龍谷 2007 No.63

青春クローズアップ プロのレーサーをめざす、現役ドライバー人生の夢ですか?カッコよく生きたいですね。僕、目立ちたがり屋なんです。

国際文化学部国際文化学科3年生 入榮  秀謙さん(滋賀県八日市高校学校)
 入榮さんの活動に少しでも興味を持たれたり、応援しようと思われる方は、以下のメールアドレスまでご連絡ください。
 入榮 秀謙 race-hidr46@v8.dion.ne.jp

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キャリア3年でF4に昇格。将来が楽しみな若手有望株

 時速200キロを超えるスピードで走るプロレーシングの世界。そのコースの入り口に立ったばかりの現役大学生ドライバーが入榮秀謙さんだ。
 レース歴は今年で4年目。17歳のときから本格的にレーシングカートを始めキャリアを磨いた。1年目の2004年に鈴鹿FJ1600に初参戦。2005年には、後半戦3戦でベスト10に入り、FJ1600シリーズの日本一決定戦で8位を獲得。ファステストラップ(一周のラップタイムが最速)も記録した。
 この成績が認められ、キャリアが浅いにもかかわらず、2006年1月にF4に昇格。昨年は、スポット参戦にもかかわらず西日本選手権で過去最高位の4位に入るなど、この数年でめきめきと成長している。
 「親の話だと、ベビーカーに乗っていた頃から車が大好きだったらしいですよ」と楽しそうに笑う。成長するにつれて「カッコいい車で速く走りたい」という思いは強くなり、高校3年の夏、思い切って鈴鹿のチームガレージに電話。本格的にこの世界に飛び込んだ。現在は、F4クラス(フォーミュラトヨタ)に上がり、来年にはF3昇格をめざしている。

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レース前、精神を集中する入榮さん

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心・技・体」が必要なモータースポーツの世界

 華やかで派手に見えるモータースポーツの世界だが、普段は地道な努力が大切だという。
 「精神力、技術、体力、そしてレースを組み立てる頭脳が必要ですね。レースはドライバーだけでなく、スポンサー、メカニックの協力が必要。お互いの信頼関係で成り立つチームスポーツだと思います」
 学生ということもあって、サーキットでの練習の時間は他のドライバーに比べてどうしても限られる。レース本番前、本当は練習走行に思う存分打ち込みたくても、それができないのが悩みの種。
 レース中はチームの監督やメカニックとの連携が大切だが、普段のトレーニングは全く個人で行なう。腹筋、腕立て伏せ、ランニングに加え、ジムに通って鍛えることも怠らない。オフのときに体力をつけておかないと、レースに持ちこたえられないからだ。
 「シートではほとんど寝た格好で運転するので、首や腰に負担がかかります。ハンドルも重いので握力、腕力もいりますし、ブレーキを踏むときの蹴り出す力も必要。体全体の筋力を鍛えておかないと対応できないんですよ」
 さらにドライバーには「熱さと冷静さ」も求められる。レース本番では他のドライバーとの駆け引き、メーターを見てレース展開を読み、相手に仕掛けるタイミングを考える冷静さ、度胸のよさも必要。心・技・体そろっていないとできないスポーツなのだ。それだけに、メンタルな部分でのコントロールも難しい。
 「レースに出るために実際にサーキットで練習できるのは月に1、2回なんです。他のスポーツは毎日でもできますよね。それができない不安は常にあるので、自分をコントロールする確固とした意志がいると思います」
 レースの魅力はスタート前の緊張感、走っているときの爽快感、ゴールしたあとの達成感だという。「それにサーキット独特の雰囲気や、爆音、マシン自体のカッコよさかな」とも。強靭な精神力がないと戦えない世界にいながら、明るくて屈託のない人柄も魅力的だ。
 「人生の夢ですか?カッコよく生きたいですね。僕、目立ちたがり屋なんですよ」
 今後はF3への昇格、将来的にはその上のクラスへと夢は広がる。


人間としてのキャパシティが広がった龍大での学生生活

 この春から4年生。卒論のテーマは「人間はなぜ勝つことに向かうのか」に決めている。
 「自分の体験も踏まえて、なぜ人は勝ちたいと思うのかということを、様々な角度から研究したいと思っています」
 レースにはたくさんの資金がかかるため、スポンサー探しも自分で行なっている。
 「バイトだけでは足りないので営業して回っています。そういう意味でも人間関係は大切にしたいと思っています。いろいろな意味で人としてのキャパシティが広がったので、龍大にきてよかったと思いますね」
 近い将来、晴れの舞台でプロのレーサーとして、ポールポジションをとった彼の姿が見られることを心から期待したい。


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