
「この塔はなぜ美しいか、あなたたちの目で、よく見てください。
ほかの寺の塔と形が違うでしょう。屋根が三層ありますが、
その屋根と屋根の間に、裳階(もこし)というのがついています。
それで六階のように見えますが、三重塔です。どうか誤解(五階)のないように」
生徒たちには、坊さんの洒落が、すぐにはわからなかった。しばらくして笑った。
太田信隆著 『まほろばの僧 高田好胤』草思社より
「凍れる音楽」とかつてフェノロサが賛美した薬師寺東塔の説明も
ユーモアの溢れる語りで人々を魅了した。
そのユーモアは、6百万人という子ども達の笑いに変わり、8千回の講演で親達の笑顔を誘った。
そして、百万巻写経勧進への道を開き、白鳳の大伽藍を現代に蘇らせる布石となった。
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