梅雨の晴れ間の中、04年度の親和会定期総会が6月19日(土)、深草キャンパスで開催された。総会にあわせて午前中にはオープンキャンパス企画として図書館見学コース、インターネット初心者体験コース、特別展示・南方熊楠(みなかた・くまぐす)の森、学生芸術作品展示(書道部・美術部・陶芸部)が開催された。また午後からは、学部別説明会、就職説明会、総会に引き続き、テレビやラジオでおなじみの浜村淳さんによる親和会講演会、保護者相互の親睦を深める親和会懇親会など盛りだくさんの内容で開催された。全国から1086名の保護者がキャンパスを訪れ、親和会総会としては過去最高の参加者数を記録した。
 深草キャンパス2・3号館に分かれて、各学部ごとに受付をすませた保護者は、12時30分からの学部別説明会会場に向かった。ここでは、学部長をはじめ教職員より、各学部の現状や教育理念について、また、参加の保護者に手渡された資料をもとに、カリキュラム・成績表の見方などの詳しい説明が約45分に亘って行われた。
 次に会場を3号館の3つの大教室に移し、学生の就職活動を支援するキャリア開発部の藤谷峻成(ふじたに・しゅんじょう)事務部長より就職説明会が約50分に亘って行われ、長引く不況の中、子どもの就職問題について熱心にメモをとり聴講する保護者が見受けられた。
 14時30分より、04年度の親和会定期総会が開催された。


神子上惠群学長より挨拶。大学の取り組みについての説明。
 

総会議長を務める松永大徳親和会長

 まず、開会にあたり松永大徳(まつなが・だいとく)親和会会長より挨拶がなされ、多数の親和会員の方々に対して来場の謝辞が述べられた。
 続いて龍谷大学を代表して神子上惠群(みこがみ・えぐん)学長が挨拶を行い、瀬田キャンパスでは学生交流会館や全天候型運動場の瀬田ドームが竣工、社会学部にコミュニティーマネジメント学科を開設。大宮キャンパスでは大学院文学研究科に広く一般を対象とした臨床心理相談室(カウンセリングクリニック)を開設。さらに深草キャンパスでは中央広場の大改修計画を検討中であり、学生の憩いの場、活気あふれるキャンパスの創造を目指していることなど、大学の現状報告を中心に説明がなされた。


学部説明会の様子。
 
受付にて成績表等の資料配布。


 総会では、松永会長が議長に選出され、議事が進められた。まず議案「2003年度事業報告及び決算」については、事務局より「03年度事業報告」として、課外活動や教育研究、海外研修などさまざまな学生活動に対する助成事業や、全国27会場における地方別保護者懇談会の開催結果などの報告がなされた。続いて「2003年度決算報告」と、井川得順監事より「会計監査報告」がなされた。審議の結果、拍手で異議なく了承された。
 議案「2004年度新役員の選出」では、会長、副会長、監事の新本部役員については、現在の6名が、継続して推挙され、審議の結果、次のとおり決定・承認された。

【2004年度親和会本部役員】
・松永大徳(まつなが・だいとく)会長
・森 祐昭(もり・ゆうしょう)副会長
・岩田隆昭(いわた・りゅうしょう) 副会長
・仲邑 眞(なかむら・まこと) 副会長
・井川得順(いかわ・とくじゅん) 監事
・松村健一(まつむら・けんいち) 監事

 なお、全国各地の役員(理事) については、ご本人の承諾後、9月上旬に保護者懇談会の開催案内とともに郵送にて報告を行うことで了承された。
 

 次に議案「2004年度事業計画(案)及び予算(案)」について事務局より説明がなされた。この中で特に、新規事業として親和会学生救済型奨学金制度を次のような内容で実施することが承認された。修学したいという意志をもってはいるが、リストラや災害の場合などの家計急変の理由により、金銭的に極めて困難な学生に対して、緊急時に即応した形で学費等の支援を目的とした学生救済型の奨学金を新たに設置する。
 事業計画、予算の各案について、繰越金、大阪ドーム広告費、出張旅費等に関する意見・質問の他、学生への支援として有効に予算が編成されるよう活発な意見が出された。
  その後、2004年度事業計画(案)及び予算(案)について審議の結果、拍手で了承された。
 最後に議案「親和会会則の一部改正」について、事務局との連携強化を図りたいという観点から、第3章第7条の第2項の常任理事5名に「龍谷大学学生部事務部長」「龍谷大学キャリア開発部事務部長」の2名を加えたい旨の提案がなされた。審議の結果、改正が了承された。
 なお、総会にて承認された03年度決算、04年度予算、04年度親和会事業計画は下記のとおり。





