龍谷 2010 No.70


RYUKOKU アカデミックEye
 
ヒロシマの原爆に学ぶ-被爆者の死生観と願い
 
懐中時計 寄贈者:渡邊美代子氏(提供 広島平和記念資料館)
懐中時計
寄贈者:渡邊美代子氏
(提供 広島平和記念資料館)
「かぞえきれない程の人が なんにも言えないで
なんにも知らないで 死んでしまったのです」

(高蔵信子)

「核戦争には勝者も敗者もあり得ません」

(高橋昭博)

 2010年11月15日(月)〜12月17日(金)にかけて、深草学舎 至心館2階パドマ館にて開催された、「ヒロシマの原爆に学ぶ−被爆者の死生観と願い」展。ヒロシマ原爆の現実を学び、あわせて、被爆者の証言と平和への取り組みを聞き学ぶことを通して、いのちの尊さを知り、戦争の悲しみから思いやりや慈しみを育む。
 被爆者は亡くなっても、被爆者の願いは、私達が涙し、伝えるところに生きつづける。

(センター長 鍋島 直樹)
 オープニングセレモニーでは、若原学長の式辞、広島平和記念資料館前田耕一郎館長の挨拶に引き続き、テープカットがおこなわれた。また、学生を代表して、岩田さん・大賀さんが館長に色紙「怨親平等」を贈った。
 
オープニングセレモニーにて、前田館長によるご挨拶 オープニングセレモニーにて、
前田館長によるご挨拶


「被爆者は、はじめは恨んでいたが、苦しみを知ったからこそ、他の誰にもこんな思いをさせたくないと願っています」
前田館長、若原学長らとの記念撮影 前田館長、若原学長らとの記念撮影

今回の展示は、広島平和記念資料館の格別のご支援をはじめ各新聞社、「仏教の思想」の先生方と学生、研究部や学長室(広報)の総合力によって実現した。
前田館長による展示品解説 前田館長による展示品解説

「原子爆弾投下による被害は熱風、爆風、火災など多岐にわたっているため、陶器や瓦といった同じ物でも被害状況によって特徴が異なる」

【展示品】

 パドマでの展示品は、原爆で亡くなった子どものズボン、シャツ、シュミーズ、腕時計、熱線を浴びた瓦、市民が描いた原爆の絵、原爆被害のパネル、ヒロシマ・ナガサキの映画などであった。

【展示品】

【被爆体験講話】

 阿部靜子さんによる被爆体験講話には260名の学生と市民が集った。彼女は全身ヤケドで目も閉じられず、ケロイドで手が変形し、生きているのさえ苦しかった。それでも家族がずっと看病し、幾度も整形手術を重ねた。今は被爆体験を語ることが自分の使命であるという。

 

【被爆体験記朗読会】

 全国で初めて、広島県外において被爆体験記朗読会を開催し、700名もの学生と市民が参加。国立広島原爆死没者追悼祈念館の朗読ボランティアの代表が原爆詩や体験を朗読し、次に、学生代表の森口さん、星澤さん、若原さん、谷川さんによって原爆詩が朗読された。被爆者の悲しみや無念さは消えることはない。しかし、被爆者の真実の体験を、原爆を知らない私達自身が朗読することによって、その亡き方々の切なる願いが今に生きつづける。

 

広島平和公園にはイルミネーションはない。
そこで数え切れないほどたくさんの人達が、ピカドンによって何にも知らずに死んでいった。
今度ヒロシマを訪ねるときには真っ暗な広島平和公園を静かにゆっくり歩きたい。
高田信良先生や杉岡孝紀先生は、宗教と平和に関する講義を通して、
ヒロシマ・ナガサキの平和への願いを伝えつづけている。


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