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今回も中学生部門の応募句に注文をつけたい。指導される国語の先生にお願いしたいことだが、俳句は五・七・五、十七音の詩であること、必ず季語を必要とする詩であることを指導していただきたい。教科書や歳時記に出ている作品をそっくりうつしたり、一部を変えて投稿するということをしてはいけないということを教えてほしい。このことの指導が入れば、生徒達の作品は見違えるものになると思っている。よろしくお願いします。 |
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俳人協会理事。
大阪俳句史
研究会理事。
俳誌「運河」主宰。 |
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「青春俳句大賞」も7回を迎えた。その間に参加された方々は、確実に成長を遂げているであろうという思いを、選や選評を書くときにいつも思う。十代から二十代にかけての時間は、環境が激しく変わる時でもある。そのような時の一刻を、「俳句」によって刻んだことを祝福したい。
7回を迎えて、総体として力強さが加わってきた。「日本語の力」と胸中に繰り返しつつ、選者としても力を得た思いであった。 |
寺井 谷子氏 |
現代俳句協会副会長。
俳誌「自鳴鐘」主宰。 |
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青春俳句大賞も回を重ねるに従って変化してきている。特に大学生、短大生の作品が良くなった。中学生や高校生もそれぞれの世代にふさわしい、新鮮な感覚の作品があって楽しい。しかし一部の学校の作品に、ある種のパターンにはまったものが多く発見されることが残念である。素材の取合せとか、表現の仕方、言葉の使い方など、類型的なものが多いのである。自らの考え、自らの発想で作句してほしい。
点取り競争ではないのである。独創性を大切にすべきである。 |
有馬 朗人氏 |
元文部大臣。
日本科学技術
振興財団会長。
俳誌「天為」主宰。 |
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私は21歳の時に初めて高浜虚子という俳人に師事しました。虚子先生は今の私より少し若かったと思います。虚子は選句に大きな自信を持っていて、めったに選評をしなかった人ですが、或るときこう云われました。「自分が本当に感じたことを言葉を飾らずに正直に述べた句が良いのです」。生意気ざかりの学生だった私には、当時はなかなか納得できなかったのですが、今は実に詩というものの本質を教える言葉だったと思っています。 |
大峯 あきら氏 |
大阪大学名誉教授、
元龍谷大学教授。
同人誌「晨」代表 |
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応募句数は減少したとはいえ、全体の作品のレベルの向上には瞠目するものがある。日本語の貧困が話題に上る昨今、こうした磨きぬかれた日本語が求められる俳句を通し、知らず知らずのうちに自らの言葉を耕している。回を重ねるごとに、若者たちの俳句作品への信頼というもの強く感じ、選考を終えて爽快な気分に浸ることができた。継続こそ力であることの自覚を願っている。
※山田弘子先生は、心不全のため2010年2月7日ご逝去されました。山田先生のご遺徳を偲び、心から哀悼の意を表します。 |
山田 弘子氏 |
日本伝統
俳句協会理事。
俳誌「円虹」主宰。 |
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今回の応募句は、少なくとも英語部門において、このコンテストの7年間の歴史の中で最も質を高めています。英語俳句の応募者数は1400を越えました。簡潔な表現を選び抜くという俳句においては、最良の詠み手は必ずしも母国語の話し手ではありません。奥深い、独創的な俳句の目を持って自分の周りの世界を見れば、言語の技巧を越えた真なる美が存在します。日本文化のなかに先天的にあるのではないかと思われる詩的な視点と表現は、優れた英語力と努力を重ね合わせて学生達を指導される学校の先生方のお力とも相まって、心に響く多くの句を生み出しました。 |
ウルフ・スティーブン |
龍谷大学
国際文化学部教授。
俳句研究、
翻訳をおこなう。 |
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