龍谷 2010 No.70


様々な方面で活躍する龍谷人INTERVIEW 女子プロ野球 兵庫スイングスマイリーズ ピッチャー
胸を張って女子野球を。 追い続けた夢がくれたのは、プロの誇りと覚悟。 
            
  小西 美加さん
京都府京都市出身
2004年龍谷大学短期大学部
社会福祉科卒業
 
          今年、59年ぶりに女子プロ野球リーグが復活した。今シーズンは兵庫スイングスマイリーズ、京都アストドリームスの2球団でスタートし、前期(4月下旬〜7月中旬)、後期(8月上旬〜10月中旬)各20試合を実施する。前期はスマイリーズが優勝に輝き、後期もスマイリーズが初戦を制するなど、幸先の良いスタートを切っている。
 そのスマイリーズのエースに君臨する小西美加さんは、ストレートを武器に前期での勝率は7割を超えた。後期の開幕戦も見事勝利を飾っている。
 沸き上がる声援のなか、ヒーローインタビューならぬシンデレラインタビューに応じる小西さんの表情には、野球ができる幸せが溢れている。硬式野球のプロリーグで舞台が用意される日が来るとは、彼女自身夢のようなことだと言う。
 「いつか女子のプロ野球を」。小西さんが小さい頃から抱いていた夢だ。小学2年生の頃、野球少年の兄に憧れて野球を始めた。男子に交じってチームに入り、男子より肩は強い、足は速いで、気がつけばエースになっていた。
 しかし、中学も高校も硬式野球部に入れなかった。女子チームは皆無のうえ、男子チームには「女子だから」という理由で門前払い。高校ではソフトボール選手としてスカウトされたが、ピッチャーになることは避けた。硬式野球のピッチャーの投球方法にこだわりたかったからだ。そこで活躍する姿が龍谷大学女子ソフトボール部の浅野監督の目に留まり、本学短期大学部へと進学。インカレ3位という成績に貢献した。
 ソフトボール部を引退した直後、小西さんに再び野球のチャンスが巡ってきた。女子野球の世界大会「IBAF女子ワールドカップ」の代表選考会だった。「これで受からなければ思い残すことはない」と、これまでの思いを全てぶつけた。結果は合格。大会では決勝戦の先発を任され、世界制覇を達成。以降、5年連続で日本代表に選ばれた。
 男子なら、これだけの実績があればプロの道は拓けていたかもしれない。だが、小西さんには何の確約もなかった。現実は、アルバイトで糊口を凌ぐ日本代表だった。運良くスポーツに理解のある会社に就職できたが、いつまでその生活が続けられるか不安だった。
 「これ以上女子野球が発展しないなら、1、2年で野球をやめよう。仕事も中途半端じゃなくしっかりやろうと考えていました」
 そんな時、舞い込んできたのが女子プロ野球創設の話だった。「今しかない」。トライアウトを受け、小西さんはようやく夢をつかんだ。
 「お客さんを前にマウンドに立った時は、最高でした。今まで我慢が多かった私の人生ですが、諦めずにやってきて良かった」
 夢のために耐えぬいた小西さんの表情からは、プロとしての誇りと覚悟が伝わってくる。
 「女子野球を広められるよう、魅力のある試合をしていきたい。まずは、決め球のストレートを130キロ台に上げること。プロならではのプレーでファンを惹きつけたいです」
※トライアウト・・・スポーツチームに入団を希望する選手が、関係者の前で自己アピールし、契約をめざす場のこと。
 
         日本女子プロ野球機構で、広報を担当している岩崎恭子さん(右)と。 岩崎さんは、小西さんと同じ龍谷大学のソフトボール部のメンバーだった。女子プロ野球の創設時に偶然再会。龍谷大学の卒業生二人が、女子プロ野球の未来を担っている。

このコーナーでは、様々な方面で活躍する「龍谷人」を紹介しています。
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