龍谷 2006 No.61


文学部
『仏教学特別講座を』
2006年度から開講
講演するシュミットハウゼン博士(右)と今回のコーディネーターと通訳を務めた桂紹隆仏教学科教授(インド哲学)
講演するシュミットハウゼン博士(右)と今回のコーディネーターと通訳を務めた桂紹隆仏教学科教授(インド哲学)
 2006年度から、仏教学の教育・研究活動の活性化を図ることを目的とした龍谷大学仏教学特別講座の開設を決め、その開設記念として昨年12月8日、龍谷大学仏教学特別講座開設記念講演会「唯識仏教」を大宮学舎本館講堂で開催した。
 仏教学科の主催で行なわれたこの講演会では、ドイツの仏教学者で元ハンブルグ大学教授のランベルト・シュミットハウゼン博士が「初期瑜伽行派における修行道の諸相」をテーマに講演。世界の仏教研究の第一人者である氏の、インド仏教における唯識思想の起源の追究に約250名が聞き入った。
 仏教学特別講座は、本学卒業生の三谷晃宣氏の寄付に基づき開設。仏教学科では今後10年間、本学仏教学の伝統である倶舍・唯識・華厳・天台・西域の5分野に現代的な視座を融合させた仏教学特別講座を開講し、各分野の講義の一部を『龍谷大学仏教学特別講座叢書』として刊行することを計画している。
 開講初年度は、「唯識―こころの仏教―」を総合テーマに、仏教学科の芳村博実教授(インド・チベット仏教学)、楠淳證教授(日本仏教学)、長谷川岳史助教授(中国仏教学)が中心となり、日本における唯識研究の伝統を有する法相宗管長である興福寺の夛川俊映貫主や、カウンセリング、心理学など「こころ」をキーワードとする分野の研究者を招待し、連続講義を行なう予定。


経済学部
経済学の面白さを伝えたい
高校生のための経済学講座と
クイズ大会を開催
岡地勝二教授の講義を真剣に聞き入る高校生たち
岡地勝二教授の講義を真剣に聞き入る高校生たち
 高校生に、広く経済学の面白さ、楽しさを伝えようと行なっている 「2005 Youth RYUKOKU Economics!―高校生のための経済学講座とクイズ大会」を、昨年12月17日深草学舎で開いた。3回目を迎える今回は、近畿圏の17校から1、2年生を中心に112名の高校生が参加し、講義とクイズで経済学を身近に感じたようだ。
 ミニ講義1では、ロザーティ・サイモン助教授が「イギリスの高校生と日本の高校生」をテーマに毎日の高校生活や卒業後の進路選択について紹介。ミニ講義2は、岡地勝二教授が「経済学部では何を学ぶのか?」と題し、大学へ入る目的や経済学部とは何を学ぶところか、経済学部で勉強すると将来どのような道へ進むことができるのかなどについて分かりやすく説明し、高校生は大学生活へのイメージを膨らませていた。
 一方、クイズ大会は、経済学の基本的知識をはじめとするさまざまな問題が出され、会場は大いに盛り上がった、団体賞は奈良県立登美ヶ丘高校に、個人賞は大阪府立摂津高校の堺祐輔君が選ばれ、それぞれにトロフィーや賞品が授与された。
 これに続いて設けられた質問コーナーでは、大学生活に関することや経済学と経営学の違いなど、高校生たちが日頃から抱いている素朴な疑問に対し、本学部教員がパネル・ディスカッション形式で丁寧に答えた。
 講座を体験した高校生たちは「経済学部がどんなところか分からずに参加したが、講義やクイズで楽しく学ぶことができた」「経済学が身近に感じられた。来年も参加したい」「龍谷大学経済学部にぜひ入学したいと思った」と語り、充実した一日を送ったようだ。


経営学部
公認会計士試験第2次試験に
在学生3名が合格!
 昨年11月7日、公認会計士・監査審査会が公認会計士試験第2次試験の合格者を発表し、加藤正浩教授(会計学)ゼミに所属する4年生・清水池誠さん(広島県立広島商業高校出身)、松本英江さん(京都文教高校出身)、山崎靖彦さん(京都すばる高校出身)の3名が合格した。
 同試験の2005年度の受験者数は1万5322名で、合格率は8.5%と狭き門。そのうち大学など在学中の現役学生の合格者は全国で253名とかなり少ない。
 本学卒業生の税理士や公認会計士でつくる龍谷大学校友会職域支部・職業会計人グループが、昨年12月3日に開いた祝賀会で、「勉強は苦しかったが、皆さんの応援があったので頑張れました。経営学部の同窓会からも奨学助成金をいただいていたことを感謝しています。将来は国際的な公認会計士として活躍したい」と合格の喜びを語った。すでに大手監査法人で監査調書の書き方、実査、立会、確認などについて研修を行なっており、松本さんは「いろいろ覚えることが多くて大変ですが、研修は楽しい」と近況を話す。
 今後3人は、公認会計士法の改正に伴う試験制度の変更により、論文式試験「監査論」及び「租税法」の2科目に合格し、2年以上の業務補助等、実務補修の修了を経て「公認会計士」の資格を得ることとなる。
 加藤教授は「自分の力を信じたから合格できたのだろう。龍大生は公認会計士試験に合格できる潜在的な能力を多くの人が持っている。在学生にも積極的に挑んでいってもらいたい」と今後への期待を語った。


