龍谷 2010 No.70

青春クローズアップ
 
龍谷ジュニアキャンパス「陶芸体験」
瀬田キャンパスで陶芸体験 子ども達に贈る土のぬくもり

8月7日と8日の2日間、陶芸部による「陶芸体験」がおこなわれた。本格的な作陶を気軽に楽しめることから、多くの親子連れで賑わう人気講座だ。社会貢献をしたいとの思いから始まった講座は、今や龍谷大学の看板講座に。企画立案から当日の運営までイベントを取り仕切る、経営学部3年生の田中泰斗幹事長に、陶芸体験の魅力と意義を聞いた。
陶芸部のメンバー
陶芸部のメンバー
 
「土遊び」の楽しさを 子ども達に
 小学生に学びの場を提供することを目的に、2010年からスタートした「龍谷ジュニアキャンパス」。スポーツや自然観察の教室とは違い、親子で参加できるとあって陶芸体験には多くの親子連れが集まった。実は陶芸教室、龍谷ジュニアキャンパスが始まる前から開講してきた、歴史と伝統ある講座でもある。今回この教室を統括するのが陶芸部36代目幹事長の田中泰斗さんだ。
 「もともと陶芸部は一般同好会だったんです。学術文化局の部として昇格するきっかけとなったのが、この陶芸体験。地域貢献として取り組んできたこの活動が認められたと先輩から聞いています。だからこのイベントは私たちの原点。その分責任は重いですね」
 現在の部員は40人。午前・午後の約30人もの参加者に、ほぼ全部員が指導にあたる。教室で作るのは茶碗や湯呑み、マグカップなど「袋物」と呼ばれるもの。参加者によってはオブジェのようなものができ上がることもあるのだとか。
 「日常生活で使えるものを製作することが陶芸の楽しみでもありますが、子ども達にはまず土の感触を知ってもらいたい。本人が作って楽しいと思えるものに取り組んでもらいたいと思っています」
 「土遊び」の醍醐味を知ってほしい。その考えは企画そのものにも表れている。陶芸体験で参加者が取り組むのは「成形」と呼ばれる土をこねて湯呑みなどの形を作り上げていく工程のみ。成形の前段階には土を練り込んで気泡を抜く土作りや成形後の乾燥、焼成といった作業は全て陶芸部の部員がおこなっている。
 「土作りは大人の男性でも汗だくになるほどの力仕事。焼成も1000度を超える炎を扱う危ない作業です。子ども達には『土遊び』から陶芸に興味を持ってもらえたらと考えています」
田中 泰斗さん
たなか やすと
田中 泰斗さん
経営学部3年生
京都成章高等学校出身

 
陶芸教室の体験から 子ども達が成長してくれると 嬉しい
 陶芸教室では、「手びねり」と呼ばれる指先や手のひら、時にはヘラや布を使って形を整える成形手法でおこなうため、作る人のオリジナリティが出るのが特徴だ。教室には電動ロクロの体験コーナーを設けて、その違いも体験してもらっている。飲み込みの早い子どもは1時間ほど土遊びすれば、一緒に参加する保護者以上の作品を作り上げていくから驚きだ。
 「最初は余裕を見せていた保護者の方も、お子さんの上達ぶりを目の当たりにすると、負けじと成形に取り組んでおられます。親子で刺激し合いながら楽しめるのも、陶芸体験の魅力ではないでしょうか」
 参加者の作品は時間をかけてじっくり乾燥させた後、瀬田キャンパスにある窯を使って、陶芸部の手で焼成がおこなわれる。子ども達の思いがこもった作品だけに、焼き上げは非常に気を使う作業となる。
 「子どもたちが一生懸命作った作品ですから、自分の作品を焼くより緊張します。ゆっくり温度を上げて、割れにくい焼成を心がけています」
 こうした心遣いが通じてか、これまで作品は一度も割れたことがない。今年も龍谷祭とあわせて開催される学術文化祭の時に、子ども達に手渡される。
 「今回もたくさんの子ども達に参加してもらえましたが、これからももっと多くの方に参加してもらいたいですね。陶芸の楽しさを知ってもらうことはもちろんですが、より多くの子ども達にこの体験を成長の糧にしてもらえればと思っています」と話す田中さん。教室後も反省会を開くなど陶芸部の活動にまだまだ満足はない。
小学生に手取り教える陶芸部員
小学生に手取り教える 陶芸部員


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