10月8日、深草町家キャンパスにてお月見イベント「御月見de交龍」が行われました。松浦ゼミの皆さんの活動の様子は龍窓で特集していますので、是非そちらもあわせてご覧下さい。
翌10月9日、このイベントで昔の月桂冠の広告映像を上映した、政策学部松浦ゼミのみなさんにお話を伺いました。
――みなさんがされている町家シネマとはどういった活動なんですか?
外山: 町家シネマでは、月に一回深草町家キャンパスで映像を流してその映像を見ながら地域の方々といろいろなお話をしています。昔のお茶の間をイメージしていて、活動の際には主にお年寄りの方々にお越しいただいています。
――それはもともとどういった目的で始まったんですか?
平田: まず、僕たちが課題に設定したのは、引きこもっているお年寄りの孤独死などの問題だったんです。そういった問題を少しでも減らすためには積極的に外に出ていただくことが重要だと考えました。そして、僕達もひとりで映像を観ることに慣れてしまっていますが、本当は「チャンネル争い」をするような団欒のなかで映像を観てみたいと思ったんです。そこで、僕たちのゼミは、コミュニティメディアを研究するゼミなので、メディアと地域のコミュニティを関連付けて町家シネマを行うことになりました。伏見区には映画館もありませんし。
――今日は6名の方に来ていただいたんですが、普段は何人で活動しているんですか?
西田: 4年生が12人、3年生が7人、2年生が3人で計22人でやっています。町家シネマの活動は主に今の3年生でやっていて、2年生が入ってきたので引き継いでいるところです。3年生と2年生は女性が一人ずつしかいないんですけど、活躍していますね。
木村: 2年生は3人しかいなくて正直人手が足りない部分が多くて大変です。先輩たちに助けてもらいながらやっています。
――具体的な今までの町家シネマの内容を教えてください。
西田: NPO法人記録と表現とメディアのための組織remoの松本篤さんがいろんな地域の8ミリフィルムのアーカイブづくりを実践されていて、アドバイスなどをいただいています。第一回目は松本さんに当時の映像の解説などをしていただきました。
中島: そのときの反響がすごく大きくて、後に繋がったんです。
西田: はい。それで二回目は「私の好きな深草」と題した「1分映像」でした。ゼミ生がそれぞれ1分間の動いている映像を録ってきて、それを流しました。例えば僕は伏見稲荷の千本鳥居でしたね。
中島: 深草周辺の映像を録るということで、地域に昔から住んでいる方とお話して、昔はあったけれど今はないものなどを教えていただきました。琵琶湖疏水は昔は泳げたとか、素敵な町家がもっとたくさんあったとか。
平田: 三回目は、立命館大学産業社会学部のドキュメンタリーをつくるゼミから2人をお招きして、ホームレスを支援する「京都寄り添いネット」の炊き出しを紹介した『よりそうおいしさ~鴨川トークでつながるいのち』や在日コリアンの高齢者介護施設「エルファ」のあたたかい雰囲気を伝える『小さな世界~ハルモニたちの笑い声』など、大学生が撮ったドキュメンタリー映像を流しました。
西田: 4回目は、一回目にお知らせした昭和の8ミリフィルムの映像を地域の方々のご協力でやっと探しだすことができ、深草や伏見稲荷周辺の映像でもやりたいと考えていたのをやっと実現させることができましたね。
木村: 五回目は京都大学からお借りしてきた関東大震災のときのフィルムを見たり、神戸FMわぃわぃというラジオ局の方に阪神淡路大震災のときのお話をしていただきました。また、避難時の食生活ってどうなるんだろうと、京都市の非常時用に納めておられるアルファ食品株式会社さんにお願いしてアルファ化米という最新の非常食を紹介いただいて、参加のみなさまと一緒に試食させていただきました。美味しかったです(笑)
中島: それで昨日のお月見イベント「お月見de交龍」が六回目で、町家キャンパスで活動している他の団体の方々とのコラボ企画、月桂冠さんからお借りした昭和6年制作の広告映画で酒造りの工程を見て、ちょっぴり差し入れもいただき、伏見の酒文化に触れました。アルコール分ゼロや、糖質ゼロのお酒も開発されているそうで、驚きました。でもお年寄りのみなさんは「全部入ってるほうがいいわねえ」とおっしゃっていましたけど(笑)。会場から「この昭和6年に伏見市が京都市に編入されたのよ」と指摘をいただいて、もっと詳しく知りたいと思いました。
“深草の人にとっての<必要不可欠な居場所>に”
――なるほど!今後の活動について皆さんいろいろな思いをお持ちだと思うのですが....
