めざすべき大学像を実現するために

ブランディング検討委員会委員長
副学長 佐藤 研司

第5次長期計画(5長)では、2020年にめざすべき大学の姿を実現するために、さまざまなアクションプランを策定し、順次着手しているところです。しかし、「懸命に進めているプランや道筋は、学内者に明確に見えているのだろうか。まして、本学を外部から見た際の評価や認識は、どのようなものだろうか。」このような疑問を契機に構想したのが、今回のブランディングでした。

外部の方へのヒアリング等から見えてきた本学のイメージは、“仏教系の大学”“歴史がある”“京都の大学”等々、“事実”をそのまま言葉にしたイメージが大半を占め、そこには、龍谷大学に対する豊かなイメージの連想というものが、まるで無かった。

「なぜ、本学ならではの価値や果たすべき役割、学生への思い、といったものが、うまく伝わっていないのか。」

これは5長を推進する上で、クリアすべき非常に大きな課題となりました。
「龍谷大学は、社会から、どのような大学として評価されたいのか。」
「本学は、何をアピールし、発信していくべきなのか。」

これらを明確にし、2020年の大学像を実現するため何をおこない改善すればよいのか、これらのガイドラインを定めるために取り組んできたものが、ブランディング活動であり、本学のめざす姿や有する価値を、様々な人々の間で理解・共有する取り組みとして推進してきました。

ブランディング活動の起点として、学生、教職員、在学生の保護者、卒業生、高校生や他大学生、企業の採用担当者等に、三つのテーマについて意識調査をおこないました。一つ目は、本学はどのようなイメージで捉えられているのか、すなわち、現在の本学の立ち位置の明確化を目的にした設問。二つ目は、学内外それぞれの立場から、本学は何を求められ、期待されているのか。そして三つ目は、本学の強みや社会的に魅力となりうる独自の価値等の整理でした。

これらの結果に基づき、私たちがやるべきことは、本学に足りない部分を埋めることであり、期待されていることが十分でなければ、それを補完する、私たちの思いが伝わっていなければ伝え方の仕組みを整備する、これがブランディングの役割というものです。

調査結果を踏まえ、本学の意志と既得の価値、そして社会からのニーズを踏まえて、慎重に、また丁寧に検証しながら検討を重ね、新ブランドのコンセプトを定めました。一年以上をかけた今回のような徹底した調査・分析は、本学の長い歴史でも初めてのことです。決定事項があやふやなものとならないよう、調査から明らかとなった客観的ものさしをきっちりと固める、それが費やされた時間の長さであったと言えます。

そして、この調査結果を踏まえ、社会の要請や、本学がめざすところと合致する教育力を高める方向性を優先すべきと捉え、本学の学生一人ひとりに、“こんな風に成長してほしい”といったコンセプトを、学生像として定めました。

― 本学の学生は、自らやり遂げようとする強い意志と情熱をもって全力でチャレンジし、誠実かつしなやかに周りのものを受け容れながら、既成の枠にとらわれず、ものごとの本質を見出し、それを基軸として、未来へと確かな一歩を踏み出していく─

そして、新ブランドがめざす、このような学生像を、わかりやすく学内外で共有する表現として、ふさわしい形や色、言葉はどのようなものか、というようにデザインに落とし込んでいきました。なかでも、新しいロゴマークを決める際が、一番の山場でした。まさにこのマークは、私たちがこれからやろうとしていることの象徴であり、変化への意志表示となるものだからです。

決定したロゴマークは、アクティブさや、それを支える情熱の表現として、カラーに赤を選びました。本学の主体である学生が、未来に向けてダイナミックに動いている姿を強く発信していきたい、という理由からです。第2学期以降、これらを様々な広報ツールに用いて、新しいイメージ展開を実施していきます。もちろん、ロゴマークやスローガンに加えて中身も変わることで、さらに活力ある大学を創っていきます。