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龍谷大学

挑戦~from.Ryukoku~ vol.63 鈴木 大喜さん

Introduction

今回は、フォトグラファーの鈴木大喜さん(社会学部2011年卒業・埼玉県立松山高校出身)に取材をしました。フォトグラファーになったきっかけや、出版される写真集、来月開催される個展のお話など、表現者としてのこだわりやお仕事に対する思いを伺ってきました。

―まずはお仕事内容について教えてください

フォトグラファーのアシスタントをしつつ、自身でも写真を撮りながら海外で生活していたのですが、昨年帰国し、秋頃に日本で活動をスタートさせました。今は、基本的に依頼があればどんなジャンルの撮影でも仕事を受けています。最近では、横浜DeNAベイスターズの選手の練習中や試合中の写真を撮って、その場ですぐ売るライブフォトの仕事や、競艇女子選手の写真集の撮影の仕事もやっています。その他では、カフェやレストランなどの取材でお店や料理の撮影もやっています。まだ独立して一年も経っていないので、様々な撮影をして経験を積んでいる最中です。

―鈴木さんの経歴を教えてください

大学を卒業して1年間、専門学校に通っていました。その後、出版社のスタジオで2年間アシスタントをし、スタジオを卒業後、ニューヨークに渡りました。ニューヨークではファッションフォトグラファーのアシスタントをしたり、日本に関係する仕事をしたり、自身の作品を作ったりしていました。

ニューヨークにいる間に一度スペインに行ったのですが、その時にスペインのお遍路のようなものがあって、その巡礼の道を約300キロ歩きました。その道にすごく魅了されて、「次は絶対に完歩しよう」と思い、お金を貯めてもう一度スペインを訪れました。昨年の夏に約900キロを1か月で歩いたのですが、そこで撮影した写真をまとめて、この巡礼の道の写真集を出したいと思い、出版社に営業に行きました。その結果、今年の6月に「Camino de Santiago」というスペイン巡礼路の写真集を出版することになりました。

―フォトグラファーになろうと思ったきっかけを教えてください

大学3年の前期にBIE Program (龍谷大学独自の留学プログラム)でカルフォルニアに行きました。それまで写真といっても、記念撮影くらいしか撮ったことがなかったのですが、カルフォニアの空や一緒にいる人や街の人などを、なんとなく撮りたくなって、撮っているうちに、フォトグラファーになりたいとふと思ったのがきっかけです。最初はフィルムの入れ方とか、デジタルの設定とかも何も知らなかったのですが、専門学校時代に勉強してたくさん撮影していました。もう写真を始めて6年ぐらいですね。やっぱりBIE Programでカルフォルニアに行けたのが、人生の節目になったと今になって思います。

―撮影するときのこだわりはありますか

写真集などの作品を海外で撮影する際は、デジタルカメラではなく、フィルムカメラで撮ります。フィルムカメラは現像に出さないと仕上がりが見られないので、写真が返ってきてからの楽しみもあります。また、デジタルカメラと違って撮る枚数も限られていますし、データの確認や削除ができないので、自然と1枚1枚を大切に撮るようになりました。そうやって撮っていると、写真を見返した時に、撮影させていただいた人との会話や、撮影場所がどんな風景で、どんな天候で、自分がどんな感情だったかを色々と思い出すことができます。それがすごく好きで、フィルムカメラで撮るようにしています。

―写真集について教えてください

「Camino de Santiago」というスペインの巡礼路の名前をそのままタイトルにしました。「サンティアゴへの道」という意味です。スペインを約900キロ歩いた時に出会った人や風景の写真を載せています。10キロ近くあるバッグパックを背負って、毎朝5時に起き、6時に出発する生活を30日間続けていました。日本で生活しているとなかなか感じることのできない感情や、見ることのできない風景もたくさんあったのでとても充実していました。歩いているときに感じたことや、出来事などを毎日日記に書いていたので、そこから言葉を抜粋して写真集に載せています。道中では歩く中で出会った人たちと、宿や近くの飲食店で一緒にご飯を食べ、笑い、良い時間を過ごすことができ、多くの素晴らしい仲間に出逢うことができました。今も世界中の人とつながっていて連絡を取り合ったりしています。

―個展を開催されるそうですが、どんな内容になっているのでしょうか

写真集の中から40枚から50枚ぐらい選んで展示しています。なぜ写真集を作って個展をやりたいかというと、写真を見てもらった方々に、この道を知っていただいて「行きたいな」と思ってほしいからです。社会人になると休みを取るのも難しいので、時間がある学生のうちにぜひ行ってほしいと思っています。日本にずっといると、日本の価値観や文化は普通かもしれないですが、海外に出たら全く違うという経験をたくさんしました。全く知らない土地で、全く知らない人と歩くという経験をすることによって、いい意味で自分が持っている価値観が変わり、リミッターが外れました。違う国の人と出会い、知らない文化を知ると、日本との比較対象ができますので、「日本のどこが良いのか、どこが悪いのか」ということを改めて考えられる良い機会が得られると思います。この道に訪れる様々なバックボーンを持った巡礼者たちと交流することによって、自身の生き方を見直すきっかけになりましたし、今まで全く知らなかった物事に触れることによって、今までの枠の中から出た考え方や、他の見方ができるようになるのではないかと思っています。

―最後に在学生へメッセージをお願いします

興味があるものや、やりたいことがあるとしても、何かしら言い訳をつけてやらない人が意外と多いと思います。でもそこで自分の意思を貫いて、一歩踏み出してやってみると、また違ったものが見えてくると思います。今、明確にやりたいことがない人も何かしら動くことによって、自分の可能性を広げるチャンスになります。できる、できないは関係なく、まずは動いてみることが大切だと思います。

また、本をたくさん読んで、色々なことを勉強した方が今後の人生が豊かになると思います。誰かの一生や、何年も時間をかけて習得した物事が、たった数千円や数百円で読むことができるので、自分の中に何かインプットするということに関しては、読書はかなり重要なことだと思います。


【取材・記事】
今井梨夏(社会学部3年)

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