保護者対象事業
1.第43回(2004年度)親和会総会開催
  6月19日(土)深草学舎にて開催
2.地方別保護者懇談会(大学との共催)の開催
  10月上旬〜11月中旬、全国27会場にて開催
3.三者(大学・親和会・校友会)共催事業の開催
  大学懇談会(大阪会場)11月5日(金)開催予定 ほか
4.「親和会だより」(広報「龍谷」親和会版)の発行
  年2回発行予定
5.大学募金活動への協力
  教育・研究施設設備の充実のための大学募金活動に協力
学生生活支援事業
1.親和会奨学事業の実施
  @親和会海外研修奨学金制度(夏期・春期の年2回)
   体験研修コース:10万円以内、研究研修コース:30万円以内
  A親和会学生活動奨励金制度
   優秀な業績をおさめた学生団体へ給付
  B親和会学生救済型奨学金制度(新規事業)
   家計急変(リストラ、災害の場合等)に対応した学生救済型奨学金
2.親和会助成事業の実施
  @教育・研究活動助成制度
   学生の自主的な学習・研究活動に対し助成
  A特別助成制度
   全国大会出場、周年記念事業等の臨時的な事業に対し助成
3.入学記念品の贈呈 入学生へ歓迎の意を込めて記念品を贈呈



4.大学事業への助成事業(指定寄付金)
  大学の学生支援事業に対し直接的に助成
  @課外活動等への助成
  A学生健康管理(健康診断)への助成
  B就職支援業務への助成
  C宗教教育活動への助成
  D海外研修事業への助成
5.大阪ドーム広告看板の設置(継続)
  知名度向上の目的で
  大学との共催事業として設置
6.積立金事業
  将来的展望に立ち継続的に学生
  支援できるよう積立金事業を実施
  @奨学金積立金
  A学生施設積立金
  B学生災害特定引当積立金
  Cクラブ活動奨励金積立金











 対象を保護者にしぼった形でのオープンキャンパスを、6月19日の親和会定期総会に先駆けて開催した。親和会としては初めての試みである。午前10時、多くの保護者が会場を訪れ、各コースに参加した。


「深草・大宮・瀬田学舎の3つの図書館には165万冊に及ぶ蔵書があり、毎年、4〜5万冊ずつ増えていきます」と図書館員の説明で始まった同コースは、約40分に及ぶ図書館ツアー。龍谷大学の蔵書の豊富さに驚いた参加者は、ゆったりとした図書館内の諸施設を図書館員の案内で、じっくりと見学した。館内は冷暖房が行き届き、静かに本や資料を読むための環境が整えられている。また情報検索には欠かせないコンピューターも充実。映画が視聴できるAVルームなども見学した。「立派な図書館!!早速子供に積極的な利用を勧めます」という声を、参加者から聞くことが出来た。


図書館における蔵書検索やインターネットに
よる情報検索にコンピューターは欠かせない。
 
図書館内にある56名収容のAVルームも見学


 3つのキャンパスで、学生が自由に使えるパソコンは約1600台設置されている。これらのパソコンの利用を指導するのが、メディア教育課である。今回の「インターネット初心者体験コース」は、このメディア教育課のスタッフと、学生のLA(ラーニング・アシスタント)が担当。深草学舎5号館5階の教室には、2回にわけて保護者が講習を受けた。インターネットは初めてという保護者も多く、学生LAが細かにアドバイスし、45分間の講習を終えた。  
インターネット初心者体験コース。
スタッフが熱心にサポートを行なっていた。

    


展示「南方熊楠の森」

 至心館2階では、龍谷大学人間・科学・宗教オープン・リサーチ・センターによる特別展示「南方熊楠(みなかた・くまぐす)の森」に多くの保護者が訪れた。この展示は国際文化学部の松居竜五助教授などを中心に企画。熊楠の地元・和歌山県田辺市や、筑波国立科学博物館の所蔵品など、初公開となる貴重資料が多数展示され話題となっている。熊楠の紀伊半島での生態調査が体験できるデジタルワークショップなど、工夫を凝らした展示に人気が集まっていた。


