深尾 昌峰
滋賀大学大学院教育学研究科修了。在学中に阪神・淡路大震災被災地ボランティア活動に従事。1998年に特定非営利活動法人きょうとNPOセンター、2001年NPO法人放送局・京都コミュニティ放送(京都三条ラジオカフェ)を設立。公益財団法人京都地域創造基金理事長などを歴任し、2010年龍谷大学着任。2022年より龍谷大学副学長。
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政策学部
深尾 昌峰教授
創立400年となる2039年に向けた「龍谷大学基本構想400」のもと「仏教SDGs」を掲げ、社会課題解決に取り組む龍谷大学。ソーシャルビジネスの拠点「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」でも様々な研究と実践を積み重ねていることから、2025年度より同センターが提供する教養教育科目「仏教SDGs概論」が開講された。「様々な先生方が専門性を基に社会に向き合っている本学ならではの知見を活かすべく、講義として構成しました。社会を変えていくためには、学問領域を超えた多様な専門性が重要です。本学で社会課題解決に取り組み始めようとする1年生に、それを伝えていくことが目的です」と語る政策学部の深尾昌峰教授。この科目を設計、コーディネートしている。
科目は本学の社会課題解決の取り組みを紹介するオウンドメディア「ReTACTION」の3つの視点であるRe HUMAN・Re NATURE・ReREGIONALを軸に全15回で構成。各視点に関連した専門分野を持つ教員によるチェーンレクチャー形式で講義がおこなわれる。2025年度は眞鍋邦大准教授(経営学部)の「地域とビジネス、農業」、奥田哲士教授(先端理工学部)の「廃棄物から考える防災と被災地の復旧・復興」、玉井鉄宗准教授(農学部)の「持続可能な農業」、石原凌河准教授(政策学部)の「地域レジリエンスと防災、被災地からの学び」、中根真教授(短期大学部)の「子育て家庭の社会的孤立」、阿部大輔教授(政策学部)の「オーバーツーリズムと住民」をテーマに6名の教員が担当。学生はそれぞれの知見を学び、最終課題として「ReTACTION」の原稿を学生自身が執筆する点がこの科目の特徴だ。「講義では社会課題を捉える“眼差し”を養い、その上で社会や普段の生活を見渡すと、今まで見過ごしていたことや、何となく疑問や不安に感じていたことに気づきます。記事執筆で求められる自分なりの問いと見解の言語化は、実は社会課題解決を含む仏教SDGsの第一歩。というのは、社会課題は一人では解決できず、共感や仲間を得るために伝える力が欠かせないからです」と説明する深尾教授。毎回の講義後に提出されるレポートは、当初講義の感想が多かったが、京都で大学生活を過ごす上でオーバーツーリズムが死活問題であることや、日本で自給率が高い食料品も肥料や飼料は輸入に依存していることに危機感を抱いたりと、徐々に学生の眼差しが変わり始めたという。
この授業で学生から提出された原稿は、内容やテーマ性を踏まえ、外部講師として招聘したライターの指導のもとブラッシュアップをおこない、一部を「ReTACTION」に掲載する予定だ。第14回の講義を終えて、学生たちは執筆に着手、第15回の最終講義で7名の学生から記事の発表がおこなわれた。「教員と講義内容はもちろん、受講する学生の所属学部も多岐にわたり、様々な内容の記事が提出されました」と深尾教授と担当教員は手応えを感じる。「例えば、本学の行動哲学『自省利他』や仏教SDGsの学びから、これまでスマホのメッセンジャーアプリでの既読スルーへ不安を感じていたのを、忙しいのだろうと思いやる気持ちが芽生えたという記事があり、学生ならではの視点だと感じました」。また、同じ授業を受けた学生が、同じテーマについて異なる立場から原稿を執筆していることも重要だと深尾教授は述べる。「農薬使用によってミツバチなどの有益昆虫まで駆除が生じており対策が必要とする学生と、農業就労者の高齢化や人手不足によって害虫や雑草の駆除が負担となっており、農薬に頼らざるを得ないと書いた学生がいました。一つの方向から物事を捉え対策を講じても反論が上がるなどして、課題解決やソーシャルイノベーションには繋がりません。上下左右斜めと全方向から見て、問いを立て、考えることが必要です。社会課題解決には現行の社会構造が高い壁として立ちはだかることもありますが、その時必要となるのが広い視野と多様な知識、そして人の繋がりであり、その力こそがこの科目で獲得できると思います」と深尾教授は語る。
「ユヌスソーシャルビジネスリサーチセンター」では同時に教養教育科目「アントレプレナーシップ入門」も開講。「仏教SDGs概論」を受講した今回の1年生はもちろん、次年度以降も潜在的な課題に気づく学生が育ち、それぞれの専門分野での学修や研究を通じて社会課題解決に貢献する、そして起業家やソーシャルイノベーターとして羽ばたいていくことも期待している。
選出された記事を発表する学生
深尾 昌峰
滋賀大学大学院教育学研究科修了。在学中に阪神・淡路大震災被災地ボランティア活動に従事。1998年に特定非営利活動法人きょうとNPOセンター、2001年NPO法人放送局・京都コミュニティ放送(京都三条ラジオカフェ)を設立。公益財団法人京都地域創造基金理事長などを歴任し、2010年龍谷大学着任。2022年より龍谷大学副学長。