龍谷 2008 No.66

RYUKOKU SPORTS 卓球部 

選手を勝利へと導く 信頼と絆 北京五輪 卓球日本代表女子チーム専属トレーナー

王子 さん 王子(おうじ) さん
龍谷大学国際文化学部3年生
〈中国・遼寧省体育技術学院出身〉


RYUKOKU SPORTS 女子バレーボール部
選手を育てること
それしか自分の道はないと思いました


 勤学為福(努力することが幸福をもたらす)-。北京五輪卓球日本代表女子チーム専属トレーナーに抜擢された、王さんが大切にしているというこの言葉は、すがすがしいまでに心に響いた。素直にこぼれてきた、嘘偽りのない言葉だったからだ。同時に、彼自身の歩みを語るにふさわしい一言でもあったからだろう。
  中国遼寧省の錦州で生まれた王さん。卓球王国の中国らしく6歳の頃から卓球を始め、小学校では卓球部に入部。遊びながら卓球を覚えた。
  王さんにとって卓球が「遊び」から「試合」へと変わったのが、中学生の頃だ。遼寧省で3位、全国ジュニアではベスト16に入る程の実力で頭角を現し、国立の遼寧省体育運動技術学院の卓球チームに選抜された。学院では勉学の傍ら、猛練習の日々が続いた。遼寧省のベスト20がチームメイトという、実力が拮抗する選手との熾烈な争いに、次第に力の限界を感じ始めるようになる。それが、卓球の目標を「試合」から「育成」へと変えるきっかけとなった。
  「選手を育てることしか、自分の道はないと心を決めました。日本の選手育成には環境が整っていない点があったので、日本に行きたいと思うようになりました」
  王さんは、龍谷大学卓球部の監督で同郷の王会元監督に相談を持ちかけ、ミキハウスでのコーチの職を得て、日本への渡航が叶った。コーチをしながら日本語学校に通い、日本語を猛勉強。2年間の勉強の末、龍谷大学短期大学部への入学を果たし、2008年からは国際文化学部に編入学した。
  「日本人の友達がたくさんできて、学校生活は楽しいです。授業は民俗学に興味があり、特に日本の祭りが好きです。先生に誘われて、京都や滋賀県の祭りをよく見に行きます」


トレーナーとして培った選手との絆
勝った時は自分の事のように嬉しい


 短期大学部2年生の頃から、王さんはトレーナーとして福原愛選手(上部写真)、平野早矢香選手らがメンバーの卓球日本代表女子チームの合宿に同行するようになる。卓球は「カットマン」「ドライブマン」「前陣速攻型」といった様々な戦型があり、カットマンとして培ってきた王さんは、選手の練習相手にぴったりだった。
「トレーナーの役割は、対戦相手の気持ちになる事。そこから、選手の弱点を見抜いて、どうすれば改善できるかをアドバイスします」
 北京五輪日本代表女子チームの専属トレーナーに抜擢されたのも、その力が認められてのことだろう。
 「オファーがあった時はびっくりしましたが、僕の事を何より選手が信じてくれている事が伝わり、感激しました」
 日本が男女とも銅メダルを獲得した世界選手権では、選手らが王さんのユニフォームに寄せ書きをしてくれたそうだ。感謝のメッセージが綴られたユニフォームを見て、王さんは選手との絆を感じたという。
 「選手の試合は自分の事のように緊張します。その分、勝った時は本当に嬉しい」


オリンピック帰国後の王子さんのコメント <オリンピック帰国後の王子さんのコメント>
  オリンピックではチームが力を合わせて強いチームのオーストリアと香港に勝つことができ、4位になることができました。結果はメダルが取れなくて残念ですが、内容はとてもよく、今後はもっと期待できると思います。
  私も責任は感じますが、自分自身一生懸命やったので悔いは残らないです。
試合の後、選手達と監督の感謝の言葉を頂いて、とても感動し、嬉しかったです。



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