龍谷 2007 No.64

RYUKOKU SPORTS 航空部

目標の北京五輪出場で人々に元気や感動を与えたい

和田 麻希 さん経済学部3年生〈京都・西京商業高校(※現 西京高校)出身〉

久住滑空場における大会風景
「走るのが好き!」が アスリートとしての原点に

 トラック上の和田選手は、近寄りがたい空気を放っていた。第60回西日本学生陸上競技対校選手権大会では、100M、200M、4×100Mの三冠を達成。2007全日本学生陸上競技チャンピオンシップの100Mでは11秒63の大会新記録を樹立。200Mの23秒67に至っては、大会新記録とともに西日本学生新記録という活躍ぶりだ。シーズンオフの練習日とはいえ、北京五輪に焦点を当てる彼女には、ほんの一瞬の緩みさえ許されないのか、全身に気迫がみなぎっていた。
 練習を終え、インタビュー室に現れた彼女は、厳しい表情が顔から消え、笑顔の似合う「和田さん」へと一変した。「メリハリを付けるタイプなので、練習は練習、遊ぶ時は思いっきり遊ぶ。遊んでいる時は、陸上選手に見えないってよく言われますね」と、屈託なく笑う。
 「小学校から走ることが好きだった」ことが、和田さんのアスリートとしての原点だ。タイムよりも走る楽しさが一番だった中学の陸上部時代。タイムを伸ばすことで上をめざす面白さを見出し、本格的に体力づくりと精神鍛練に励んだ高校時代。大学の陸上部では、走り込みによる筋力アップに磨きをかける日々だ。同レベルの選手が毎年入ってくることも、練習の質が上がり、励みにもなると言う。正課では、「スポーツサイエンスコース」を選択し、栄養学やスポーツ心理学といった講義を受けることで、自身の選手生活に役立てている。
 「クラブに関係する勉強ができるので、授業の両立がとてもやりやすいですね」。

RYUKOKU SPORTS 航空部
 
RYUKOKU SPORTS 航空部
努力をすればするほど結果は必ずついてくる

 正課活動と課外活動を上手く両立させている中にあっても、壁にぶつかることがある。和田さんは、選手にとって生命線ともいえる怪我に、何度か泣かされているのだ。特につらかったのは、世界陸上に向けて調整していた頃の怪我だったという。
 「練習ができない時期がずるずると続いて、本調子にならないまま、選考会を迎えてしまいました。あとちょっと、というところで出場できませんでした。さすがに落ち込みましたね」。
 「辞めよう」と思うこともある。その度に自分が努力してきた道を振り返る。「練習すればするほど結果がついてくる。次は見返してやろう」と、自分を奮い立たせて、前へと進んでいく。
 世界陸上の苦い経験があったからこそ、北京五輪にかける思いは格別だ。代表に選出されることが第一目標だが、和田さんはその目的のみで走るわけではない。彼女にとって、走ることは「人々に感動を与えるため」でもある。
 「自分が走ることで、後輩や家族、友達が元気をもらったとか、感動したとか、そう言われることがすごく嬉しい。そういうことができるのは、自分には陸上しかないのかなと思います」
 その感動を喜びにして走り抜く。和田さんの大舞台は、目前に迫っている。



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