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エクスターンシップと模擬裁判で「市民のための法律家」をめざす 龍谷大学法科大学院 福島 至 教授

「市民のための法律家」の養成をめざす龍谷大学の法科大学院は、全国の法科大学院では唯一、「エクスターンシップ」を必修としている。その実践的な学びについて、「刑事実務総合演習」等を担当する福島至教授にうかがった。

全員が在学中にエクスターンシップを体験

本学がめざす「市民のための法律家」とは、市民の目線・市民の立場で働く法律家のこと。社会的弱者の苦しみが分かり、援助に骨身を惜しまないことです。そこで、在学中に法律事務所等で働く「エクスターンシップ(法務研修)」を必修とし、学生全員が体験しています。

受け入れ先は近畿の法律事務所を中心に、全国60ヵ所以上。持ち込まれる問題は、サラ金返済や生活保護の申請など、実に多彩です。特に沖縄は米軍訴訟問題を扱う事務所があり、そういった問題に関心のある学生が希望します。また、地方では弁護士が不足していることが多く、都会でも身近に弁護士がいなかったり、費用がなかったりして相談できずにいる人も多くいる。こうした「過疎地弁護」の人材を育てたいという思いもあり、遠方にも受け入れ先を求めています。

模擬裁判で実務の手続や チームワークの大切さを知る

エクスターンシップで「ナマの法律ニーズ」に触れた後は、「刑事実務総合演習」で模擬裁判を体験します。クラスごとに裁判官・検察官・弁護人の3チームに分かれて、実際の裁判と同じ300ページにも及ぶ資料を、それぞれの立場で読み込んでいく。検察官は「有罪」、弁護人は「無罪」とする立場から読み解くわけです。そして、最終的な判断を裁判官チームは「判決書」、検察官チームは「論告求刑」、弁護人チームは「最終弁論」として起案していきます。

ここでは、何よりもチームワークがものをいいます。各メンバーが分担して作成した起案をまとめあげていくのですが、一人が暴走すると論理が破綻したり、質疑応答で答えられなかったりする。チーム内でディスカッションを繰り返し、起案を練り上げなければなりません。実際の裁判でも、大きな事件は弁護団が組織されますよね。そうした場合の人間関係の作り方も、ここで学ぶわけです。

近年は裁判員制度が導入されるなど、法廷が市民に公開される機会が増えてくる。市民に分かりやすい言葉で話したり、時には検察官や弁護人が法廷を動き回るようなパフォーマンスを取り入れたりすることも必要です。法廷には独特の雰囲気があり、最初は緊張しますが、これは場数を踏むしかありません。本学には模擬法廷がありますので、ここでぜひ場慣れしてほしいと思います。

日本の法曹界では顧みられることのなかった「死因」に焦点をあて、21世紀のあるべき制度を模索した『法医鑑定と検死制度』(龍谷大学社会科学研究所叢書・2007)

「死」の法的制度を整備し、不慮の事故を防いでいきたい

私自身の研究については、近年は「法医鑑定」と「検死制度」について研究しています。きっかけは、イギリスのブリストル大学に客員教授として就任した際、刑務所内での自殺者が多く、そのケアが十分であったか、公開法廷の裁判で審議されていたこと。実は日本では「死」を検証する法的制度が立ち後れており、いわゆる事故や事件以外の死は、専門家が関わることもなく、記録も残りません。だから、後で「あれは事故だったのではないか?」と気づいても、調べる術もない。様々な死の情報を公開し、事件や事故等の再発防止のためにも、「死因を究明する独立機関」が必要でしょう。これも、「市民のための法律」の一つであると考えています。

龍谷大学法科大学院 福島 至 教授 profile
専門分野は刑事法。研究分野は社会科学、法学、刑事法学。最近は検死制度に関する研究を行っている。主な著書は『略式手続の研究』。編著書は『刑事確定訴訟記録法コンメンタール』、『法医鑑定と検死制度』等。
→龍谷大学 法科大学院

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「中国」という多面体を複眼で見つめて世界を知る 龍谷大学法学部 政治学科 西倉 一喜教授

龍谷大学法学部の特長は、法学科と政治学科の2学科制であること。「法」と「政治」という、現実社会を動かす両輪を関連づけて学べる魅力について、政治学科で「中国政治論」等を担当する西倉一喜教授にうかがった。

中国からの留学生も「知らなかった」と驚く

私は高校時代にアメリカに留学し、「この大国に伍するには日本と中国が手を結ぶべきだ」と考え、大学で中国語を学びました。その後は中国に留学し、記者として中国やアジアの各地も取材して、様々な姿も見てきました。

そんな体験を生かし、「中国政治論」という授業では、政治理論を教えるだけではなく、「ナマの中国」を伝えるようにしています。龍谷大学は中国からの留学生も多いので、中国人留学生も多く出席していますが、彼らも「知らなかった」と驚くほどです。もっとも、中国の国土は広大ですから、中国人でも母国の全てを知るのは難しい。一筋縄ではいかない国、それが中国なんですね。

互いの長所を認め合いwin-winの関係を築こう

「チャイナ・ドリーム」ともいうべき躍進を遂げつつある中国は、今後も民主化を推し進め、大国として国際社会で重要な存在になるでしょう。そんな中国と、日本はどう付き合っていくべきか。

重要なのは、一面にとらわれず、複眼の視点を持つこと。授業でも学生に「ネガティブな中国」と「ポジティブな中国」を考えてもらったことがあります。面白かったのは、食の安全性が信頼できないとか、反日感情が激しいとか、ネガティブな面を出した後にポジティブな面を考えてみると、学生の見方が激変したこと。例えば、本学の中国人留学生は、日本人学生が黙っている時も、どんどん質問するし、発言する。コンパで酔いつぶれた日本人学生を介抱する親切さもある。この積極性をもってすれば、近い将来は仕事を競い合う時代が来るかもしれない。

もちろん、中国の政治についての切り口も多彩です。新興国としての中国の今後は。他の社会主義国と比較してどうか。グローバル化の中で、中国はアメリカに代わる大国になり得るか。こうした複眼的な視点を通して、私たちはお互いの長所を認め合い、互いに切磋琢磨する相手として、win-winの関係を築いていかなければなりません。

世の中は何でも複眼で見つめると面白い

大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した『中国グラスルーツ』(めこん・1983)は、共同通信社での記者時代、自らの足で発見した中国を描いたもの。

実は、この「複眼で考える」という姿勢は、将来どんな分野に進んでも必ず役立つ能力です。そもそも「政治」とは、社会の様々な問題に対応し、複数の関係者の利害を調整すること。政治学科での学びは、リサーチし、プレゼンし、価値判断すること。これは世の中のあらゆる物事に必要な能力ですから。

特に、龍谷大学の政治学科は法学部に設置されている。「法」と「政治」は社会の中で互いに補完し合って機能しています。必要に応じて法学と政治学を学ぶことで、オールラウンドな総合力を身につけることができます。

物事は、何でも複眼で考える方が面白い。中国に興味があるなら、まず中国人の友だちを作りましょう。龍谷大学には中国からの留学生がたくさんいますから、「日本と中国」という二つの視点を手に入れるには絶好の環境です。

龍谷大学法学部 政治学科 西倉 一喜教授 profile
専門分野は中国政治、東アジア政治、安全保障、ジャーナリズム。研究テーマは東アジアの政治民主化と安全保障、ジャーナリズム論。主な著書は『中国グラスルーツ』(めこん・1983・大宅ノンフィクション賞)、『アジア未来』(共同通信・2000)。
→龍谷大学 法学部
→法学部の入試情報

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