法学部
司法試験第二次試験(現行司法試験)に2名が合格!
法職課程はさらに充実を図る
 昨年11月19日、法務省は司法試験第2次試験の結果を発表し、木下(旧姓松村)康代さん(99年卒)と林智子さん(00年卒)の2名が見事合格を果たした。これで、本学では3年連続で2名の合格者を出したこととなる。また、例年5月に実施される司法試験第2次試験短答式試験では、現役生を含む24名が合格し、今後さらなる躍進が期待される。
 特別研修講座の法職課程では、本学出身の弁護士らの協力や専門学校との提携を行ない講座の充実を図ってきた。法科大学院入試に必要な適性試験対策をはじめ、小論文試験などの対策講座を設けるほか、法律科目も1年生から段階的・体系的に法律知識を習得できるよう各自の進路やニーズに合わせたさまざまな講座を展開している。
 これらの講座は、在学生だけでなく本学卒業生も受講可能。経済的負担を減らすため受講料も専門学校より安価に抑え、自習室の利用やDVDによる復習・自習もできる。クラス担任の教員によるきめ細かいフォローアップもあるので、ぜひ有効に活用してもらいたい。

【法職課程】
TEL:075-645-7896
http://www.ryukoku.ac.jp/housyoku/

竹下義樹客員教授が講演
竹下義樹弁護士
弁護士の果たす役割とは何かを学生に語りかける竹下義樹弁護士
 本学卒業生で、全国初の盲人弁護士として知られる竹下義樹法学部客員教授が昨年12月16日、「弁護士の役割と使命―人権課題とどう取り組むか―」と題して講演を行なった。
 ハンディキャップを背負いながらも第一線の現場で活躍する竹下弁護士の話は、法曹を目指す学生にとって大きな刺激となった。


理工学部
全米で大学ランキング上位の名門校
カリフォルニア大学デイビス校との
大学院生交換プログラム
UCDで研究発表をする小寺さん(左から3人目)
UCDで研究発表をする小寺さん(左から3人目)
 理工学研究科では2004年度から、カリフォルニア大学デイビス校(UCD)の工学研究科との大学院交換プログラムをスタートさせ、修士・博士課程の大学院生が留学して研鑽を積んでいる。すでに物質化学専攻の学生を中心に4名の大学院生が留学を経験し、現在2名が学術研究に従事している。  UCDは、カリフォルニア大学が開設する10校のうちの1校で、きわめて優れた研究・教育機関として知られる全米でも屈指の大学である。  理工学研究科とは1996年度に教育・研究に関する協力協定を締結。その後、教育に関する大学間協力を強化するため、2003年に大学院生の交換プログラムが計画された。  UVDから昨年の夏に帰国した博士課程3年生の小寺康博さんは、セラミックス関係のアジア―オセアニア国際学会の研究発表で35歳以下の研究者に送られるグランプリ賞を受賞するなど、交換留学制度の成果も着実に上がってきている。


社会学部
ゼミ交流会を開催し
コミュニケーションを実践
寒さを忘れるほど白熱したゲームが繰り広げられたドッジビーのゼミ対抗戦
寒さを忘れるほど白熱したゲームが繰り広げられたドッジビーのゼミ対抗戦
 コミュニティマネジメント学科の2年生が、昨年12月17日、フィールド実習の一環としてゼミ交流会を実施した。1年生と2年生の各ゼミから選出された学生が実行委員会を組織し、今回の企画運営にあたった。
 「地域社会を再生・活性化できる人材を育成すること」を目的に開設したコミュニティマネジメント学科は、設立2年目を迎えるまだ新しい学科。これから教員と学生が自分たちで伝統をつくり上げていく段階だ。そこで、今後さまざまな情報を蓄積し、その情報を広く伝えるためには、学生と教員といった学科構成員のコミュニケーションが大切だとの思いで、スポーツ大会と懇親会を開いた。
 スポーツ大会は、軟らかい素材のフライングディスク(フリスビー)を使ったドッジボール形式のニュースポーツ「ドッジビー」を行なった。1チーム10名以上のゼミ対抗形式で、リーグ戦とトーナメント方式で争われた。また、教員チームと学生チームとの対抗戦も催され、教室内では見ることがないすばやい教員の身のこなしに多くの歓声が上がった。その後の懇親会では、羊の丸焼きが振る舞われ、スポーツ大会の表彰やビンゴゲームが行なわれるなど、終始和やかムードで教員と学生が交流を深めていた。
 実行委員会のアドバイザーとして指導した久保和之講師(体育学)は「何もないところから、学生が中心になって準備や運営したことは素晴らしいこと。講義では経験できないことを実習を通じて学修していくことは、コミュニティマネジメント学科の方針であり、今後も継続していきたい」と話した。


