龍谷 2009 No.67
青春クローズアップ 雅楽会

音楽は国境を越えて…
イタリアに響き渡った雅楽の調べ

音楽は国境を越えて…イタリアに響き渡った雅楽の調べ

いちひめ雅楽会イタリア公園に雅楽会メンバー3人が抜擢!
いちひめ雅楽会イタリア公演に
雅楽会メンバー3人が抜擢!

 ありきたりの言葉かも知れないが、「音楽は国境を超える」とはよく言ったものだ。初めて聞くようなものであっても、意味や歴史を知らなくても、音楽は人の心をたちまちのうちに捉えてしまう。1200年前、中国から朝鮮、日本へと伝わって独自の音楽として発展した「雅楽」でも、同じように通じ、人々の琴線に触れる事ができるのは、なんと感動的な事だろう。
 そんな感動を遠くイタリアの地において、肌で感じた学生がいる。一般同好会雅楽会の3人だ。雅楽会は、同好会としての学内活動のほか、京都市下京区の市比売神社の宮司、飛騨富久氏が主催する「いちひめ雅楽会」に所属。学生、社会人を問わず小学生から70代まで200人以上が参加する同会は、国際交流の一環としてフランス、中国、アメリカなどで雅楽、舞楽の海外公演を積極的に開催。2008年11月には、ローマ日本文化会館などの要請を受け、イタリアでも見事に公演を成功させた。
 そのイタリアでの演奏メンバーに選ばれたのが、彼ら3人だ。16人がメンバー枠という狭き門のなかで抜擢された精鋭でもあり、大学生の参加人数の数では本学が最も多いという。
 「選ばれた時は、やった!と思いましたね。でも、すぐに自分に務まるだろうかと、プレッシャーで不安になりました。他のメンバーに笑われないように、練習にも力が入りました」(岩井さん)。


鳴りやまない拍手とカーテンコールこの感動を 次は後輩へ
鳴りやまない拍手とカーテンコール
この感動を 次は後輩へ

 「緊張というよりも、わくわく感がありましたね。オペラ発祥の地であるイタリア人の方が雅楽にどう反応するのかなって」。横山さんは当時を振り返る。
 2週間という滞在期間のなかで、京都市の姉妹都市であるフィレンツェ、ローマ、ラベンナを巡回するという過密スケジュールをこなさなければならない事や、これまでの厳しい練習や準備などで、疲れもたまっていたに違いない。
 しかし、それを吹き飛ばしたのは、聴衆の反応だった。観客で埋め尽くされたローマの会場。教会から響き渡る雅楽に足を止め、吸い込まれるように教会へとやって来たフィレンツェの外国人観光客…。何より感激したのは、ラベンナでの出来事だ。鳴りやまない拍手から、雅楽の演奏会としては異例のカーテンコールがおこなわれたのだ。
 「こんなことは初めて。思わず顔がほころんでしまった」と、岡田さんは振り返る。
 「言葉では表現しにくいですが、雅楽、舞楽の素晴らしいところに『間』という雰囲気があります。日本人独特の感性だけに、イタリアの方にそれがうまく伝わるかと思っていましたが、観客の方はどなたも私語をされず、厳かな雰囲気でやり抜く事ができました。最後まで緊張感を保てたのは、同じ『間』を共有できた証拠だと感じています」(横山さん)。
 今後、3人は後輩の育成に回るという。雅楽会自体の活動も活発化しており、10年ほど前の発足当初はわずかだったメンバーも、今では25人を数えるという。単独での演奏会を開いたり、本学宗教部のサポートを受け、寺の新年法要において演奏を成功させるなど、独自の活動もますます充実しそうだ。
 「雅楽を通して様々な人に出会い、たくさんの経験ができました。今度は後輩たちを指導する立場で頑張りたい」と横山さん。感動の琴線は、後輩たちへと紡がれていく。



岩井 麻理子(いわい まりこ)さん 岩井 麻理子(いわい まりこ)さん
文学部3年生
平安高校出身
横山 汐莉(よこやま しおり)さん 横山 汐莉(よこやま しおり)さん
文学部3年生
岡山理科大学付属高校出身

岡田 俊太(おかだ しゅんた)さん 岡田 俊太(おかだ しゅんた)さん
文学部2年生
徳島県立川島高校出身
 


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