山崎: 正直まだ、僕たちがお越しいただきたいと思っている、本当に引きこもってしまっているお年寄りの方には来ていただけていないと思うんです。だから、僕たちの活動の僕たちはそうした方々にもぜひおいでいただきたいと思っています。そこで何かお互い得るものがあればいいなと思っています。
外山: そうですね。以前、僕たちの活動のモデルとなっている(上記の)remoの松本篤さんの活動の映像を拝見したんですけど、その巧みなファシリテートにはまだ到達できていないなと改めて思いましたね。僕たちが普段やっているときはこちらからお年寄りに話しかけている感じなんですけど、松本さんの活動風景ではお客さんのほうから話している感じで、そういった点でも目標にしていますね。
――活動を通してみなさんはどんなことを得られたと思いますか?
西田: 普段30~80年くらい前の昭和の京都の話を聞く機会なんてめったにないじゃないですか。やっぱり年代が違う人たちと話せるので、深草の昔のことを教えていただいたり、僕たちもいろいろな知識を得られて面白いですね。8ミリの試写のために僕達をご自宅に招いてく ださるのも、とてもうれしいです。あとはお客さんに楽しんでいただくための、「おもてなし」についても学べたと感じます。
外山: 常連のお客さんとも深く交流させていただいたりと、そういった新たなコミュニティもできたのが嬉しいですね。
――ありがとうございます。では最後に、ゼミ長の外山さんから一言お願いします!
外山: 大学の近くで高齢の方の孤独死など決して起きないように、今後さらにたくさんの人にこの活動を広めていきたいです。そして、町家シネマという活動が深草の人たちにとって<必要不可欠な居場所><地域のお茶の間>になればいいなと思っています。なにより、ふしみふかくさの地域の家庭に眠っている古い8ミリフィルムをもっともっと探し出したいです。ご協力をお願いします!
「古い映像と地域のお年寄りの思い出の会話のなかから、伏見の歴史やつながりの有り様を観察し、地域社会の未来のデザインを見つけていきたい。教えていただいたことを若い世代がもっと活かせるように、地域の団欒を続けていきたい」と話す、メンバーのみなさん。
今後も月に1度の町家シネマを企画しているそうです。今後のみなさんの活躍と、町家シネマを通して世代を超えたコミュニケーションの広がりに期待が集まります!
参考 NPO法人記録と表現とメディアのための組織remo
http://www.remo.or.jp/ja/
ふしみふかくさコミュニティアーカイブ…平成26年度 学まちコラボ助成事業
ふかくさ町家シネマ・プロジェクト…平成26年度 伏見区区民事業
政策学部(松浦ゼミ)
ふしみふかくさコミュニティアーカイブのみなさん
ふかくさ町家シネマ・プロジェクトチームのみなさん
外山柊人(ゼミ長・ふかくさ町家シネマプロジェクトチームの中心・3年生)
山崎竜暉(副ゼミ長・3年生)
西田尚貴(会計兼広報・3年生)
平田洋太(ふしみふかくさコミュニティアーカイブ【8mm収集事業】の中心・3年生)
中島美月(元幹部で現在サポート役・4年生)
木村夏奈(現在司会進行などを行う・2年生)