寺川 史朗
中央大学大学院法学研究科修士課程修了。専門は憲法学、公法学。主な研究テーマとして 教育権や公教育のあり方、「存在の肯定」による憲法解釈。日本公法学会、日本教育法学会などに所属。2012年龍谷大学法学部に着任。2021・2022年度学修支援・教育開発センター指定研究プロジェクト研究代表者として、授業観察を開始。現在は、学修支援・教育開発専門員 小林珠子氏の協力のもと、一層の推進を図っている。
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法学部
寺川 史朗教授
文学研究科 東洋史学専攻 修士課程1年生
大西 春叶さん
現在、日本の大学では教員が授業内容や方法を改善・向上させるための組織的な取り組み「FD※活動」が義務化されている。龍谷大学では2019年度に策定した「龍谷大学基本構想400」の重点戦略の一つとして「学修者中心」の学びを掲げ、学生主体の学びの仕組み構築に注力。その一環として、2021年度に学修支援・教育開発センターの指定研究プロジェクトとして、法学部の寺川史朗教授を研究代表者とする「学生による授業観察」を開始。この研究成果をもとに、2023年度より学修支援・教育開発センターの新規事業として学生が第三者的立場で授業を観察し、担当教員に特筆点や改善点を含むフィードバックをおこなう「授業観察」プログラムがスタートした。「これまで大学の授業は教員に委ねられてきました。学問の自由、教授の自由は重要な理念ですが、教員の意図だけで授業がおこなわれると、学生の受け止め方や内容の理解との間に大きなズレが生じてしまうことがあります。学生は様々な授業を受けているので、教員以上に授業を見る目に長けていることから率直な意見と忖度のない判断のために、この授業観察プログラムを開設しました」
授業観察は寺川教授と学修支援・教育開発センターが窓口となり、授業を観察してほしい教員と観察したい学生を募集。観察をおこなうことが決まった学生は授業観察の意義や方法などについての研修を受けた後に、授業の担当教員と事前面談。教員側はどんな点を観察してほしいか、学生側は教員が授業で大切にしていることは何かなどを綿密に話し合い、授業観察の目的を共有していく。
「2023年度からの本格実施にあたって、まず私の授業観察を実施しました」と寺川教授。担当した文学研究科の大西春叶さんは「私は大学教員になるのが夢なので、大学における授業の運営に関わってみたいと思い応募しました」と動機を語る。授業観察した科目は「日本国憲法」。全学共通の教養教育科目のため法学部以外の学生でも理解できるかに観察の重点が置かれた。「授業は大変面白く、文学部の私でも理解が深まりました。その中で授業内容の視覚的な理解と臨場感を高めるために提示されたWebマップが見にくく、寺川先生の意図が伝わりきっていないのではと感じました」と大西さん。授業の魅力・課題・提案という項目に沿った報告書を受け取った寺川教授は提示方法を見直し、受講生に意図が伝わるようになったという。
授業観察は授業や教員だけでなく、担当した学生にも大きな影響をもたらしている。「私は寺川先生の授業を含め3度の授業観察を担当しましたが、どの先生方も授業の準備をはじめ、学生のために努力と工夫を積み重ねられていることがよくわかりました。授業を理解するためには、学生側も予習・復習など万全に準備し、授業に臨む姿勢を整えることが必要だと痛感し、先生への接し方、授業や学びへの取り組み方が変わったと思います」と大西さん。また全学部1年次の必修科目である「仏教の思想」の授業を観察した学生からは「改めて受講すると、授業という枠組みを超えた深い学びが人生の指針になった」との感想も聞かれた。「こういった学生の意識や行動の変化は私たちの想定を超えた効果です」と寺川教授は手応えを語る。
2023年度のスタート以降、実施件数を少しずつ増やし、2025年度には10件実施された。「学生が教員を批判したり、教員に改善義務を課したりするものでは決してありません。学生と教員が互いの立場を尊重し、より良い授業をともに築いていくための前向きな取り組みです」と改めて強調する寺川教授。大西さんは「確かに授業観察をおこなってみて、授業は一方的に先生から与えられるものではなく、先生と学生が一緒に作り上げて、発展させていくものだと実感しました」と続ける。
授業観察の様子
報告書の中には「学生と教員の距離が近く、良い雰囲気で授業が進行していた」「グループワークの際、学生も先生も積極的に意見を出し合い、活気に溢れていた」との声も多くあり、本学では学生と教員がともに作り上げる授業がすでに実践されていることが表れている。だからこそ、寺川教授はこの授業観察の意義や効果を全学的に広め、授業と教育のさらなる質向上、学生と教員の良好な関係構築の強化に力を尽くしていきたいという。
「授業観察を受けた教員同士の情報共有や、授業観察を担当した学生による募集活動、観察する際のポイントのレクチャー、この経験による効果の報告会の開催など、様々なことを試していければと考えています」
寺川 史朗
中央大学大学院法学研究科修士課程修了。専門は憲法学、公法学。主な研究テーマとして 教育権や公教育のあり方、「存在の肯定」による憲法解釈。日本公法学会、日本教育法学会などに所属。2012年龍谷大学法学部に着任。2021・2022年度学修支援・教育開発センター指定研究プロジェクト研究代表者として、授業観察を開始。現在は、学修支援・教育開発専門員 小林珠子氏の協力のもと、一層の推進を図っている。
大西 春叶
文学研究科 東洋史学専攻 修士課程1年生。三重県立松阪高等学校出身。中国史・中央アジア史に興味があり、大学院では唐の軍事と外交について研究。授業観察プログラムの他に、レポートや卒業論文など書くことにまつわる相談全般に対応する「ライティングサポートセンター」のライティングチューターを務めている。