龍谷 2009 No.67

トピックス 〈文部科学省オープン・リサーチ・センター整備事業 各研究プロジェクトの研究活動

中村久子女史と歎異抄展
 -生きる力を求めて-


 3歳で両手両足を失いながらも、ひたむきに生き抜いた中村久子女史の生涯に注目し、彼女の書、人形、編み物や写真を展示した。特に岡田至弘教授の協力により、彼女の大切にした『真宗聖典』『歎異抄真髄』をデジタルアーカイブとして展観することができた。
 中村久子女史はヘレンケラーとの交流があり、『歎異抄』との出遇いによって深い安らぎを見出した。「逆境こそ恩寵なり」「どんなところにも生かされていく道がある」等の彼女の言葉は、生きる力を与えてくれる。深草学舎至心館パドマには、小学生から一般の方まで、約2900名もの来館者が訪れた。中村久子女史顕彰会の三島多聞氏や中村久子女史の娘、富子氏の講演や、鍋島直樹人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター長との対談など、来館者の心に余韻を残した。

オープニングセレモニーの様子
オープニングセレモニーの様子
 


イランに仏教遺跡!

仏龕が掘られていた八角柱
仏龕が掘られていた八角柱
 アフガニスタン仏教遺跡学術研究プロジェクト(代表 入澤崇経営学部教授)の第4次調査が2008年9月30日から10月25日まで実施された。アフガニスタンの治安悪化により、2007年からは調査の対象をアフガニスタン周辺国にシフトし、仏教の西への伝播の跡を追跡している。
 今回の調査では、まずトルクメニスタンへ赴き、アフガニスタン国境近くでこれまで未報告のドルトデシク石窟を新たに確認した。。次に調査隊は、これまで仏教研究の調査対象となったことがほとんどないイランに陸路で入り、ペルシア湾沿岸のブシェール地域とイラン北西部のマラゲー近郊で調査をおこなった。その結果、マラゲー近郊のヴァルジュヴィ遺跡で仏教寺院の遺構が確認された。その仏教寺院はモンゴル勢力がイランに入って打ち立てた王朝であるイルハン朝(13世紀)のものであり、イルハン朝がイスラームに改宗する前段階の跡を示していた。重要度の高い発見であるために、新聞・テレビで大きく取り上げられた。


第20回新春技術講演会を開催

 2009年1月14日、龍谷大学創立370周年および理工学部開設20周年記念事業として、第20回新春技術講演会を大津市の大津プリンスホテルで開催した。
 講演会第1部では、若原学長の開会挨拶に続き、近畿経済産業局長の平工奉文氏から「関西経済の活性化について」講演がおこなわれた。
 続いて、太陽光発電技術研究組合理事長の桑野幸徳氏より、「新しい潮流(地球環境、エネルギー問題、新デジタル)が始まった21世紀ーこれまでの20年を振り返り、これからの20年を展望する−」と題して基調講演がおこなわれた。講演では、地球環境やエネルギーについて、これまでの20年を振り返り、これらを太陽光発電などの新技術でどのように解決していくか、また、新デジタル時代にどう対応していくかについて、これからの20年の展望が語られた。桑野氏は、本学の揚げる「共生」の精神がこれからの時代に必要だとコメントし、会場はこれに大きくうなずいた。
 講演会第2部では、革新的材料・プロセス研究センター長で、理工学部物質化学科の大柳満之教授が、研究開発における軌跡と今後について報告をおこない、続いて滋賀県工業技術総合センター所長の中村吉紀氏が地元滋賀県の産学官連携のこれまでとこれからについて講演をおこなった。講演会には、ポスターセッションやRECによる技術相談を実施。理工系にとどまらず仏教など文社系の研究も含め100件もの出展があり、活発な意見交換がなされていた。
 懇親交流会では、本学の吹奏楽部とバトン・チアSPIRITSによる公演がおこなわれ、華やかで和やかな雰囲気のなか、産官学各界の参加者が交流を深めた。
 学内外合わせて約500名の参加があり、本学創立370周年と理工学部開設20周年、そして新春技術講演会の20回目の記念にふさわしく、大盛況のうちに終了することができた。

第20回新春技術講演会を開催




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