国際文化学部
2005世界観光学生サミットに
PEC学生が参加
桃川真理子さん
PECでの語学力と学修成果をもとに自信を持ってプレゼンテーションをする桃川真理子さん(右)
 「2005世界観光学生サミット」が昨年11月11日から13日にかけて、立命館アジア太平洋大学(大分県別府市)で開催され、国際文化学部プロフェッショナル英語コース(Pro-fessional English Course・略称PEC)に所属する3年生、西村真由美さん(大阪・相愛高校出身)と桃川真理子さん(兵庫県立神戸高校出身)が参加した。
 このサミットには、海外から46校にのぼる大学・学校の学生らと、国内33校の大学・学校から学生たちが参加し、観光の活性化について議論しあった。
 西村さんは「Sustainable Tourism」がテーマの分科会に、桃川さんは「Transnational Risk Management」がテーマの分科会にそれぞれ参加。2人は世界各国から集まった学生たちと3日間にわたり英語でディスカッションを行ない、桃川さんはグループの代表として、プレゼンテーションに参加した。
 サミットを終えた2人は「各国から集まった学生同士の熱いディスカッションは、お互いの友好を深めるだけではなく、お互いの国のことを知り合えてとてもいい経験になった」と満足そうに語った。
 英語による授業で、コミュニケーション能力の向上と外国文化に関する知識の修得を目指すPECを開設してから今年で4年目を迎え、この3月に初めての卒業生を送り出す。国際文化学部は今後もPEC生の活躍と発展に期待をつのらせている。


短期大学部
世代を超えた地域福祉活動を実践
ワークショップ
「よりよい街づくり」を実施
砂川住民と砂川小学生や短期大学生たち
ゲームを通して世代を超えた交流を楽しむ砂川住民と砂川小学生や短期大学生たち
 地域福祉に取り組む住民グループを支援するため、京都市が今年度から始めた「京・地域福祉パイロット事業」に、大学近隣の砂川学区社会福祉協議会(砂川社協)が採択され、「人の結びと暮らしの匂いを再生する砂川アクション―多世代の思いを織りなす生活地図作り―」をテーマに活動を始めた。
 地域行事への学生の参加、地域の方々から地元の歴史を学ぶ講義、高齢者に対する訪問インタビューなどを通して、砂川社協と連携しながら、地域福祉活動に深くかかわってきた短期大学部では、この事業の一環として昨年9月22日、本学深草学舎で「よりよい街づくり」と題したワークショップと交流会を開いた。
 この日、短期大学部の学生と地域住民や砂川小学校3年生が集まり、普段の生活の場であるこの街に対して、高齢者の立場や小学生の視点から街づくりについて意見交換が行なわれた。また、短期大学部生からは、自分が住む街との比較から異なる視点での意見が出るなど、多世代が意見交換することで活気ある街づくりの大切さを実感した交流会となった。
 短期大学部の学生は今後、高齢者インタビューなどを通じて得られた声を含めたイラストマップ付きの報告書を作成し、地域住民に配布していく予定にしている。

学部News 新学部長
西垣泰幸(にしがき・やすゆき)
経済学部
西垣泰幸 教授
(にしがき・やすゆき)
(任期:2006.4.1〜2008.3.31)
21世紀の経済・社会をになう人材を

 1994年着任以来、学部教務主任や評議員などの役職に加え、大学企画員として第4次長期計画の策定に携わった。2004年より経済学部長を務め、4月より2期目を迎える。
 専門分野は公共経済学。現代経済における政府の役割や政策について、経済学の観点から考究している。環境政策、地方分権、社会資本、公的年金、租税と財政赤字など公共政策の経済分析に加え、最近では、複雑性の動学理論を用いた経済成長や景気変動の研究も始めた。
 「経済学部は2006年度から現代経済学科、国際経済学科の新2学科体制になる。経済学の体系を軸に、21世紀における新たな経済・社会やビジネスへの政策提言ができる人材の育成と、国際化された経済社会の中で活躍できる人材の育成を目指したい。大学での講義に加え、留学、インターンシップ、国内外のフィールドワークなど、日本や世界経済の「生きた素材」をもとにした現場体験型・参画型の学習を通して、『将来につながる経済学』を展開したい」と意気込みを語る。





