龍谷 2010 No.70

青春クローズアップ
 
「龍谷から世界へ羽ばたけ!行かなきゃ何も変わらない!」

 留学に興味を持ちながらも、なかなか一歩を踏み出せない学生に、自分自身の留学経験に基づいて留学相談などのサポートやアドバイスをおこなう学生グループがある。深草の「SABS」と瀬田の「LINK」だ。
 活動の場は違うが、一人でも多くの学生を海外へ≠ニいう目的は同じ。何より共通しているのは、留学先での人生を変える経験≠ゥら、留学の魅力を伝えたいという思いがあることだ。留学から得たものとは何だったのか?

 
●大学を国際交流の舞台に

 扉を開けた瞬間、様々な言語が飛び交い、様々なアイデンティティーを持つ人々がせわしなく行き来する。そんなグローバルな雰囲気漂う国際部のインターナショナルラウンジが、SABSの活動の場だ。
 結成は2010年4月。国際部の学生留学サポーターとして、13名のメンバーが、留学に興味を持つ学生を対象に、昼休みの個別相談に応じたり、語学力アップのためのTOEFL勉強会を開いたりして、実践的なサポートをおこなっている。
 また、留学に消極的な学生をカバーするために、外に飛び出してチラシ配りや教室回りをするなど、留学へのきっかけづくりも積極的に展開。なかでも、春から秋にかけて毎月おこなわれる「芝生deランチ」は、外国人留学生と学生双方に呼びかけて、中庭で一緒に昼食を食べながら交流するイベントだが、多いときで40名の参加があるという。
  「大学には約550人もの留学生がいるのに、日本人学生と話す機会があまりないんです。そういう場を私達がアレンジすることで、龍谷と言えば国際交流というイメージを持ってもらい、留学のきっかけにつなげていきたい」と代表の中さんは意気込む。  
 実際に、SABSとの出会いから留学へとこぎつけた学生もいる。「個別相談をきっかけに、BIEプログラムに参加してくれた学生もいます。僕の経験を話すことで、留学に前向きになってくれる姿が嬉しいですね」(中原さん)

 

●夢を見つけた 出会いがあった

 実体験に基づいた相談だからこそ、楽しい部分もつらい部分も語ることができる。竹村さんは、交換留学先のアメリカで「ほかの留学生に比べて全然話せないことがショックで、一歩も外に出たくなかった」というエピソードを積極的に学生に語りかける。
 「つらいことも含めて留学で得られるものがすごく大きかった。その経験を話すことで、迷っている学生の背中を押すきっかけになれば」(竹村さん)
 留学から夢を見つけたことを語るメンバーもいる。森嶋さんは、「様々な人と出会って、人種の壁を感じなくなった。将来は世界と日本をつなげられるような仕事をしたい」と力を込める。「スーパーに行くだけでも発見の連続」と話してくれた玉井さんは、その経験がまさにヒントとなり、「将来は日本食を海外に広める仕事を」と目を輝かせる。
 「留学は出会いの連続。出会いが刺激になり、その刺激がまた新たな興味を生んで、新たな出会いをつくってくれる。人生が変わるぐらいの経験ができるので、一人でも多くの学生に留学してほしい」と中さん。今後は入学式からの勧誘を予定するなど、ますます活動の場を広げていくという。
 SABSに誘われて次に留学切符をつかむのは…今この頁を開いているあなたかもしれない。
 
 

●みんなとつながりたい!

  「瀬田で留学の情報収集をする場が少ない! 留学経験者が経験を活かせる場所がない! そんな不満が、自分達で団体をつくるきっかけになった」(代表の焼山さん)。
 2011年の春、教務課に掛け合い、瀬田学舎3号館にある留学生ラウンジを、活動拠点として獲得することからスタートしたLINK。
 「後輩のために、留学の疑問に答えたい」という熱い思いのもと、留学関係の資料をコツコツと集めたり、学園祭で得た利益で備品などを購入したりして、まさに手づくりで築き上げてきた。14名のメンバーが留学相談やプレゼンテーションをおこない、これまでに相談者から交換留学合格者数名を輩出するなど、瀬田から留学の扉を開く頼もしい存在である。
 LINKの活動はさらに、メンバーそれぞれが留学経験を振り返る場としての役割も担う。私費留学、交換留学、BIEプログラムなど留学の形態も留学先も違えば、動機も「知らない土地に身を置いて、自分がどれだけ成長できるか試したかった」(藤田さん)「自分を変えたくて」(松儀さん)など様々。そんなメンバーと語り合うことで、お互いの刺激になるという。
 「留学経験者とつながって、これから留学する人とつながる。その人が留学から帰ってきてまたLINKとつながる。そういうつながりの循環をつくりたいから、LINKという名前がついた。今、うまくそのサイクルが回ってきたことに手ごたえを感じています」(安藤さん)
 

●出会いが自分を成長させる

 「もともとは面倒くさがりの性格。留学の経験がなければ、自分で団体を立ち上げようなんていう気も起こらなかった」。そう焼山さんが話すと、次々にうなずくメンバー。留学を通して、彼らを変えたのは何だったのだろう。
 ニュージーランドに私費留学した谷川さんは、「人との出会い」を挙げる。「留学先で出会った韓国人の行動力に刺激を受けた。自分も考えるよりもとりあえず行動≠心がけるようになりました」(谷川さん)
 私費留学先のオーストラリアで、20カ国以上もの学生と出会った池上さんは「日本にいると、大学、卒業そして就職と大きな流れに受け身で乗ってしまいがち。でも、外国人はそうじゃない。周りは気にせず、自分の目標に向かっている。そんな姿に感化されて、自分もやりたいことに進んでいこうと思った。やろうと思えば何でもきる!」と力を込める。
 台湾を交換留学先に選んだ川島さんは「台湾は日本が大好き。イメージを壊さないように、自分が日本の代表になったつもりで振る舞いに気を配った」と、海外から日本を強く意識したという体験を語ってくれた。 
 インターネットにつなげればすぐに世界の情報が手に入る世の中でも、人と人との泥臭い付き合いが自分を成長させていくことが、彼らの経験から語られていく。
 「同じ時期に同じ場所に行ったとしても、経験も印象も一人ひとり違う。留学は、そんな自分だけの経験をするために行くもの。自分にはどういうことが起きるんだろうって、ワクワクしながら留学にチャレンジしてほしい」と代表の焼山さん。 
 最後に、留学を迷っている学生へのメッセージを求めると、即座に川島さんがハイと手を挙げて…ズバリ一言、「行かなきゃ何も変わらない!」

龍谷大学のサポートシステムを紹介します

●短期留学
夏期休暇や春期休暇を利用する短期留学制度。龍谷大学の短期留学プログラムを利用する方法と、個人で短期留学する方法の2種類がある。

●私費留学
自分の行きたい国、大学を自由に選べる留学制度。留学先大学の学費や寮費などは自己負担となるが、本学の学費は免除となる。留学期間は1年間または半年。年間100名以上の学生が私費留学に挑戦している。

●BIEプログラム 単なる語学留学とは異なり、英語学習、インターンシップ(ボランティア活動)、講義を組み合わせた本学独自の留学プログラム。アメリカのカリフォルニア州バークレーにあるRUBeC(Ryukoku University Berkeley Center)にて、5週間のプログラムと半年間のプログラムの2種類がある。

●交換留学
本学の学部学生または大学院生を対象に、龍谷大学の学生交換協定校へ龍谷大学の代表として派遣される制度。留学期間は原則1年間。その間の大学の学費が免除となる。協定校は40大学で、地域はアジア、北米、オセアニア、ヨーロッパ、アフリカなど。

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