親和会だより

ESSAY “The Importance of Career Design”進路・就職エッセー なぜ今、キャリア開発が重要なのか 前 キャリア開発部事務部長 藤谷 峻成(ふじたに しゅんじょう)
前 キャリア開発部事務部長 藤谷 峻成(ふじたに しゅんじょう) 振り返れば83(昭58)年に就職部(現キャリア開発部)に着任し、延べ20年になります。83年当時、龍谷大学は就職に関しては発展途上にあり、関東ではまだあまり名が知れていませんでした。そこで「京都の龍谷大学です、よろしく」と、東京の企業まわりをしました。先輩のいない企業へ、龍大OBの1号になるのだと果敢にチャレンジしていった学生を懐かしく思い出します。
 昭和の末期は円高不況で大変でしたが、平成に入るとバブル期に入り、「売手市場」と言われたように、企業は「人材も人手も」まとめて大量採用する異常な時代を迎えました。
 ただ、バブルの中で龍大生はいろんな企業に評価・採用されて、進路先の幅がすごく広がりました。当時、売手市場だと就職支援に力を入れなかった大学もありました。就職部(当時)の職員は、誠実に企業と対応することを、全員念頭において行動し、龍大生の素晴らしいところを知っていただきたいと、積極的に企業を訪問しました。
 そして、バブルがはじけました。そこで問われるのは、目に見える能力です。潜在的な力も、もちろん必要ですが、卒業の時点で、どの程度の能力があるかが大切です。表現を変えると、バブル時代は採用してから育てていたのですが、今は、自らが成長することへの動機づけが出来る若者を採用したいということです。
 ですから、出身大学名を伏せて採用活動する企業が増えました。つまり、本人次第。紙の上で計る偏差値の差など、関係ないのです。学生時代の実績をもとに、自分の強味、特性をしっかりと把握して、将来の夢や確たる職業観をもった学生が求められているのです。
 「数より質」を重視した厳選採用が展開されるなか、学生が「二極化」しているとも評されてきました。その様な状況を背景に、龍谷大学では「就職部」を「キャリア開発部」へと名称変更したのです。
 1年生から学生生活を通して、自分の人生を模索し、将来の夢を描き、そのための能力をつけていく学生を育てようとするのです。私はよくこう言います。「自分で考える能力、自分で決める能力、自分で動く能力」−この能力は、日々の授業で養われます。これが、社会に出て活躍する能力となるのです。だから文系では学部不問の求人がなされているのです。
 キャリア開発部では、(1)低年次生から進路を模索するための就職支援、(2)活動そのものを支援する就職活動支援、を基本スタンスとしています。昨春から各学部では、キャリア開発主任の教員が就任し、学部教育の一環として、学生の職業観醸成に取り組んでいます。
 就職活動で付き合った多くの学生(卒業生)と今も交流があります。延べ20年あまりこの職場にいて、本当に仕事冥利につきます。手前味噌ですが、龍大の学生は人間的魅力を多くもっており、すばらしいと思います。卒業後も各職場で母校に誇りを持って、がんばっています。(談)

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