟りを邪魔するのをお釈迦様が取り払われるという意味 |
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たくさんの彫刻刀。彫る場所によって使い分ける |
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