龍谷 2007 No.63
教員NOW 虐待で傷ついた子どもたちの家庭をつくろう 日本初、「SOS子どもの村」誕生へ!

社会学部臨床福祉学科教授 金子龍太郎 社会学部コミュニティマネジメント学科講師
久保 和之くぼかずゆき

1969年11月 広島県生まれ
鹿屋体育大学大学院修士課程。中京大学大学院博士後期課程修了。体育学博士(中京大学)専門は体育学。『健康と運動・スポーツ入門』(共著:中部日本教育文化会)。『生涯スポーツ実践論』(共著:市村出版)。「開催地別に見るイベント参加者の支出傾向−ウォーキング大会について−」(共著:2000 スポーツ産業学研究第10巻)
 

SOSキンダードルフ・インターナショナルのクティン会長(左から4人目)から正式に日本支部の認定を受ける(2月24日、オーストリア・インスブルックの本部で)
2006世界アルティメットクラブ選手権・マスター
部門で優勝時に贈られた金メダル
強豪・アメリカチームを破り、初の世界チャンピオンに

 「フライングディスク・アルティメット」という競技をご存知だろうか。芝生のコート内でフライングディスク(フリスビー)を使って行なう7人制の団体競技のことだ。ゲームはディスクを投げ、パスをつなげて相手チームのエンドゾーン内でキャッチすると点が入るというルール。ボールのかわりにプラスチックのディスクを使うところに特徴がある。
 そのフライングディスク・アルティメットの「2006世界アルティメットクラブ選手権大会」(オーストラリア・パース)で昨年11月、世界一に輝いたのが、現在、社会学部でレクリエーションやスポーツマネジメントなどを教える久保和之講師所属のチーム「美技」である。「美技」はマスター部門(32歳以上の社会人の部)で金メダルを獲得。日本チームとしては、1983年の世界大会に初参加して以来、初めての快挙。発祥国であるアメリカを破っての優勝だけに価値が大きい。


「子どもを救い、国を救う」をテーマに講演した
パイ皿を投げ合ったのが始まり。
親しみやすさが特徴


 この競技は1940年代の終わりにアメリカの名門・エール大学の学生たちがパイ皿を投げ合って遊んだのが始まり。最初は金属製だったディスクも改良を重ねて、現在は軽いプラスチック製が使用されている。最長飛距離は250m、最高時速は134km出るというから驚きだ。
 まだ一般的な認知度は高くないものの、現在、世界での愛好者人口は約6000万人。競技人口は700万人ともいわれ、年々、人気と知名度が増しているスポーツで、オリンピック種目以外の種目が集まる世界大会「ワールドゲームズ」の正式種目にも採用されている。日本には1970年代に広まり、国内の愛好者も150万人を越えているそうだ。
 試合はディスクを投げてパスを回しながら、相手陣地へ攻め込むスピード感、ロングシュートやジャンピングキャッチなど、観ている者をとりこにする面白さがある。「アメリカンフットボールとバスケットボールの要素を併せ持つスポーツ」といわれるゆえんだ。
 久保講師がこのスポーツに出会ったのは大学生の頃。在学していた鹿屋体育大学で授業として習ったのだという。卒業後は中京大学大学院に進学。ここで本格的に競技を始めた。
 「当時は中京大にフライングディスクのチームができたばかりでした。それで、経験のある自分がコーチとしてかかわるようになったんです」
 コーチとして学生を指導しながら、自身も選手として腕を磨いた。
 「今から10年位前ですね。日本の競技人口も増え始め、小・中学校の授業にも取り入れられるようになってきた頃です」

金子教授と一緒にタイの子どもの家を訪問した学生たちは、子どもたち
久保講師(中列・左から4人目)が所属するチーム「美技」のメンバー
フライングディスクは、「三次元」の魅力あふれる複合的なスポーツ

 フライングディスク競技は、全部で11種目ある。飛距離を競う「ディスタンス」、正確さを競う「アキュラシー」、滞空時間を競う「MTA」、ゴルフのような要素を持つ「ディスクゴルフ」などだ。アルティメットもその種目の中のひとつ。英語で「究極」という意味を持つだけあって、脚力やパスワーク力、チーム戦術など様々な要素が必要だ。さらに審判がいないというのも大きな特徴。セルフジャッジ方式なので、真のフェアプレー精神が求められる。
 「このスポーツの魅力は屋外で行なうので、ディスクが風に左右されるなど、奥深いところですね。相手のクセを読み、だます駆け引きも必要ですし、ディスクを投げるときに高さ、低さがあるので、投げ方のテクニックも必要です。いわば三次元スポーツといえますね」と語る講師。 「今後の目標は?」と聞くと自ら監督を務める「龍大アルティメットサークルROC-A-AIR」の日本学生選手権の優勝と、「個人では、フライングディスク競技全種目での日本一」と即座に答えが返ってきた。「夢は大きく持ちたいので」と笑う。
 金字塔を打ち立てた気負いもなく、あくまで自然体の人柄も魅力。龍大チームの監督として、また一選手として、今後の活躍がますます楽しみだ。

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