 書道部・美術部・陶芸部の3サークルによる学生芸術作品展が2号館1階の3つの教室を会場に開催された。学生たちの力の入った作品が展示され、各展示には100名をこえる保護者が訪れ熱心に作品を鑑賞した。

      

 草書や行書、楷書などの美しい作品を展示した書道部〈蟠龍會(ばんりゅうかい)〉は、創部が1933(昭和8)年という伝統を誇る。若者らしいのびのびとした力作が、会場せましと展示された。  
書道部展示



美術部展示
   美術部〈アーチスト会〉も歴史が古く、今年の9月に「70周年展」を開催する。色あざやかな作品を前に、顔をほころばせる保護者の姿が見受けられた。


 深草・瀬田の両キャンパスで活動し、腕を磨く陶芸部は、さまざまな土地の土を使って、創意工夫を凝らして作陶する“京焼き”を中心にしている。茶器や花器など多数の作品を、訪れた保護者が手にとってじっくり鑑賞した。  
陶芸部展示





 今年度の親和会総会における就職説明会では、キャリア開発部の藤谷峻成事務部長より「就職環境と龍谷大学のキャリア開発支援」と題して、約50分に亘って約1千人の保護者を対象に講演が行われた。
 藤谷部長は学生の就職支援活動に20年に亘り携ってきたベテランスタッフで、現在、252の大手大学が加盟する「全国私立大学就職指導研究会」の副会長も務めている。
 


 近年、若者の職業観希薄化が問題視されている。文部科学省の調査によると、大学生の約20%が、進路先を具体的に決めず卒業している。若者の雇用問題は、年金や国の財政収入とも関連して、大きな社会問題となっている。
 また、ひと昔前は、企業が新入社員を育てるという形が主流であったが、今は企業にその余力が乏しく、「自らが育つための動機付けが出来る力」を若者に求めているのが現状である。


 今春の卒業生就職率は、学部により差があるが、“文系学部”で89〜75%。“理系”で95%である。そのうち、株式上場企業へ約35%、従業員数規模では500人以上の大手企業へ約60%が就職。業種別の内訳は、建築関係3%、製造業関係13%、商社関係14%、流通関係12%、金融関係16%、運輸倉庫通信4%、サービス産業20%、福祉関係9%、公務員関係は約130人となっている。


 大学教育全般を通じて、就職支援を一層充実するという大学の意思が、就職部をキャリア開発部へと改称した。
 キャリア(人生設計)プランから、キャリア(職業)デザインへ、キャリアデザインからキャリア(専門性)アップへと繋がる一貫したキャリア形成支援、これが就職支援の中核を成すものである。


 低年次生から就職ガイダンス、公務員対策講座・資格取得講座等も開催されているが、3年生の9月ぐらいから、具体的ガイダンス・企業のセミナーに参加するなど、就職活動が本格化していく。つまり、3年生の秋には、個々の学生は就職活動の方向性を明らかにしておかなければならない。

就職説明会の様子
 
 
 ある企業人が最近の若者について、@自己責任感Aコミュニケーション能力―この二つが乏しいと指摘した。自己責任は、創造性の根底を支えるものである。
 またコミュニケーション能力は、講義内容をよく把握して、その中でしっかりと自分の意見を発表し、新たな課題にチャレンジしていくという日々の授業(教室)で育まれる能力である。つまり、就職活動を支えるものは、大学生活の在り方そのものということになる。学生時代、何に打ち込んできたのかを、誰の前でも胸を張ってはっきり話せる学生であることが、強く望まれる。
 「自分で考える力」「自分で決められる力」「自分で行動できる力」が社会に出てから「活躍できる力」となる。






 

(まつなが・だいとく)
 

(もり・ゆうしょう)
 

(いわた・りゅうしょう)
 
  昨年に引き続き、会長に就任。
大阪府羽曵野市在住。
  昨年に引き続き、副会長に就任。
大阪府豊中市在住。
  昨年に引き続き、副会長に就任。
兵庫県尼崎市在住。
 
 

(なかむら・まこと)
 

(いかわ・とくじゅん)
 

(まつむら・けんいち)
 
  昨年に引き続き、副会長に就任。
神戸市北区在住。
  昨年に引き続き、監事に就任。
奈良県御所市在住。
  昨年に引き続き、監事に就任。
大阪市東淀川区在住。
 

←目次ページへ戻る