広報誌「龍谷」2026 No.102

03

People, Unlimited

政策学部政策学科 4年生
一般社団法人ひと&コトᅠD&I事業部「にじのわ」事業部長

名波ᅠ有彩さん

LGBTQ+をあたりまえに
誰もが安心して心を通わせる場を創設

自身の性のあり方を示す「LGBTQ+」という言葉が社会に浸透する一方、依然として差別や偏見があり、当事者が安心して過ごし、思いを語れる場や機会は限られている。名波有彩さんは、こうした課題に真摯に向き合い、学びの機会と居場所づくりに取り組んでいる。

高校時代、偶然目にした同性の恋愛を扱ったアニメ作品をきっかけに性の多様性に関心を持ち、生きづらさを抱えるLGBTQ+の当事者に寄り添っていきたいとSNSでの情報発信を始めた。大学はLGBTQ+に関する組織の立ち上げを見据え、起業の学びも充実する本学政策学部に進学。学修と並行して京都を拠点に様々な社会課題に取り組む一般社団法人「ひと&コト」に所属し、LGBTQ+をテーマにした映画上映会やワークショップの企画・運営に携わった。その後、団体の理解もあって LGBTQ+に特化した活動を展開する「にじのわ」を立ち上げ。SNSでの情報発信やイベント開催に加え、学生ジェンダーサミットや、本学もブースを出展している京都レインボープライドの実行委員も務めるなど、活動や交流の幅を広げてきた。そのなかで強く感じたのは当事者が安心して過ごせる居場所の必要性だった。「LGBTQ+の方が求めているにもかかわらず、日本には常設のコミュニティ施設が3カ所しかありません。それなら私が作ろうと、大阪にある常設施設でのインターンシップに参加しました」と現場で運営ノウハウを学び、京都の町家に「にじの集居(つどい)」を作り上げた。コンセプトは誰もが安心して過ごし、集える我が家のような場所。オープンスペースだからこそ、カミングアウトを強要しない、性別を決めつける言葉を使わないなどの約束を設けたのは、多様な一人ひとりに寄り添ってきた名波さんの思いやりといえるだろう。

「ありのままの自分でいられた」「本音で話せた」といった集う人の言葉を聞き、喜びとともに「生の声には心の温度や安心を伝える力があると実感しました」と名波さん。政策学部の松浦さと子教授の授業で学んだコミュニティラジオへの関心とも重なり、新たな取組として2026年7月にミニラジオ局「FMななゐ路」を開設。当事者の声だけでなく、地域や京都の魅力も発信していくという。「私はLGBTQ+を特別なものとして伝えたいわけではありません。もしかすると隣にいる人も当事者かもしれない。そんな小さな想像力を持ってお互いを尊重できる人が増えていくとうれしいです」と名波さん。「にじのわ」という名称どおりLGBTQ+の象徴である虹の架け橋となり、多様な人びとの輪を繋いでいく。

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