龍谷 2010 No.70


RYUKOKU アカデミックEye 人間・科学・宗教総合研究センターの各研究プロジェクトの研究活動のほか、研究関連の動きをご紹介します。
人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター特別展示 「仏教の宇宙観と死生観」
URL http://buddhism-orc.ryukoku.ac.jp

人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター特別展示 「仏教の宇宙観と死生観」 人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センター特別展示 「仏教の宇宙観と死生観」
 文部科学省が実施する私立大学戦略的研究基盤形成支援事業に、人間・科学・宗教総合研究センターの研究プロジェクトとして「死生観と超越―仏教と諸科学の学際的研究」が採択された。
 本プロジェクトでは、6月30日から7月30日にかけて、本学深草学舎至心館2階パドマ館において研究展示「仏教の宇宙観と死生観」を開催した。
 仏教の死生観の背景には、仏教の壮大な宇宙観が広がっている。至心館パドマでの「仏教の宇宙観と死生観」展では、須彌山宇宙に新しい光をあてた。金輪際とは、地の果てを意味する。有頂天とは、迷いの三界の最上界で、思いあがり、うわの空になっていることを指す。仏教宇宙観は、私達の世界が迷いをくりかえしていることを反省させる。明の時代に宗可の描いた『須彌三界圖』には、新たな発見があった。仏達が迷いの世界を超えて、私達を見守っていたのである。また、釈尊の涅槃図には、仏弟子だけでなく、菩薩や、阿修羅などの神々、動物や虫達も集まり、その死を悲しんでいる。阿修羅像のミニチュアにも人気が集まった。迷える人間だからこそ、自然の恵みの中で、生きとし生けるものと相互に依存し支えあって生かされていくことを、仏教宇宙観は指し示している。
 本展では、仏教天文説を目に見える形で表現した時計仕掛けの「須彌山儀」や、須彌山を中心とした仏教的世界観を図で示した「須彌三界圖」など、合計42点の資料を公開した。
 この展示に際しては、龍谷大学大宮図書館に協力をいただいた。須彌山宇宙はアジアの架け橋である。来館者数は1400名を超えた。
 
地域人材・公共政策開発システム オープン・リサーチ・センター(LORC)「地域公共人材の育成をめざして」
URL http://lorc.ryukoku.ac.jp
 
講義のひとコマ
LORCは内閣府関連事業の委託を受けて、
社会的起業家の育成支援事業に取り組んでいる。その講義のひとコマ。
 地域人材・公共政策開発システム オープン・リサーチ・センター(以下、LORCと略称)は、文部科学省からの研究プロジェクト助成金を得て設立された。今年度で第2期の最終年、通算で8年目を迎える研究センターである。LORCの研究のテーマの一つが、地域公共人材の育成システムや教育プログラムの開発だ。
 公共的な課題というのは、これまでの社会では、「官」が取り組むこととされてきた。これからは行政だけでなく、企業やNPOなどの民間組織、地域住民組織、さらには大学自身も、公共的な課題に取り組むことができるような協働型社会にしていこう、とLORCは提起してきた。
 協働型社会においては、「官」と「民」とを極端に分ける発想法は克服されなければならない。また、異なる原理で活動してきたそれぞれの団体や組織がコミュニケーションを持てるようにしなくてはならない。こうした発想法と能力を身につけた地域公共人材が必要とされている。
 地域公共政策士という地域資格制度は、京都府内の政策学系の学部や教育コースを持つ八つの大学で、一緒に取り組む人材育成システムである。地域公共人材に必要な能力を身につけた人に対して、社会に見える「パスポート」として資格を使ってもらえるようにするために、来年度開設される政策学部・大学院政策学研究科では、地域公共政策士の育成にも取り組んでいきたい。

現代インド研究センター(RINDAS)「現代政治に活きるインド思想の伝統」
URL http://rindas.ryukoku.ac.jp
 
インド インドの子供たち
 インドは今急激に変貌している。経済成長著しく、国際社会での発言力も強め、その動向は世界の注目を集めている。しかしこの変貌は、経済格差、政治対立等の諸問題を伴っていることも事実である。可能性と問題性を同時に持つインドの現実を総合的に把握するという目的のもと、大学共同利用機関法人人間文化研究機構の地域研究推進(研究拠点形成)事業「現代インド地域研究」が、六つの機関(京都大学、東京大学、広島大学、国立民族学博物館、東京外国語大学、本学)を拠点として本年度から5年間の予定で始動した。本学拠点は、「現代政治に活きるインド思想の伝統」をテーマとし、これまでのインド思想研究の蓄積と、近年本学において活発化している現代インド研究を結合させ、独自のインド像を提示することをめざす。研究会や現地調査を実施し、その成果を毎年開催する国内・国際シンポジウムで公表すると同時に、これらの活動への学生諸氏の参加を促すことにより、次世代研究者の育成を図っていく。

アジア仏教文化研究センター(BARC)「アジア諸地域における仏教の多様性とその現代的可能性の総合的研究」
URL http://barc.ryukoku.ac.jp
 
南響堂山石窟東側摩崖造像 (6世紀・中国河北省) ベンガル仏教徒寺院の沙弥たち (バングラデシュ・クミラ)
南響堂山石窟東側摩崖造像
(6世紀・中国河北省)
ベンガル仏教徒寺院の沙弥たち
(バングラデシュ・クミラ)
 このたび、文部科学省が実施する私立大学戦略的研究基盤形成事業に、人間・科学・宗教総合研究センターの研究プロジェクトである「アジア諸地域における仏教の多様性とその現代的可能性の総合的研究」が採択された。この研究プロジェクトの拠点として開設されたのが「アジア仏教文化研究センター」(センター長・桂紹隆 文学部教授)である。  本研究センターでは、@南アジア地域班、A中央アジア地域班、B東アジア地域班の三つの研究ユニットを設け、アジア各地に展開した仏教の歴史と現実を多角的・総合的に解明することにより、異なる価値観に対しても寛容な仏教が有する現代的意義とその可能性を追求し、さらには現代日本の仏教活性化の道を探ることを目的として、今後5年間の研究活動をおこなう。  本年10月9日には、本研究センターの設立を記念し、シンポジウムを開催する。

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