宮木ᅠ朝寛
文学部東洋史学専攻3年生。鈴鹿中等教育学校出身。1年生の時に参加した「学生気候会議」での学生たちの活発な議論に触発されて「OCs(オックス)」に所属。学外で開催される気候や環境課題解決、サステナビリティ関連のイベントにも参加。学部では近藤真美准教授のゼミに所属し、卒業論文では東南アジアのアンコール朝について取り上げる予定。
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政策学部ᅠ教授
的場 信敬
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文学部3年生
宮木 朝寛
日本の大学では珍しい先進的な取り組みとして2021年に始まった「龍谷大学学生気候会議」。2022年に「龍谷大学カーボンニュートラル宣言」を発出し、創立400周年を迎える2039年に「ゼロカーボンユニバーシティ」の達成をめざす龍谷大学において、学生が大学の気候ガバナンスに参画する点に学外からの注目も集めてきた。2025年、第5回開催を迎えた「学生気候会議」について、学生運営団体OCsに所属する宮木さんと、5年前に会議開催の道筋を築いた的場教授が語り合った。
的場:気候会議は気候変動に対する政策や事業開発などについて、市民の意思を反映させるため、ヨーロッパを中心に国や自治体のレベルで実施されてきました。日本でも国内初とされる「気候市民会議さっぽろ」を皮切りに、気候会議が広がり始めたことから、私と村田和代教授(政策学部)、斎藤文彦教授(国際学部)が「大学で開催すれば、学生をはじめ未来を担う若い世代が気候変動などの環境課題を考えるきっかけになるのでは」と地域公共人材・政策開発リサーチセンター(以降LORC)の協力のもと「第1回学生気候会議」を開催しました。すると参加した学生が強い関心を示し、学生団体「OCs(Opportunities and Choices for Students: オックス)」を自主的に設立してくれたのです。以降は学生とともに作り上げる会議になりました。
宮木:私は社会の様々な問題に興味があったことから1年生の時に「学生気候会議」に参加したところ、とても有意義な話し合いがおこなわれていたことに驚き、自分もこの会議に貢献したいと思って、OCsに入りました。
的場:「 学生気候会議」は深草キャンパスと瀬田キャンパスで各1日、2日間にわたっておこなわれます。開催にあたっては学生運営団体であるOCsと、実行委員会である私たち教員、LORC、2024年の第4回からはサステナビリティ推進室も加わって、その年のテーマや当日のプログラム、講演に登壇する教員や外部からのゲストの調整といった準備を進めます。
宮木:深草キャンパスの灯炬館に設置された「る」の森をはじめ、両キャンパスの環境に配慮された箇所を巡るツアーは参加者に好評を得ました。プログラムの中でOCsは、自分たちの日々の行動が地球環境にどのような影響を与えているのか、楽しみながらシミュレーションしていくカードゲームとグループワークのファシリテーターを務めるので、教員の方や外部講師を招いての「ファシリテーション研修」を毎年受講するなど事前学習が欠かせません。個々の意見を引き出すのはなかなか難しいですが、以前に比べると話す・聞く力とディスカッションを活発化させる力が身についたと思います。
的場:「学生気候会議」でのグループワークでは本学の環境への取り組みに関連するテーマについてディスカッションをおこなってもらいます。第5回では「建物・交通・エネルギー・食・ライフスタイル」をテーマに、参加者が話し合いましたが、毎回、学生らしい意見がたくさん挙がりますね。
宮木:例えば「龍谷の森」を自然とふれあい、リラックスできる場として活用しよう、整備のために伐採した木材を利用したワークショップを開催しようといった意見は、学生の私もおもしろい視点だと感じます。
的場:学生の視点や感覚を基にした意見は、本学が「ゼロカーボンユニバーシティ」をはじめとする目標を実現していく上で重要です。
宮木:学生生活という点で、瀬田キャンパスと最寄り駅の瀬田駅の移動のために設置された「シェアサイクル」について、利用時間やコース別に料金を設定してより手軽に使えるようにすれば稼働率が上がり、脱炭素をはじめ環境課題解決に無理なく貢献していけるのでは、とのアイデアも挙がりました。
「学生気候会議」のグループワークでの様子
的場:「学生気候会議」は、欧米や日本の気候会議の方法と同じく、学部・大学院の学生に無作為でメールを送って参加者を募りますが、必ずしも幅広い参加には結びついていません。学術的かつ専門的に議論するのではと敬遠されているのかもしれませんが、決してそうではないので、気軽に参加してほしいですね。
宮木:実は私も気候変動の話は遠い世界のことのように感じていたのですが、OCsの活動を通じて、近年の猛暑やゲリラ豪雨は、農作物の収穫量や物価高、日常生活にも影響していることから、気候変動を自分事として考えるようになりました。また会議終了後には参加者の声やOCsの分析を『提言書』にまとめて学長に提出するので、大学の意思決定に参画していることも実感できます。
的場:この会議を機に、環境先進国のスウェーデンの大学に留学し、現在は環境課題解決をめざすNPO法人で活躍するなど、将来の進路が広がったOCsのメンバーもいますね。
宮木:確かに他学部や学外の方とも交流できるので、視野が広がります。また私は東南アジア史を専攻しているのですが、史料が少ないのです。それゆえ文献史料以外の根拠も必要になってきます。火山噴火や地震など「歴史と気候の関係」からリサーチができることを知れたのもよかったです。
的場:今後の「学生気候会議」では、深草キャンパスではカーボンニュートラル、瀬田キャンパスでは「龍谷の森」を軸にネイチャーポジティブを考えるなど、キャンパスごとにテーマを分けることで、議論の広がりと内容のさらなる深化を図ります。
宮木:私は深草と瀬田の近隣住民の方にも参加してもらうことを考えています。さらに将来的には京都の他大学、全国の大学と連携しての学生気候会議開催もめざしていきたいです。
的場:本学の目標達成はもちろん、未来を担う世代が集い、考え、気候をはじめ社会課題解決のアクションを起こしていく、そんなスケールの大きな会議へと発展していくことも願っています。
宮木ᅠ朝寛
文学部東洋史学専攻3年生。鈴鹿中等教育学校出身。1年生の時に参加した「学生気候会議」での学生たちの活発な議論に触発されて「OCs(オックス)」に所属。学外で開催される気候や環境課題解決、サステナビリティ関連のイベントにも参加。学部では近藤真美准教授のゼミに所属し、卒業論文では東南アジアのアンコール朝について取り上げる予定。
的場ᅠ信敬
英国バーミンガム大学Centre for Urbanand Regional Studies (CURS) Ph.D.課程修了。専門は地域ガバナンス論、持続可能性論。NPO法人で活躍後、2004年に龍谷大学地域人材・公共政策開発システム・オープン・リサーチ・センターの博士研究員に着任。2011年、政策学部准教授、2018年、政策学部教授。2025年より政策学研究科長に就任。