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Faculty of Psychology
心理学部

野呂 靖

野呂 靖
教員氏名
野呂 靖 准教授
専門分野
仏教学・日本仏教・華厳思想

研究内容を教えてください。

日本の仏教思想について研究しています。なかでも東大寺などの寺院で行われた僧侶たちのディベートやディスカッションの記録に注目し、人々が双方向的なコミュニケーションのなかでどのように思想を編み上げていったかを分析しています。

心理学との接点としては僧侶や貴族たちが残した夢の記録(夢記)にも注目しています。現代の私たちにとって夢は事実とは異なった取るに足りないものというイメージです。しかし歴史をふりかえれば、人々は夢の内容から多くの情報を読み取り、日常生活や宗教実践に活用していました。人々が起きている時、寝ている時を問わず何を想い、何を考えて生きていたのか。古代・中世の人々の「心」とその認識についての解明が私の研究の最大の関心です。

また近年では、現代における宗教者の社会活動についても関心を持ち、自死(自殺)対策への取り組みを研究するとともに、実際に仲間とともに電話・メール相談の団体(認定NPO法人京都自死・自殺相談センター)を設立し、活動を続けています。

専門分野のおもしろさは何ですか。

仏教というと静的でおだやかなイメージがありますが、実際には多様な考え方がぶつかりあい、ときには激しく批判しあうなど活発な議論のなかで形成されてきました。とくに私が研究している中世の僧侶たちは、全国にさまざまなネットワークを構築し、中国や朝鮮半島など東アジア各地の僧侶とも交流して新たな思想や文化を積極的にとりいれていきました。日本仏教の思想はそうした多様でダイナミックなネットワークのなかで練り上げられていったものなのです。従来知られていなかった資料の発見や思想の分析を通して、そうした僧侶たちの「知」の足跡をたどっていくことが仏教研究の最大のおもしろさです。

なぜその分野を専門として選ばれましたか。

日本の仏教のなかでも華厳思想という思想を専門にしています。華厳思想に出会ったのは大学院時代に明恵という鎌倉時代の僧侶について調べたことがきっかけです。明恵は夢の記録(夢記)を残したり、「島」に手紙を書いたりととてもユニークな人物でした。明恵に対する関心から、彼が生涯をかけて学んだ華厳思想とはどのようなものかに関心をもったことが現在の研究テーマにつながっています。明恵のユニークさをたんに明恵個人の独自性として理解するのではなく、ひろく同時代の、東アジアの仏教思想の流れのなかに位置づけていくことを目指しています。

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