龍谷 2010 No.70

青春クローズアップ
 
誰かの音に自分の音を重ねる、ぶつける。そこに世界が広がる。今しか出せない音色を求めて、今日もスウィング! ジャズ研究会 和布浦 航平さん
 
ジャズ研究会
 

 二つのビッグバンドを擁し、コンボに至っては数え切れないほどのグループが存在するという、龍谷大学ジャズ研究会。ジャズというと難解なイメージがあるが、大学から始める人も多く、学園祭をはじめ、コンクール参加など様々な活動をおこないながら、みんなで音楽を楽しんでいる。「世の中には二種類の人間がいる。スウィングする人としない人だ!」とは、大ヒットした映画『スウィングガールズ』でのセリフだが、ジャズの魅力とは何なのか? 青春時代をジャズに捧げ、縦横無尽にスウィングする龍大ジャズマンに聞いた。

 
ジャズだからこそ自由に
やりたいことをやろう!

 節電の夏の夜。深草キャンパス1号館のほの暗い廊下から聞こえてきたのは、ナイトクラブ華やかなりし頃のスタンダードナンバーに、ダンスホールをご機嫌に飾るスウィング。そして、思わずグラスを傾けたくなるようなモダンジャズ・・・教室をムーディに彩る音色の主は、ジャズ研こと龍谷大学ジャズ研究会の面々だ。
 「ジャズにもたくさんジャンルがありますが、個人でやりたいことをやれるようにしています。レゲエをジャズ風にアレンジしたり、ロック寄りの曲をやったりしても、あり≠ニ言えばあり=Bジャズをやっているって言うと、周りからは難しそうだね≠ニ反応されることがありますが、当人からすると全くそんな気持ちはないんですよ」
 メンバーの和布浦航平さんは話す。ジャズには多人数編成のビッグバンド≠竅Aトリオ(三人)、カルテット(四人)、クィンテット(五人)など小人数の コンボ≠ニいう演奏スタイルがある。それらのスタイルにのっとって、ジャズ研ではいくつもの演奏グループがつくられ、大会やライブなどで活動している。
 「ビッグバンドは、人数も多いので音の迫力が違います。皆と息がぴったり合う瞬間はすごく気持ちが良いですね。コンボはソロが中心なので、ソロパートをどう自分らしく演奏するかが醍醐味。アドリブで違う曲のメロディを持ってきたり、その時のノリでスタンダードナンバーをアレンジしたり。ジャズって、知れば知るほど自由度が増していくんです」

 

初心者も経験者も
自分に合ったスタイルで楽しむ

 ジャズ研のビッグバンドは、C(ツェー)軍(レギュラーの意)の「ジャズバードオーケストラ」と、D(デー)軍(準レギュラー)の「ジャズアークオーケストラ」の2バンドで構成され、1?4年生で約100名という大所帯だ。
 「ジャズバードオーケストラ」は、3年生の選抜メンバーが参加する看板バンド。「大阪城ジャズフェスティバル」や関西の他大学との合同ライブに出演し、学生ビッグバンドの全国大会「山野楽器ビッグ・バンド・ジャズ・コンテスト」では、本戦出場をめざしている。
 「ジャズアークオーケストラ」は、1年生の養成を兼ねたバンドで、他大学のD軍との合同ライブのほか定期演奏会を目標にする。和布浦さんはバンドマスターを務めており、「自分達が楽しみ、なおかつお客さんをどう楽しませるか」を練習の軸に置いているという。
 「ジャズ研には、吹奏楽や軽音出身者もいますが、楽器経験のない初心者も多いです。私自身も1年生の頃は、楽譜は読めない、そもそも何の楽器をするかさえ決まっていない状態でサークルに飛び込みました。練習では、リズムやコード理論など難しいこともありますが、できないのが当たり前なので、皆で少しずつステップアップしていくのが目標です。アドリブ演奏だって、極端に言えば音を一本鳴らすだけでも成立するんですから、硬くならずに、ゆっくり上達していけばいい」
 コンボのグループは少人数編成のため、ライブハウスが主に活躍の舞台となる。結成は自由で、メンバー同士で誘い合ったり、他大学の部員と一緒につくったり、一夜限りの結成などもあるため、数え切れないほどのグループが存在するそうだ。
 
スイス・インターラーケン市を訪問(2010年8月 北陸チャリティーコンサートの様子
 

共通の目標は定期演奏会
皆でお客さんをノリノリに♪

 「ジャズ研の良さは、いろんな人間が集まっているところ。結成が2005年と歴史が短い分、縛りも少ないですから、排他的じゃない。ジャズは二の次で、とにかく楽器を吹くのが目的という部員がいますし、ビッグバンドオンリーっていう部員もいればその逆もいます」
ジャズの懐の深さを存分に吸収して、何をするかは各々次第。それぞれの「好き!」「これがやりたい!」のクロスオーバーが、ジャズ研の歴史に新たなページを加えていく。
東日本大震災の支援活動として北陸でチャリティーコンサートを開催した。6月に金沢駅、福井駅にて演奏とともに義捐金を募り、たくさんの方から温かい支援をいただいたという。

 「金沢では龍谷大学OBが来てくれたり、お孫さんが龍谷大学に通っているというおばあちゃんから募金をいただいたりして、縁を感じました」と、和布浦さん。復興を願いながらの熱い演奏は、お客さんの心に強く響いたことだろう。
現在は、12月の定期演奏会に向けて練習に励む日々という。ジャズ研のバンドが勢揃いして本年を締めくくる大切なライブである。
「定期演奏会では有終の美を飾れるようにしたいですね。この音良かったよ≠チてお客さんから言ってもらえると嬉しいので、練習をがんばりたい。でも、一番嬉しいのはやっぱりノリノリで聴いてくれるお客さんの姿ですね」

 

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