嵩満也(だけ・みつや)
国際文化学部
嵩満也 教授
(だけ・みつや)
(任期:2006.4.1〜2008.3.31)
グローカルに発信・実践していく人材を育てたい

 専門分野は宗教学。特に親鸞思想の現代的な解明を中心の研究課題としている。学内では、学生生活主任、学内評議員などの役職を歴任し、学会活動では真宗学会理事、国際真宗学会事務局長、宗教倫理学会評議員などを務める。
 国際文化学部は、昨年開設10周年という節目を迎え、さらに新たな展開と発展を目指している。
 「学部をとりまく環境は必ずしも容易なものではない。この10年間の取り組みを自己点検しつつ、学部内外のさまざまな声を集め、それを大きな力として前向きに取り組んでいきたい。また、異文化理解を基礎として、現代のさまざまな問題を多元的に理解し、その解決に向けてグローカルに発信・実践していく人材を育てていきたい」と学部運営に意気込みを見せる。
 「龍谷大学は長い伝統を持つ大学。伝統とは守旧ではなく温故知新というところに生まれるではないか。改革を行なう場合にも、そのようなバランス感覚が大切だ。古いものの中に新しい息吹を見いだし、新しいものの中に古いものを生かしていく。国際文化学部と大学の発展に寄与したい」と抱負を語る。





高橋進(たかはし・すすむ)
法学部
高橋進 教授
(たかはし・すすむ)
(任期:2006.4.1〜2008.3.31)
人間教育が今ほど必要な時はない

 専門分野はイタリア政治史。ファシズムから現代までのイタリア政治、政党、選挙などを研究し、日本政治学会、国際政治学会、日本比較政治学会に所属する。
 21世紀のグローバリズムと「構造改革」、「不安社会」化の中で、世界情勢と学問は新しい課題に直面し、また、大学教育も大きな変化の中にある。
 高橋教授は「法学部はこのような社会の変化に敏感に対応しつつ、しっかりとした根を持った研究と教育に取り組む必要がある。人間教育が今ほど必要な時はない」と話す。
 龍谷大学法科大学院の開設2年目を迎え、法学部にはこれを展望したカリキュラム、NPO・地域行政コースの発展、流動化する社会変化に立ち向かうことができる教育内容と研究が求められている。
 「法律系教員が法科大学院に移り、政治学系や共同開講科目担当教員で多数を占めるようになった状況を踏まえ、学部全体の力を合わせることが今まで以上に必要になっている。初心に戻り、『大学とは何か』を教職員全員で考え、学生の力を高め、その力も借り、法学部そして龍谷大学の発展に努力したい」と決意を語る。





金子龍太郎(かねこ・りゅうたろう)
社会学部
金子龍太郎 教授
(かねこ・りゅうたろう)
(任期:2006.1.19〜2007.3.31)
教育内容の充実で学生の満足を高める

 社会学部臨床福祉学科に1999年着任以来、教務委員、学科主任、学生生活主任の役職を歴任し、社会学部の運営に貢献してきた。
 専門分野は児童福祉学・発達心理学。福祉、心理、小児保健、保育・教育の学際的立場から子どもに関わる研究を進めている。2004年にはNPO法人「子どもの村を設立する会」代表となり、虐待やネグレクト(養育放棄)を受けた子どもたちを救済し、親代わりの大人とともに生活して育てる新しい福祉の場「子どもの村」を設立する事業に取り組む。
 社会学部は2004年度にコミュニティマネジメント学科を開設し、社会学科、地域福祉学科、臨床福祉学科を含め4学科に発展し、学部長に課せられる課題は、大規模になった学部運営をはじめ4学科の特色を生かしながら、社会学部のキーワードである「現場主義」を踏襲しつつ、「学生が主体的な学びを作り出す」ことができる教育プログラムやカリキュラムの構築などさらなる改革を促進することである。
 金子教授は「龍谷大学が370年近く存続しているのは、建学の精神を守りつつ、常に先駆的な取り組みを行ない、学生を大切に育て、社会に貢献してきた歴史の蓄積があるからだ。今後も教育内容・環境の絶えざる充実を図り、学生の満足を高めるとともに、教職員の働きやすい環境の整備に努めていきたい」と意欲を見せる。






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