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経済学部

大原盛樹ゼミ
新興国の成長を日本に取り込む。
研究旅行②~インドでのNGO・農村訪問~

2018.10.15研究旅行②~インドでのNGO・農村訪問~

経済学部 大原盛樹ゼミ

私たちの研究旅行では、できるだけ幅広く現地の現実を知ることを目的としています。日系企業以外に、インドでは社会開発を支援する二つのNGO(非政府組織)と彼らの活動拠点である農村部を訪問し、インドの社会と経済についても学びました。

一つ目は、タミルナドゥ州の州都、チェンナイの近郊農村を拠点とするGandhian Unit for Integrated Development Education (GUIDE)というNGOです。
GUIDEの方々は、インドの農村部の大半の人が、十分な教育を受けていないために、自分が様々な社会的権利を持っていることや、その使い方を理解していないという現状を問題視していました。そのため農村の人々、特に女性に対して教育を受ける重要性を説き、暴力や理不尽な出来事に対して反対の声をあげることへの支援や、警察や行政で支援策を受ける方法を指導するなどの活動をしています。
GUIDEへの訪問を通じて、インドの農村でも変化は大きく、問題が複雑化していることがわかりました。例えば私たちが訪問した村では、以前は女性で小学校を出る人は少なかったのですが、現在では、9割の女性が高校に、さらに4割の女性が大学に進学しているそうです。しかし大多数の人が通う公立学校の教育の質が低かったり、卒業後、工場などに就職する人が増加したものの非正規雇用にしかつけなかったり、学校や職場で性的ハラスメントをうけるような問題があったりと、女性の立場はまだ弱いということでした。現在はこれらの問題点を解決する為に活動されていました。
現地に行く前まで、インドはまだまだ経済発展が進んでいないだろうと思い込んでいましたが、高速道路があり、日本のビジネスマンと同じようにビル街で働くインドの方を目にし、急速な発展を感じました。今回の訪問を通じて、農村でも教育がかなり普及し農業以外の雇用も増加するなど、昔のイメージではないこともわかりました。
しかし同時に、女性差別や貧困などの従来の問題が現在でも形を変えて根深く存在していることもわかりました。
この農村ではアンケート調査を実施し、村人の自宅も見学させていただきました。お礼に日本のダンス(ソーラン節)を披露し、楽しく交流もできました。

二つ目に訪問したNGOは、ケララ州の山岳地帯にあるPeermade Development Society(PDS)です。ここではスパイスの加工工場とスパイス農場を見学しました。
PDSは山間部にある土地が狭くて肥沃ではない、生産力が限られた貧しい農家を豊かにするために活動しています。
その最大の活動が3000戸もの零細スパイス農家を組織して行うスパイス製品の開発と販売です。
農民が作ったスパイスを軒先まで買取に行き、工場で加工して、先進国を中心とした様々な国へ輸出しています。
フェアトレード認証を受けた高品質の有機栽培スパイスとして先進国で販売することで、インド国内よりも高価格で売ることができ、その分、農民の所得も高くなります。毎回高値で買い取ることが約束されているため、農民から高い支持を受けています。
これらの説明は全て英語で行われたので、ゼミ生はみな必死に聞いて、メモを取りました。
流通インフラが整っていない、あるいは国内市場の所得が低くて高値で売れないなど、インドならではの諸問題がありますが、それを独自の方法で解決しています。売上は年間約100億円にのぼり、近代的な経営組織で運営される企業としても成功しています。私たちが研究交流をしたマリアン大学を設立するなど、スパイスで得た資金をNGOとして社会に還元しています。大変驚きました。

この2つのNGOを訪問して、インドに根強く残る問題や解決へと目指す活動について学ぶことが出来ました。これらは普通にインドを観光するだけでは知ることが出来なかったことなので、今回の訪問は非常に良い経験になりました。

本窪田 真由(大阪府立槻の木高校卒業)
二井内 真優(大阪府立泉北高校卒業)