龍谷 2009 No.69

 
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経済学部伊達浩憲ゼミナール

     オリジナル宇治茶の製作で南山城村の茶業活性化を

前 知里さん
まえ ちさと
前 知里さん
経済学部3年生
和歌山県立桐蔭高等学校出身

西井 一貴さん
にしい かずき
西井 一貴さん
経済学部3年生
近江兄弟社高等学校出身

伊達ゼミでは、2007年より「農商学連携」をテーマに、人口減少と高齢化、財政難などの問題を抱える京都府南山城村の地域経済活性化プロジェクトに取り組んできた。2008年は「やましろ農産物直売市 in竜馬通り商店街」として、山城地域の農産物約50品の直売市を同商店街で開催。第2弾の取り組みとなる今回は、南山城村が宇治煎茶の代表的産地であることに着目し、NPO法人「南山城村 茶ECOプロジェクト」と連携のもと、「南山城村産100パーセントの龍谷大学オリジナル宇治茶」製作に挑戦。南山城村の煎茶を広くアピールして茶業の振興を図ることとあわせて、学生が栽培、製茶、商品企画、開発、パッケージデザイン、販売まで一貫して携わることで、「地域経済活性化のための臨床能力」の体得が目的だ。
 伊達ゼミ25名の学生は、製造班、デザイン班、販売班に分かれ活動をスタート。何度も茶畑に足を運んだという製造班の西井さんは、「夏の作業は暑さとの戦い。想像以上に重労働でしたが、通うにつれて茶農家さんとの信頼関係を築くことができた」と振り返る。茶農家の生の声や独自の調査から、煎茶が価格低落や生産量減少に陥る一方で、単価の高い抹茶の原料となる「てん茶」の生産に力を入れていることも明らかになった。結果、煎茶とてん茶の両方を使用し、それぞれの特長を相乗効果でアピールする「抹茶入り煎茶」の企画、製作にたどり着いた。
     販売2ヵ月で最低販売目標を達成
商品のネーミングは、いくつか候補を出した後、街頭調査などの意見を踏まえ、『雫(しずく)』に決定。
 茶葉は抹茶、煎茶ともに南山城村産の一番茶だけを使用し、他社製品の抹茶の含有量が1・5パーセントから2パーセントのところ、『雫』は3パーセントにして、抹茶の味をより引き出す工夫をした。蓋を開けるとふわりと舞い上がるというきめ細かい抹茶は、石臼挽きによる微細加工を得意とする府内の問屋に委託。一煎目は抹茶、二煎目、三煎目は煎茶と、煎じるごとに水色と味の変化も楽しめる。また、「茶農家が丹精こめて育てたお茶を安っぽく見せたくない」を合言葉に、デザイン班は、茶筒の蓋を黒にするなど、高級感を盛り込んだ。「できあがった商品は、我が子のような感覚」(デザイン班・前さん)。「ボツになった企画は山ほどありますが、納得できる商品になった」(デザイン班・宮城さん)。
 販売では、西本願寺御用達の老舗茶舗、美好園への委託が実現。店頭販売のほか、販売班による飛び込みでの営業や旅行社への企画持ち込み、各種イベントでのPR活動など独自の販売努力の甲斐もあり、販売2ヵ月で最低販売目標の1000個を達成した。
 今後は2年生を中心に、『雫』ブランドを継続するとともに、ホテルとのコラボレーションや『雫』の冷茶バージョン、緑茶の二番茶を活用した「和紅茶」の開発などに挑戦する。一滴の雫が、どこまで広がりを見せ、南山城村の発展に貢献できるか。伊達ゼミの動向にますます注目が集まりそうだ。


 茶農家と学生の「思い」をブレンド
 龍谷大学オリジナル
 宇治茶抹茶入り煎茶『雫』が完成
経済学部伊達浩憲ゼミナールの学生25名が企画製作した龍谷大学オリジナル宇治茶『雫』が、2009年10月完成し、老舗茶舗の(株)美好園(京都市下京区)にて販売中だ。茶農家、問屋、茶舗とタイアップし、商品企画から販売まで学生が実践的に学んだ『雫』誕生までのストーリーと、今後の展開について話を聞いた。

珠村 和利さん  抹茶入り煎茶 『雫』
北陸高等学校出身
たまむら かずとし

珠村 和利さん  経済学部3年生

抹茶入り煎茶 『雫』
  80グラム  1,050円 (税込) 
(株)美好園で販売中
京都市下京区仏具屋町235
TEL:075-371-1013
http;//www.bikouen.com

 

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