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なぜいま経済学部でフィールドワークなのか? 龍谷大学経済学部現代経済学科 辻田 素子 准教授

龍谷大学経済学部では、観察や聞き取りなどによる現場調査(フィールドワーク)に力を入れている。その理由と魅力について「フィールドワークの技法」「地域産業論」を担当する辻田素子准教授に伺った。

フィールドワークのできる人材が求められている

かつて地域の産業振興策といえば、国が立案するものでした。しかし、地方分権が進む中、これからは、地域がそれぞれ自力で考えて実行しなければなりません。

例えば、東京都三鷹市は、SOHO(小規模の個人事業者)を支援した日本で最初の自治体です。同地域には、大学が多く、高学歴の主婦や大企業のOBが多数在住しています。他地域が同じことをしても成功するとは限りません。ところが、地域の実態を知らない政策担当者は、そうした成功事例をよく吟味せずにそのまま持ち込んでしまいます。

つまり、自分たちのまちの現状を深く知ることが、地域振興の基本なのです。現に京都市や大阪市では、地域の中小企業を一軒ずつ訪問して個別ニーズをきめ細かく探るという取り組みを始めています。アンケート調査で中小企業の傾向を把握する程度だった自治体が、地元企業の社長さんが何を考えているか、どんな技術を持っているのかを知り、企業を個別支援するとともに、地域の産業振興戦略の策定に役立てようとしているわけです。

自分が市長だったらどんな政策を立てるか

これからは、地域の人たちとコミュニケーションしながら、みんなでまちづくりを考える時代。地域の政策立案者にとっても、「現場」を愛することが重要になってくるでしょう。そんな状況に先んずるように、本学ではいち早くフィールドワークを取り入れてきました。

「フィールドワークの技法」という授業は、2・3年生を対象にした入門的な授業です。フィールドワークの基本的方法を学んだ後、京友禅の工房を実際に訪問し、職人さんの手仕事を観察したり、経営者にお話を聞いたりし、簡単なレポートを作成します。一連の流れを体験し、卒業論文や今後の研究に役立ててもらうことが目的です。

もっとじっくり取り組みたい人には、半年から1年間かけて参加する「地域活性化プロジェクト」があります。フィールドは、龍谷大学大宮学舎のある西本願寺の門前町や、深草学舎がある京都市伏見区。地域と大学が連携したプロジェクトを推進中です。

高校生の皆さんも、今あなたが暮らしているまちに目を向けてみてください。どんな産業があり、何が問題となっているのか。自分が市長だったらどんな政策を立てるのか。「でもどうすれば?」とモヤモヤした気持ちになったら、それが学びへの第一歩。たくさんの書物を読み、統計データを分析することも重要です。複眼的に問題を捉え、解決策を考える力を身につけてほしいと思います。

辻田 素子 准教授 profile
専門分野は中小企業、地域経済。研究分野は社会科学、経済学、経済政策。
→龍谷大学経済学部
→経済学部の入試情報

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大企業でからみあう意思決定の仕組みを読み解く 龍谷大学経営学部経営学科 坂本 雅則 准教授

2008年4月にカリキュラムが改革され、より実践的な学びの場となった龍谷大学経営学部。その魅力の一端について、「企業統治論」を担当する坂本雅則准教授に伺った。

誰も責任をとる仕組みがない「株式会社」

多くの人から多額の事業資金を調達する株式会社。それは誰のものでしょうか。もし経営が破綻したら、誰がどの程度の責任を負うのでしょうか。実は、株式会社という会社組織ではそうした人を特定することが難しいのです。

小規模な企業であれば、企業主が企業の所有者にして支配者であり、権力者でもあるために、責任の所在は分かりやすい。しかし、大規模株式会社は組織が階層化し、意思決定のプロセスも複雑です。ある経営戦略の意思決定をした中心人物は誰か。その決定に影響を及ぼした人物は誰か。その結果、最も多くの収益を得たのは誰か。このように複雑にからみあった組織を分析し、経営者が不適切な経営をしないようにコントロールするにはどうすればいいか、どの主体にどの程度の責任を負わせるべきかなどを考えるのが、「企業統治論」という学問です。

私は特に「権力者」に着目しています。ひとくちに権力といっても、意思決定を命令する権力や、その決定に制約をかける権力、そして決定した経営戦略を通じて収益を得る権力などさまざま。これらの権力がどのように行使され、誰の権力の比重が一番高かったか。これを厳密に分析するには膨大な情報が必要です。

大規模な株式会社の動向は社会に与える影響が大きく、経営政策に介入した程度に応じてそれ相応の責任をとれるようにしておかないと、誰が責任を取ることもなく、私たちの税金が注入されてしまう。私たちの生活を守るためにも、どんな複雑な状況でも権力が制御できる仕組みづくりが求められていると思います。

もっと複雑な世の中に立ち向かう力を

企業統治論を学んだからといって、その知識が社会で直接的に役に立つわけではありません。大学でどんなに複雑な専門知識を身につけても、卒業後の世の中にそのまま適用できません。あらかじめ設定された答えがないからです。したがって、そこで役立つのは単なる知識ではなく、状況を分析して解決に至る道を構想する力、その構想を実行する力、そして問題意識を組織内で共有できるコミュニケーション力だと思います。

本学にはインターンシップや社長による講義もあり、企業の現場やトップがどんな構想を持って経営に取り組んでいるかに触れることができます。また、少人数ゼミに力を入れていますので、ディスカッションを通してこうした力を磨くことができます。私も学生と一緒に、社会で必要とされるこれらの力を伸ばしているところです。皆さんも私たちと一緒に刺激的な学びの世界を探究し、生きる力を養ってみませんか。

坂本 雅則 准教授 profile
専門分野は企業支配論、企業統治論。研究分野は企業における権力者は誰か。
→龍谷大学経営学部
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